与那国方言
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与那国語
与那国方言
与那国物言/ドゥナンムヌイ
与那国空港にある看板
話される国日本
地域与那国島
話者数393人 (2010年)
言語系統日琉語族

琉球語派

南琉球語群

与那国語



言語コード
ISO 639-3yoi
Glottologyona1241[1]
消滅危険度評価
Severely endangered (Moseley 2010)
 

注意: この表にはユニコードで記述されたIPA発音記号が含まれているかもしれません。

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与那国語(よなぐにご)または与那国方言(よなぐにほうげん)は、沖縄県与那国島で話されている言語もしくは琉球語方言である。地元ではドゥナンムヌイと呼ばれる。琉球諸語(琉球語、琉球方言)の一つ。
話者数

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}国立国語研究所の推計によれば、話者は2010年の時点で393人。当地の住民でも60代半ばを境に話せる者は稀になり、年少者は話せず理解することもできない[要出典]。2009年2月にユネスコにより消滅危機言語の「重大な危険」(severely endangered)と分類された[2][3][注 1]
音韻
音韻体系

母音音素/i, a, u/

半母音音素/j, w/

子音音素/h, k?, k, g, ?, t?, t, d, n, c, s, z, r, p, b, m/

拍音素/N/

与那国語はa、i、uの3母音体系で、日琉諸語の中で最も母音数が少ない。そのためそれぞれの具体的音声にはかなりのゆれがある。母音/i/は、[i]?[e]の広がりを持った音であり、[ji]、[?i]の異音を持つ。また強調するときには[sagei](酒だよ!)のように[ei]とも発音される[4][5]。母音/u/も、[u]?[o]のゆれがあり、[?u]、[wu]の異音を持つ。助詞[du?](よ)などでは[d?u]のように広く[?u]と発音される[5][4]

母音の長短は弁別的でないとされるが、助詞などが付かない1モーラの語は基本的に長母音化する。[6]従って、[na?](名)、[ki?](木)のようになる。

半母音音素のうち、/j/は語頭に立つことができないが、全ての子音と結びつくことができる[5]。/w/は、/?, m, c, r/以外の全ての子音と結びつくことができる[5]

子音では軟口蓋破裂音歯茎破裂音に、有気音(k, t)と無気喉頭化音(k?, t?)との区別があるのが大きな特徴である。北琉球諸語でも区別があるが、宮古語・八重山語では認められない。またこの区別は、与那国語では語頭のみに認められ、語中ではほとんど無気喉頭化音として実現する(よって本項以下の記述では語中の?は省略して表記する)[7]。/c/および/p/も音声的には無気喉頭化音だが、対応する有気音は欠けており弁別的特徴ではない[5]

有声の軟口蓋音は、鼻音の/?/が破裂音/g/と対立している。?は琉球諸語のなかでは与那国語と奄美の喜界島にしか認められない。また/z/は語例が極めて少なく、語頭において/za/、/zja/として現れるのみで語中・語尾では現れない[5]

拍音素には/N/(撥音)があり、/Q/(促音)は与那国語に認められない。/N/の音声は、後続の子音に応じて[m, n, ?]として現れる。(例)[mmi](爪)、[nta](土)、[?kadi](百足)[8]

以下は与那国語に現れるの一覧。//に囲まれた部分は音素表記、[]に囲まれた部分は具体的音声である。

与那国語の拍体系[9]/i//a//u//ja//ju//wa/
/O//i/
[?i]
[ji]/a/
[?a]/u/
[?u]
[wu]/ja/
[ja]/ju/
[ju]/wa/
[wa]
/h//hi/
[ci]/ha/
[ha]/hu/
[?u]/hja/
[ca]/hju/
[cu]/hwa/
[?a]
/k?//k?i/
[k?i]/k?a/
[k?a]/k?u/
[k?u]/k?ja/
[k?ja] /k?wa/
[k?wa]
/k//ki/
[ki]/ka/
[ka]/ku/
[ku]/kja/
[kja]/kju/
[kju]/kwa/
[kwa]
/g//gi/
[gi]/ga/
[ga]/gu/
[gu]/gja/
[gja] /gwa/
[gwa]
/?//?i/
[?i]/?a/
[?a]/?u/
[?u]/?ja/
[?ja]  
/t?//t?i/
[t?i]/t?a/
[t?a]/t?u/
[t?u]/t?ja/
[t?ja]/t?ju/
[t?ju]/t?wa/
/t?wa/
/t//ti/
[ti]/ta/
[ta]/tu/
[tu]/tja/
[tja]/tju/
[tju]/twa/
[twa]
/d//di/
[di]/da/
[da]/du/
[du]/dja/
[dja] /dwa/
[dwa]
/c//ci/
[??i]/ca/
[ts?a]/cu/
[ts?u]/cja/
[??a]  
/s//si/
[?i]/sa/
[sa]/su/
[su]/sja/
[?a]/sju/
[?u]/swa/
[swa]
/z/ /za/
[dza] /zja/
[d?a]  
/r//ri/
[?i]/ra/
[?a]/ru/
[?u]/rja/
[?ja]  
/n//ni/
[ni]/na/
[na]/nu/
[nu]/nja/
[?a] /nwa/
[nwa]
/p//pi/
[p?i]/pa/
[p?a]/pu/
[p?u]/pja/
[p?ja] /pwa/
[p?wa]
/b//bi/
[bi]/ba/
[ba]/bu/
[bu]/bja/
[bja]/bju/
[bju]/bwa/
[bwa]
/m//mi/
[mi]/ma/
[ma]/mu/
[mu]/mja/
[mja]  
拍音素/N/
[n, m, ?, ?]

日本語との対応

与那国語では、日本語(本土方言)のeがiに、oがuになっている。ただしス、ツ、ズに対しては、与那国語では/i/が対応する。

母音の対応関係日本語アイウエオ
与那国語/a//i//u//i//u/

子音の対応関係日本語与那国語
k(語中)g
g(語中)?
j(語頭)d
wb
zd

与那国語では、語中のカ行子音が濁音化し/g/となる。ただしキは/ti/が対応する。(例)[agiru?](開ける)、[iti](息)。一方、本来のガ行子音は鼻音/?/となる。(例)[a?aru?](上がる)。ただしギは/gi/または/di/となる[5][10]。またヤ行子音は与那国語では主に語頭で/d/が対応している。語中ではjのものもある。(例)[damu?](病む)、[uja](親)。南琉球諸語に共通する特徴として、ワ行子音は/b/が対応する。(例)[baga?](若い)、[bu?](居る/をる)。サ行では、日本語のサ・セ・ソは/sa/、/si/、/su/となるが、シ・スは/ci/となる[11]。ザ行子音は/d/となる[5]。(例)[adi](味)、[kidi](傷)。タ行では、日本語のタ・テ・トは/ta/、/ti/、/tu/だがチ・ツは/ci/となる[11]。ハ行子音は/h/となっており、pをとどめている宮古・八重山語とは異なっている。ただしヒは/ci/となっている。以上のように与那国語では、日本語のイ段音は子音を変化させている例が多い。ナ行およびマ行では、ナ:/na/、ニ・ネ:/ni/、ヌ・ノ:/nu/、マ:/ma/、ミ・メ:/mi/、ム・モ:/mu/と対応している[11]。ラ行子音は/r/となるが、リの場合はrが脱落しiとなる[11]。また日本語のロ/ro/に/du/が対応することもある[12]

与那国語の無気喉頭化音は、語頭において無声阻害音+狭母音の連結が無声子音の前にあった場合に、第1拍が脱落し、その代償として第2拍の子音に無気喉頭化という特徴が加わったものである[13]


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