不整中心柱
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}ウマノスズクサ属 (ウマノスズクサ科) の茎の真正中心柱.トウモロコシ属 (イネ科) の茎の不整中心柱.キンポウゲ属 (キンポウゲ科) の根の放射中心柱.

中心柱(ちゅうしんちゅう、英:stele, pl. stelae; central cylinder)とは、維管束植物 (広義のシダ植物種子植物) のの中心付近、維管束組織を含む領域のことである[1][2]内皮よりも内側の部分を指すが、内皮が無い場合にはおおよそ相当する部分を境界とする。

中心柱は、維管束植物を構成する組織の区分の1つとして、19世紀にヴァン・ティガン (van Tieghem) によって提唱された。彼は、維管束植物の体 (頂端分裂組織由来の組織である一次組織からなる胞子体) は表皮・皮層・中心柱の3組織系からなるとした。根を構成する組織系の区分としては、現在でも用いられることがある。ただし現在では、維管束植物の体を構成する組織系としては表皮系・基本組織系・維管束系の3区分が用いられることが多い (この場合、中心柱は基本組織系の一部と維管束系からなる)。

またにおいて、維管束の配置様式のことも中心柱とよばれる。この意味での中心柱にはさまざまな型が知られており、維管束植物の進化を考える上で重要視されている。最も単純な型として、中心に木部が位置しその周囲を師部が取り囲んでいるものがあり、原生中心柱とよばれる。原生中心柱 (放射中心柱や板状中心柱を含む) は、全ての維管束植物と共に、ヒカゲノカズラ類などのにもみられる。木部が管状に配置している中心柱は管状中心柱とよばれ、シダ植物 (狭義) の茎にみられる。種子植物の茎では、木部と師部がセットとなった維管束が輪状に配置 (真正中心柱) または散在している (不整中心柱)。このような中心柱の多様性に基づく維管束植物の系統論は、中心柱説とよばれる。
概説

ヴァン・ティガンらは、維管束植物の胞子体を構成する一次組織 (頂端分裂組織に由来する組織) を、表皮・皮層・中心柱の3つの組織系に分けることを提唱した (van Tieghem & Duliot 1886)[2][3]。表皮は植物体最外層を覆う組織であり、皮層と中心柱の境界は内皮であるとした (内皮は皮層の最内部とされる)[4]

にはふつう内皮が存在するため皮層と中心柱の境界は明瞭であるが、茎では明瞭な内皮がみられないことが多い。内皮がない場合には、おおよそそれに相当する部分を境界とする[3]。ただし、この組織系区分は葉には適用されない[3]においては頂端分裂組織 (根端分裂組織) からの組織形成と表皮・皮層・中心柱の区分は比較的よく対応しているが、では頂端分裂組織 (シュート頂分裂組織) における組織形成とは対応しないことも多い[5]。維管束植物の体を構成する組織系としては、ザックスによる表皮系・基本組織系・維管束系の3区分 (Sachs 1875) が最も広く用いられているが、この区分では中心柱は基本組織系の一部と維管束系からなる[2][6]

現在では、原義のように維管束植物の基本的な組織系の1つとして中心柱という用語を使うことは少ないが、根や茎において中心部を大まかに示すためにしばしば用いられる[3]。また以下のように、における維管束の配置様式を示すために中心柱という用語が用いられることが多い。
中心柱の型

中心柱における維管束 (一次維管束) の配置には大きな多様性があり、以下のような型に類別される[1][2][7]1. さまざまな中心柱の型 (赤は木部、青は師部). a. 単純原生中心柱. b, c. 放射中心柱. d. 板状中心柱. e. 外師管状中心柱. f. 両師管状中心柱. g. 網状中心柱. h. 真正中心柱. i. 不整中心柱.
原生中心柱

など軸の中心に木部が位置し、その周囲に師部がある中心柱は原生中心柱 (げんせいちゅうしんちゅう、protostele) とよばれる[1][8][7]。ふつう内皮で囲まれる。原生中心柱は、その配列様式に応じて以下のような型に分けられる[1][8]

単純原生中心柱 (原始中心柱、単中心柱、haplostele)[1][8][7]中央に円柱状の木部が位置し、その周囲を師部が取り囲んでいる中心柱 (図1a)。つまり1個の外師包囲維管束からなる。ウラボシ綱の茎でも一部の種 (ウラジロカニクサシシランスジヒトツバなど) に見られるが、これらの中には成長すると管状中心柱 (下記) になる例も知られている。また明らかに二次的な単純化によってこれと似た形になったと考えられるものがマツモ (マツモ科) やスギナモ (オオバコ科)、フサモ (アリノトウグサ科) などの水生の被子植物の茎に見られ、退行中心柱 (hysterostele) とよばれる[1] (図2a)。退行中心柱は内皮を欠く。

放射中心柱 (ほうしゃちゅうしんちゅう、actinostele)[1][7][9]中央の木部が数カ所突出 ("腕") して横断面で星状になり、その突出部の間に師部が位置している中心柱 (図1b, 2b)。中心が髄 (柔組織など) になって木部の"腕"が独立している場合もあり、この場合木部と師部が交互に配列している (図1c, 2c)。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:67 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef