「不敬」はこの項目へ転送されています。「不敬」の語義については、ウィクショナリーの「不敬
」の項目をご覧ください。不敬罪(ふけいざい、Lese-majeste、lese-majesty)は、国王や皇帝などの君主・王族・皇族の一族と宗教・聖地・墳墓などに対し、名誉や尊厳を害するなど、不敬とされる行為の実行により成立する犯罪。
日本国内においては、1947年(昭和22年)の刑法改正により、天皇・皇后および皇族に対する不敬罪は廃止された。 王室などに対する不敬罪は、絶対君主制などの主権者たる君主と国家の存立を同一視する体制において定められることが多い。現在では、法の下の平等[注 1]や思想・良心の自由、表現の自由の観点から、君主制を採用している国家でも、刑罰が廃止・失効している場合がある。サウジアラビアなどのイスラム諸国やデンマーク[1]、スペイン[2]、タイ王国、カンボジア[3]は、現在も不敬罪が存在する数少ない例である。 2021年10月28日、ベルギー憲法裁判所は、1847年に制定の君主の侮蔑を罰金もしくは禁固刑に処する法律が、ベルギー憲法および欧州人権条約で保証されている表現の自由の権利侵害だという判決を下した[4]。 デンマークでは、君主は通常の名誉毀損罪(最大4か月の懲役を定めるデンマーク刑法第267条)によって保護されており、現行の君主が名誉毀損の対象である場合、同法第115条は通常の刑罰を2倍にすることを定めている。王配、王妃、王太后、王太子が対象の場合、罰金を50%増額することがある[5]。 オランダでは、国王、王妃、王位継承者とその配属者、摂政に対する不敬罪が2020年1月1日をもって撤廃された[6]。国王、王室の配偶者、法定相続人またはその配偶者、または摂政を侮辱することは、公務員と同じレベルで公務員として罰せられるようになった。 刑法第490条・第491条は不敬罪を規定している。 国王、王妃、その先祖、またはその子孫を中傷、侮辱した者は、最高2年間の禁固刑に処されうる[7]。 サウジアラビアでは国王や王族のみならず、預言者ムハンマドを侮辱した場合でも不敬罪に問われる。2012年2月、サウジアラビア国内で若手ジャーナリストのハムザ・カーシュガリー 彼はマレーシアに亡命するために出国したものの、クアラルンプール国際空港で身柄を拘束された[8]。その後約2年間にわたって拘留されたが、2013年10月に突如釈放された[9]。 タイ王国における不敬罪は、刑法第112条によって定められている。国王、王妃、王位継承者あるいは摂政に対して中傷する、侮辱するあるいは敵意をあらわにする者は、何人も三年から十五年の禁固刑に処するものとする[10]。 ? 刑法 第112条 1956年制定の当初は、刑期を「7年以下」と規定していたが[11]、1978年のクーデター後、「国家統治改革団」の命令41号によって下限・上限が広げられ重罰化された[12]。 この条項に書かれている行為を行うことは、一般に「ご威光を侮辱する (????????????????????) 」と表現され、「ご威光を侮辱する罪(すなわち「不敬罪」、?????????????????????????????)」とされる。また、外国の君主、妃、王配(皇配)あるいは元首を侮辱した場合も、別の条項によって罰せられる[13]。 「ご威光を侮辱する」の範囲は明確ではなく、誰でも告発でき「公然と敬意を表さないこと」をも含めるか否かで議論がある。2006年のクーデターの反対運動を行っていた政治活動家のチョーティサック・オーンスーンは[14]、同様に映画館でタイの王室歌が流れた際に起立しなかったため、不敬罪で2007年に起訴されたが、その際に表敬しないことは有罪ではないという旨の主張を行い[15]、その友人らはチョーティサックの主張を受けて無罪を主張する署名活動を行っている[16]。
概要
現行法不敬罪が現行法の国
ヨーロッパ
ベルギー
デンマーク
オランダ
スペイン
中東
サウジアラビア
アフリカ
モロッコ
アジア
タイラーマ9世の肖像に拝礼するタイの政府高官
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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