不安障害
概要
診療科精神医学, 臨床心理学
分類および外部参照情報
ICD-10F40
不安障害(ふあんしょうがい、英:anxiety disorder)とは、過剰な反すうや心配、恐怖の特徴を有するいくつかの異なる種類の一般的な精神障害を含んだ総称である。不安は、身体と精神の健康に影響を及ぼす可能性がある不確かで現実に基づかないか、あるいは想像上の将来についてである。
不安障害は様々な心理社会的(英語版)要因を有し、遺伝的素因(英語版)を含む可能性もある。不安障害の診断は2つの分類に分けられ、それは持続しているか、一時的な症状かどうかに基づく。たびたび全般性不安障害として誤診される、不安障害に類似した症状を有する甲状腺機能亢進症のような医学的疾患も存在する。
不安障害は、全般性不安障害、特定の恐怖症、パニック障害などに分けられ、各々が特徴と症状を持ち、異なる治療を要する(「不安障害#治療」を参照)[1]。不安障害が発現させる感情は、単なる緊張から恐怖による発作までにわたる[2]。
テイラー不安検査(英語版)やツング不安自己評価尺度(英語版)のような標準化された検査用の臨床アンケートを、不安症状の検出に用いることが可能で、不安障害の正式な診断評価のために必要であることが示唆される[3]。
定義「精神障害#定義」も参照
不安とは、明確な対象を持たない恐怖の事を指し、その恐怖に対して自己が対処できない時に発生する感情の一種である。不安が強く、行動や心理的障害をもたらす症状を総称して不安障害と呼ぶ。精神症状として強い不安、イライラ感、恐怖感、緊張感が現れるほか、発汗、動悸、頻脈、胸痛、頭痛、下痢などといった身体症状として現れることがある[4]。
分類
全般性不安障害詳細は「全般性不安障害」を参照
全般性不安障害(GAD)は、対象のない持続的な不安を特徴とする。
不安障害の診断を下す前に、医師は薬物誘発性不安や他の医学的原因を除外することが必要である[5]。
特定の恐怖症詳細は「特定の恐怖症」を参照
特定の対象や状況に対して著しい恐怖反応を示す。
パニック障害詳細は「パニック障害」を参照
パニック障害は、突然の強い恐怖や不安により、動悸、混乱、めまい、吐き気、呼吸困難のような特徴がある。このようなパニック発作の原因は特定されないが、ストレスや恐怖に誘発される。
広場恐怖症詳細は「広場恐怖症」を参照
広場恐怖症は、特定の場所や状況における不安である。広場恐怖症はしばしばパニック障害に関連付けられ、恐怖によりパニック発作が誘発される。
社交不安障害詳細は「社交不安障害」を参照
社交不安障害(SAD)は、人前で話すといった特定の状況や、社会的交流について生じる。赤面、発汗、会話困難といった身体症状の特徴がある。類似した対人恐怖症は、日本に特有の文化結合症候群とされる。
強迫性障害詳細は「強迫性障害」を参照
強迫性障害(OCD)は、強迫観念(持続する考えや心象)や強迫行為(compulsions)(特定の行為や儀式を行う)の特徴のある不安障害の種類である。
DSM-5では不安障害の下位分類ではなく、不安障害と同等な大項目になった。
心的外傷後ストレス障害詳細は「心的外傷後ストレス障害」を参照