この項目では、心臓病について説明しています。RADWIMPSの曲については「狭心症 (曲)」をご覧ください。
狭心症
分類および外部参照情報
診療科・
学術分野循環器学
ICD-10I20
狭心症(きょうしんしょう、angina pectoris)とは、虚血性心疾患の1つである。心臓の筋肉(心筋)に酸素を供給している冠動脈の異常(動脈硬化、攣縮など)による一過性の心筋の虚血のための胸痛・胸部圧迫感などの主症状である。なお、完全に冠動脈が閉塞、または著しい狭窄が起こり、心筋が壊死してしまった場合には心筋梗塞という。 一般的に狭心症は心臓の冠動脈にプラークというコレステロールなどによる固まりができ、血液の通り道を狭くすることによって起こるもの[3]。誘因としては高血圧、高脂血症、肥満、高尿酸血症、ストレス、性格などが考えられる。冠攣縮型(異型)狭心症は、心臓の血管そのものが異常収縮をきたし、極度に狭くなってしまうために起こる。微小血管狭心症は、心臓内の微小血管の狭窄及び攣縮によって起こるもの。誘因としては閉経、喫煙などが考えられる。 狭心痛(締め付けられるような痛み、絞扼感や圧迫感)が主症状である。痛みは前胸部が最も多いが他の部位にも生じる事がある(心窩部から、頸部や左肩へ向かう放散痛など)。発作は大体15分以内には消失する。他に動悸・不整脈、呼吸困難、頭痛、嘔吐など。症状を放置した場合、心筋梗塞、心室細動などを引き起こす場合がある。
目次
1 分類
1.1 発症の誘因による分類
1.2 発症機序による分類
1.3 臨床経過による分類[2]
2 原因
3 症状
4 検査
5 治療
6 予防
6.1 労作性狭心症
6.2 異型狭心症
6.3 微小血管狭心症
7 脚注
8 参考文献
9 関連項目
10 外部リンク
分類
発症の誘因による分類
労作性狭心症 (angina of effort)
体を動かした時に症状が出る狭心症。階段を上がったり、急いで歩いた時などに自覚症状が出やすい。
安静時狭心症 (angina at rest)
安静時に症状が出る狭心症。運動やストレスなどに関わらずに起こる。
発症機序による分類
器質性狭心症(organic angina)
冠動脈の狭窄による虚血。
微小血管狭心症(microvascular angina)
心臓内の微小血管の狭窄及び攣縮による虚血。患者の男女比が大き中でも更年期の女性に多く見られる症状で女性の場合は閉経により血管拡張作用を持つエストロゲンが減少することにより引き起こされる[1]。1980年代になってようやく発見された。
冠攣縮性狭心症 (vasospastic angina)
冠動脈の攣縮 (spasm) が原因の虚血。
異型狭心症(ariant angina)
冠攣縮性狭心症のうち心電図でST波が上昇している場合。
臨床経過による分類[2]
安定狭心症(stable angina)
最近3週間の症状や発作が安定化している狭心症。
不安定狭心症 (unstable angina)
症状が最近3週間以内に発症した場合や発作が増悪している狭心症。薬の効き方が悪くなった場合も含まれる。心筋梗塞に移行しやすく注意が必要である。近年では急性冠症候群 (Acute coronary syndrome) という概念がこれに近い。
原因
症状
検査
心電図
一般的には発作時にST部の、上に向かい凸状の上昇または下降が見られる。典型的な場合、貫壁性虚血ではST部の上昇が、非貫壁性ではST部の下降が見られる[4]が、対側性変化(ミラーイメージ)やSTに変化がみられないこともある。
ホルター心電図
「心電図#ホルター心電図」も参照小型の心電図記録装置を24時間携帯し、検査を行う
運動負荷心電図
労作性狭心症では運動負荷で心電図に変化がみられる。
心筋血流シンチグラフィ
人工的に作られた放射性同位体(RI)を使用する。血流があるところでは信号が検出され、虚血部では信号が欠損する。冠動脈狭窄があっても、血流が維持されているかどうかが判定できる。使用されるのは、201Tlや99mTcである。特定の施設でしか施行できない。
冠動脈造影 (coronary angiography:CAG)
検査でもあるが、引き続き経皮的冠動脈形成術を行うこともできる。冠攣縮性狭心症ではエルゴノビン負荷試験ができるため、確定診断に有用である。
冠動脈造影CT
造影剤により冠動脈の形態を描出できる。64列マルチスライスCTによる冠動脈病変の描出は、感度 88%、特異度 96%、陽性的中率 79%、陰性的中率 98% との報告がある[5]。特異度が高く、スクリーニングにおける除外診断に有用と考えられている[6]。非定型的な狭心症疑いの患者を対象にしたランダム化対照試験を行い、最初に冠動脈CT検査を行うと、カテーテル冠動脈造影の施行が減る上、入院期間も短縮できると報告されている[7]。
血液検査
トロポニンT、H-FABP
ペントラキシン
炎症性蛋白であるが血管内皮で産生されており、血栓症と強い相関がある。心筋梗塞へ移行しつつある不安定狭心症の診断に有用と考えられている。
など どの狭心症にも生活習慣の改善として、禁煙、バランスの良い食事をとること、ストレスを解消すること、適度な運動をすること、ぬるめの風呂に浸かることなどが挙げられる[8]。
治療
共通してアスピリンなどの抗血小板剤の投与が検討される。高血圧や喫煙などの危険因子のコントロールも重要である。
血管拡張薬である、カルシウム拮抗薬・硝酸薬などが投与される。
心負荷を軽減させるβブロッカーも用いられる。
予防
労作性狭心症
薬物療法
硝酸薬(ニトログリセリン、硝酸イソソルビド等)
β遮断薬(冠動脈攣縮を伴わないものに限る)