上部消化管内視鏡
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上部消化管内視鏡
治療法
食道静脈瘤が見られる内視鏡画像
シノニムEGD
ICD-9-CM ⇒45.13
MeSHD016145
OPS-301 code ⇒1-631, ⇒1-632
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上部消化管内視鏡(じょうぶしょうかかんないしきょう)とは、一般に消化器科にて用いられる内視鏡もしくは検査・治療手技のこと。食道十二指腸までの上部消化管を観察する。一般的に胃カメラ(Gastoroscopy)とも呼ばれている。
概要

咽頭から消化管までは飲食による異物と接するために様々な疾病に曝されるリスクがある。疾病医学にて外観検査は重要であるが、口腔咽頭以内の部位に対しては直接観察することが困難である。そのため内部を照射し、それを外部に見えるようにする機器が開発されてきた。最初期にはファイバースコープを用いて反射鏡の原理で深部を観察していたが、次第にカメラ周辺機器が小型化され、ついには無線機器も開発された。
ただし機器が接する部位のほとんどが粘膜であることから、身体への親和性、および機器の操作性が重要であり、物理的損傷による医療過誤が発生しやすい手技でもある。
英語で機器は Esophagogastroduodenoscope、手技は Esophagogastroduodenoscopy と異なっているが、日本語では同じ語句が用いられている。日本での略称は現在はEGD(Esophagogastroduodenoscopy)となっているが、かつてはGIF(Gastrointestinalfiberscopy)であった。
種類
ファイバー内視鏡
日本においては、以前は光ファイバースコープが主として用いられていたが、画質・機能・弯曲性能が電子スコープに劣るため、市場から消えた。しかし途上国では依然用いられている。
電子スコープ内視鏡
CCDを先端にとりつけた内視鏡。日本ではこちらが用いられている。

ファイバー内視鏡と電子スコープ内視鏡は、さらに経口内視鏡、経鼻内視鏡に分類される。
経口内視鏡


直視鏡:一般の内視鏡。内視鏡の進行方向、長軸にそって見えるようにCCDが据え付けられている。

斜視鏡:直視鏡先端の構造を斜めに据えつけたもの。直視と側視の中間。

側視鏡:内視鏡の側面にCCDなどを据えつけたもの。主にERCPに用いられる。粘膜面が直視鏡では捉えられず、検査・処置が困難な際にも有用である。

経鼻内視鏡
鼻孔から挿入する内視鏡(後述)。電子スコープでかつ直視鏡のみが各社から製品化されている。
カプセル内視鏡(開発中)
欧州・米国など海外では小腸のみならず食道および大腸内視鏡が認可されている。(ギブン・イメージング社製大腸用PillCam COLON2、食道用PillCam ESO2)日本では小腸内視鏡が製品化されている。しかし、胃は食道や小腸と異なり、管腔を拡張させないと粘膜面が撮影できないため、まだ開発段階にある。
仮想内視鏡
正確には内視鏡検査ではないが、CTを用いて管腔を3次元再構成し、粘膜面の凹凸の評価を行う検査。胃透視(硫酸バリウムによる二重造影)と同様に病変の位置と大きさの正確な評価ができる。同時にリンパ節の病変や、腫瘍の大きさによっては粘膜下の病状も推測できる。仮想内視鏡は気管支副鼻腔大腸でも行われる。.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節の加筆が望まれています。 (2011年11月)

手順
前処置

検査前日の夕食後は絶食となる。一般に前日の夕食は夜の20時から21時までに済ませてもらい、それ以降は飲水のみが可能である。飲水は検査当日も可能であるが牛乳やいろのついた飲み物は控える。このような食事制限をしても検査で胃内に食物残渣を認めることがあり、そのような場合は次回から検査前日の食事制限を昼食からにするなど個別の対応をする。常用している薬剤は検査当日の朝は高血圧や不整脈など循環器系の薬物にかんしては服用するが糖尿病薬など低血糖を起こす薬物は服用を控える。抗血栓薬は特に生検を行う場合は指定された期間の服用中止が必要である。検査直前の前処置には消泡薬投与、咽頭麻酔、抗コリン薬投与、鎮静薬投与がある。消泡薬にはジメチルポリシロキサン、咽頭麻酔は塩酸リドカイン抗コリン薬は臭化ブチルスコポラミンが用いられることが多い。
検査前の絶食 (ラテン語: NPO; nil per os)
食では10時間以上、パン食では6時間以上の絶食が求められる。米とパンの時間差は、消化の差である。一般に21時以降は飲水以外は不可となる。固形物以外は良いと誤解する患者もいるが、ヨーグルトコーヒージュースお茶なども不可であり、飲水のみが可能である。

胃内の気泡除去のため、バロス消泡液やバリトゲン消泡液、ガスコン・ドロップ、バルギン消泡液などの医療用シリコーンを服用する。
また胃内粘液の影響を軽減するため、プロナーゼMSやガスチームなどの蛋白分解酵素を服用することもある。
有線式の内視鏡の挿入には苦痛が伴うため、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}欧米では、基本的に鎮静剤を使用する(多くはミダゾラム)[要出典]。日本ではかつて、鎮静剤を使用すると回復に時間がかかるという理由もあり、鎮静剤を使用しない施設が多かったが、近年は、苦痛軽減のために鎮静剤を積極的に使用する施設が増えている。日本ではオピスタン、セルシンなどが主流であったが、ドルミカムを用いる施設も増えつつある(日本ではセルシン、ドルミカムのこの目的での使用は保険適用外)。ミダゾラムは0.07 mg/体重kg当り(最大 4mgまで)とする施設が多い。欧米ではより安全なプレセデックスが用いられることもある[1]
また消化管が蠕動すると、観察・記録・処置が困難であるため、禁忌がなければブスコパンやチアトンなどの抗コリン剤注射を投与する。緑内障排尿障害不整脈などのため抗コリン剤禁忌である場合は、グルカゴン注射を用いる。グルカゴンは高血糖を助長するが、糖尿病においても必ずしも禁忌ではない。
方法

有線式のものは、口もしくは鼻腔から挿入して、咽頭喉頭食道十二指腸を観察する。十二指腸上行脚/横行部・小腸へは直線的な先進が困難なため、ダブルバルーン内視鏡が開発された(販売:(現)富士フイルムメディカル、(旧)フジノン東芝ESシステム)。 口側から挿入することと、肛門側から挿入することにより全小腸の画像診断が可能とされている。

カプセル内視鏡は海外で先行して開発され、日本でも小腸カプセル内視鏡が保険適応である。食道カプセル内視鏡は海外で実用化されたが、胃についてはまだ開発段階にある。内視鏡の把持患者は一般的に口腔・鼻腔を医師に向け、左側臥位となる。医師は内視鏡をアングルを含む操作部を左手に把持し、CCD,チャンネルを含むスコープ先端を右手に把持する。左手はでアングルを縦に把持し、アーレンキーのようにスコープを回転できるようにする(アングルを水平に把持するとアングルとスコープの連結部が曲がるばかりで、アーレンキーのようにスコープ先端側が回転しない)。内視鏡の滑りをよくするため、スコープ側面には潤滑材を塗布する。従来はキシロカインゼリーを用いることが多かったが、リドカイン過量投与やリドカインショックを回避するため、現在は薬物を含まなない潤滑材を用いることが増えている(例:スループロゼリー、エンドルブリ、カインゼロなど)。詳細は下記リンク(ブログ)参照のこと。

観察時に特殊な色素や化合物を粘膜に散布することにより、より病変の視認性を良好にすることが可能である[2]インジゴカルミン液、ルゴール液酢酸、酢酸-インジゴカルミン混合液 (Acetic acid-Indigocarmine Mixture:AIM)[3]、コンゴーレッドなどはその代表である。(色素内視鏡、chromoendoscopy)詳細にはルゴールやコンゴーレッドは染色法、酢酸は分泌能をみるものであり、インジゴカルミンはコントラスト法と分類される[4]

色素噴霧した時には、ヒダの集中・途絶・太まり・細まり、粘膜の台状挙上などは悪性病変を示唆することが多いので注意して記録、生検を行う。

高次医療機関や内視鏡専門施設では、拡大内視鏡や分光画像内視鏡を備えている施設もある。

拡大内視鏡[5]: 血管の走行や形態、胃小窩の形態や密度から良性・悪性を判別する。


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