テューリンゲン・オーバーザクセン語(テューリンゲン・上ザクセン語)
Thuringisch Obersachsisch
Thuringische Dialekte
話される国 ドイツ
地域ドイツ・テューリンゲン州、ザクセン州、ザクセン=アンハルト州中部・南部、ニーダーザクセン州南東部、ブランデンブルク州南部、ヘッセン州東部、バイエルン州北西部
話者数約300万人
言語系統インド・ヨーロッパ語族
ゲルマン語派
西ゲルマン語群
高地ドイツ語
中部ドイツ語
東中部ドイツ語
テューリンゲン・オーバーザクセン語/テューリンゲン・上ザクセン語(ドイツ語: Thuringisch Obersachsisch)とは、ドイツ語の中で高地ドイツ語のうち中部ドイツ語に属する東中部ドイツ語(ドイツ中央東方言の中の一グループ)の一言語である。
学術的に不正確とされるもの、現在は一般的に上(上部)ザクセン語(Obersachsisch)として総括され、標準ドイツ語のベースとなった言語でもある。かつてはテューリンゲン語(Thuringisch)と呼ばれていた。 テューリンゲン・オーバーザクセン語の歴史は、古代から中世のおよそ1100年頃まで遡ることができ、東方移住民であったフランク人及びサクソン人に起源を求められるという。"マイセン官庁ドイツ語(Meisner Kanzleideutsch)"の言語形式と豊富な中高ドイツ語の語彙は、新高ドイツ語の本質的な基礎と考えられているマルティン ルターの書き言葉だった。 また、その土地特有の訛りや語彙が頻繁に入ることで、地域差が大きいもの特徴である。ドレスデンへやって来たライプツィヒ系の人々が彼らの訛りに違和感を覚えるのはまだよい方で、アルテンベルク
特徴
テューリンゲン・オーバーザクセン語の特筆すべき点は、母音の誇張変化、子音の濁音化である。母音では、「a」が「o」にやや近い、「u」は口元が浅く、「o」が「ou」に近い、「ei」が「ee」に近い、など。子音では、「p」が「b」に近い、「t」が「d」に近い、「k」が「g」に近い、など。そして、ザクセン=アンハルト州や北テューリンゲン州で頻繁に使われる「G-Laut」(Gの発音)も特殊である。
例として、人名である「Peter → ペーター」が「ベーダー」に近くなり、名詞の「Burgermeister→ブルガーマイスター」が「ブーシャーメースター」または「ブーハーメースター」の発音に近くなる、といった具合である。さらに、地域によって抑揚が全く異なるのも、この方言の特徴である。
この地域では第二次子音推移 が、個々の要素に関して、お互いに非常に逸脱した位置に起きた。加えて、かなりの「b」が「w」のように発音される。「f」や「v」も同様である。例えば「Aber → アーバー」が「Awer → アーヴァー」と発音される。
バジレクテ(Basilekte)(訳者注:下位に位置づけられる方言。ごく狭い地域でしか理解されず、しばしば蔑視やからかいの対象になる)はほとんど話されなくなっている。バジレクテと標準ドイツ語の間を流動的に移行している段階である、メゾレクテ(Mesolekte)と呼ばれる言語形態は、この地域では5種から7種にのぼる。
Gの発音:マクデブルク出身者は、5種類の「g」を発音すると言われる。しかし、実際の発音には元々の「g」が含まれていない。例えば、「Vogelgesang in Magdeburg → フォーゲルゲザング・イン・マクデブルク」が、「Voreljesank in Machteburch → フォレルイェザンク・イン・マハテボアヒ」[?fo??l?j?za?k ?n ?maxt??b???c]と発音される。 "Linguasphere Register"(1999/2000年版、431?432頁)にて、12のテューリンゲン・オーバーザクセン語の下位区分が紹介されている。
テューリンゲン・オーバーザクセン語の各方言の下位分類一覧