三角形の決定(ラテン語: solutio triangulorum)は、三角形の辺と角のいくつかが与えられた場合に、残りのものを求める三角法の問題である。測地学、天文学、建築、航法などに応用される。
平面三角形の決定
三角形には6つの特徴が存在し、上図の3辺(a, b, c)と3角(α, β, γ)である。古典的な平面三角形の問題は6つの特徴のうち3つが与えられた上で、残りを求めることであり、以下のいずれかの条件が与えられれば、一意に定まる[1][2]。
3辺 (SSS)
2辺とその間の角 (SAS)
2辺と1角 (SSA)
1辺と両端の角 (ASA)
1辺と2角 (AAS).
すべての場合において、少なくとも1辺の長さが与えられる必要がある。角度のみでは、相似な三角形が解となり、辺の長さを求めることはできない。
三角法の関係式
標準的な解法は基本的な関係式を適用して求めることである。
余弦定理
a 2 = b 2 + c 2 − 2 b c cos α {\displaystyle a^{2}=b^{2}+c^{2}-2bc\cos \alpha } b 2 = a 2 + c 2 − 2 a c cos β {\displaystyle b^{2}=a^{2}+c^{2}-2ac\cos \beta } c 2 = a 2 + b 2 − 2 a b cos γ {\displaystyle c^{2}=a^{2}+b^{2}-2ab\cos \gamma }
正弦定理
a sin α = b sin β = c sin γ {\displaystyle {\frac {a}{\sin \alpha }}={\frac {b}{\sin \beta }}={\frac {c}{\sin \gamma }}}
三角形の内角の和
他にも余接定理やモルワイデの公式などが存在する。
備考
未知の角度を求めるには、正弦定理より余弦定理の方が安全である。なぜなら、正弦の値からは、0°から180°までの範囲では、角度が一意に定まることはないからである(例えば、sin β = 0.5ならば、βは30°または150°である)。余弦定理ならば、そうした問題は起こらず、0°から180°までの範囲では、余弦からただ一つの値として角度が求められる。一方で、角度が小さい(または180°に近い)場合は、逆余弦関数の導関数が1または-1で発散するため、余弦より正弦で求める方が数値的に安定している。
与えられた特徴の相対的な位置が既知だと仮定する。そうでない場合は、三角形の鏡面反射もまた解になる。例えば、3辺の長さにより、三角形または鏡面反射が一意的に求められる。
3辺 (SSS)
3辺a, b, cが与えられた場合は、余弦定理から角度α, βを求めることができる[3]。 α = arccos b 2 + c 2 − a 2 2 b c β = arccos a 2 + c 2 − b 2 2 a c . {\displaystyle {\begin{aligned}\alpha &=\arccos {\frac {b^{2}+c^{2}-a^{2}}{2bc}}\\[4pt]\beta &=\arccos {\frac {a^{2}+c^{2}-b^{2}}{2ac}}.\end{aligned}}}
また、内角の和から、γ = 180° ? α ? βである。
正弦定理からβを求める方法も存在するが、(上述の備考1にあるように)鋭角と鈍角を混同する可能性がある。
この他にも余接定理により求める方法がある。
2辺とその間の角 (SAS)
2辺a, bとその間の角γが与えられた場合は、残りの1辺を余弦定理により求めることができる[4]。 c = a 2 + b 2 − 2 a b cos γ . {\displaystyle c={\sqrt {a^{2}+b^{2}-2ab\cos \gamma }}.}
また、余弦定理より α = arccos b 2 + c 2 − a 2 2 b c . {\displaystyle \alpha =\arccos {\frac {b^{2}+c^{2}-a^{2}}{2bc}}.}