三葉虫
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三葉虫
生息年代: 521?252 Ma
[1] Pre??OSDCPTJKPgN
様々な三葉虫の化石(左上から右下:Walliserops、Phacops、Cambropallas、Isotelus、Kolihapeltis、Ceratarges)
保全状況評価
絶滅(化石
地質時代
古生代カンブリア紀第二期 - 第三期境界(約5億2,100万年前) - ペルム紀チャンシンジアン期(約2億5,200万年前)
分類

:動物界 Animalia
:節足動物門 Arthropoda
亜門:†Artiopoda
階級なし:†三葉形類 Trilobitomorpha
:†三葉虫綱 Trilobita

学名
Trilobita
Walch, 1771
英名
Trilobite

三葉虫(さんようちゅう、英語: trilobite トライロバイト、学名: Trilobita)は、古生代にかけて生息した化石節足動物分類群である。分類学上は三葉虫とされ、横で3部に分かれた硬い外骨格を背面にもつ。古生代を代表する動物であり、冒頭のカンブリア紀から繁栄し、終焉のペルム紀末で絶滅した。2万2,000以上が知られる多様なグループで化石も多産し[2]示準化石としても重視される。
形態と生理学70 cm以上に及ぶ大型三葉虫 Isotelus rex三葉虫の背板合体節の区分

三葉虫の大きさは種類や成長段階により様々である。知られるうちで最大のものは元々体長90 cmほどあったと推測される断片化石であり[3]、ほぼ全身の化石に限れば72 cmが最大となるが[4]、小さいものは成体でも1 mm程度である[5]幼生の化石も発見されており、最も小さな個体は直径0.2 mmほどである。なお、多くの種類の成体は3-10 cmの範囲に収まる[4]

体は前後に数多くの体節からなり、各体節に一対の付属肢関節肢)が備わっていたと考えられ、全てが体の下に覆われる。多くの三葉形類と似て、体節は前後に頭部(cephalon)と胴部 (trunk)、胴部は更に胸部(thorax)と尾部(pygidium)と計3つの合体節に分化するが[6]、他の三葉形類と異なり、全身の外骨格のうち背面全体(背板と複眼)と腹面の一部(背板縁辺部の折り返しとハイポストーマ)は炭酸カルシウム質で頑丈に生物鉱化 (biomineralization) されている[7]。これは三葉虫の化石が保存されやすく多産する主因でもある[2]。他のArtiopoda類と同様、頭部に含まれる体節数は少なくとも5節(先節+第1-4体節)があるとされ、それに応じて少なくとも4対の付属肢(触角1対と3対)が先節直後の第1-4体節に配置される[6](ハイポストーマを上唇と同様に付属肢由来と考えれば、これは先節由来の付属肢となる)[8]
背面構造三葉虫の軸部と肋部丸めた Flexicalymene ouzregui

各体節に由来する数多くの背板 (tergite) のうち、頭部と尾部のものは癒合して一枚板状に、胸部のものは体節ごとに可動に分節した複数の胸節 (thoracic segment) となっている。背板は1対の縦溝 (axial furrow) で縦割りに中央部の軸部 (axis, axial lobe, axial ring 軸環とも[9]) とそれを左右対となって挟む肋部 (pleura, pleural lobe 肋葉とも[9]) となっており、この縦割り三区分 (trilobation) が三葉虫 (trilobite) の名称の由来となっている[10]。軸部はアーチ状に盛り上がり、肋部は比較的平坦であるが、より派生的な系統では肋部の外側が腹側へと傾斜する傾向を持つ。このため、三葉虫が腹側へと丸まった時に胸節肋部の外側域が重なり合い、背板で生体部を覆うこととなる防御姿勢 (enrollment) の構築が可能となり、一部の種ではほぼ球状に丸める[11][12]

Symphysopsis の holochroal eye

Eldredgeops rana の schizochroal eye
三葉虫の弱線のバリエーション

頭部背板(背甲、head shield, cephalic shield)の軸部は頭鞍 (glabella) といい[9]、その左右には癒合した体節の名残である溝 (lateral furrow) が数対並んでいる。通常複眼(側眼)は頭鞍のすぐ左右の肋部領域に1対あるが、形は一般的な腎臓型からタワー状に盛り上がるものや眼柄に突出するものまで多岐し、頭部に対する相対的なサイズもさまざまであり、退化消失した種もさまざまな系統で知られている。複眼は多数の個眼(レンズ)を持ち、その数は最多数千に及ぶ[13]。ほとんどの種では正面と両側面の視覚が優れていたことが明らかにされている[14]。複眼は holochroal eye(個眼が多く密着して一般的な複眼のタイプ、多くの種類が持つ)・schizochroal eye(個眼が少なく角膜に分かれて深く入り込むタイプ、Phacopina類特有)・abathochroal eye(個眼が少なく角膜に分かれるが深く入り込まないタイプ、Eodiscida類特有)の3種類が知られている[13]。肋部には体節構造の名残がほぼ見当たらず、脱皮の割れ目である1対の弱線 (顔線 facial suture[15], submarginal suture) が複眼に沿ってその前縁左右から後方まで走る。これは三葉虫に特有で、他のArtiopoda類と明確に異なる特徴の一つである[7]特化した胸部と微小な尾部をもつ Mesonacis

三葉虫の尾部のサイズのバリエーション

大きな尾部をもつ Scutellum

胸部背板は原則としてほぼ同じ構造の繰り返しで、ごく一部の種類(主にレドリキア目)のみある程度の特化が見られる(途中数節のみ肋部や棘が特に強大・後方数節が特に小さいなど)。尾部背板は通常胸部と同形な体節構造が見られるが、一部はその痕跡が見当たらないほど特化している。尾部は微小なものから頭部より大きいものまで知られており、派生的な系統ほど頭部に対して大きくなる傾向をもつ[2]
腹面構造三葉虫の頭部腹面(付属肢対と腹板を除く)

腹面は正中線に1枚のハイポストーマ (hypostome) と1対の脚につき1枚の腹板 (sternite) が並び、背板の縁辺部がわずかに折り返している (doublure)。対になる付属肢は原則として1対の感覚用の触角と複数対の移動用ののみを持ち、オレノイデスのみ更に1対の尾毛 (cerci) が確認される。腹板と付属肢対は他の外骨格と比べて硬化していないため化石に残りにくく、ごく一部の種類の良好に保存された化石のみから知られている[6]トリアルトルスの復原図。腹面(左)と背面(右)構造の対応関係を示す。

トリアルトルスの腹面化石


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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