三国志_(横山光輝の漫画)
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この項目では、日本の漫画作品について説明しています。

日本テレビにて放映されたアニメ番組については「三国志 (日本テレビ)」をご覧ください。

テレビ東京にて放映されたアニメ番組については「横山光輝 三国志」をご覧ください。

三國志


ジャンル歴史フィクション
三国時代中国史
軍事政治
少年漫画
漫画
作者横山光輝
出版社潮出版社
掲載誌希望の友
少年ワールド
コミックトム
レーベル希望コミックス
発表期間1971年 - 1987年
巻数全60巻
その他文庫版:全30巻
愛蔵版:全30巻
大判:全21巻
カジュアルワイド:全25巻
バイリンガル版:既刊2巻(2021年8月現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『三国志』(さんごくし)は、横山光輝による日本漫画。希望コミックスにも登場した。1971年から1987年まで、潮出版社『希望の友』『少年ワールド』『コミックトム』に月刊連載された。

横山光輝の代表作の一つで、吉川英治の小説『三国志』(以下、吉川三国志)を基調に独自の解釈等々を織り交ぜて描かれた作品。「吉川三国志」が諸葛亮の死で終わっている(篇外余録でによる天下統一までが解説される)のに対し、本作は全60巻でが滅亡するまでを描いている。

三国志』を描いた漫画の先駆にして、黄巾の乱に始まりの滅亡までを描ききった長大な作品である。この作品によって横山光輝は1991年、第20回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した[1]。2020年5月時点で累計発行部数は8000万部を突破している[2]
表現

単行本20巻までは児童向け雑誌である『希望の友』および『少年ワールド』で発表されていたこともあり、登場人物のセリフや表現が子供でもわかりやすいように横山によって配慮されていた。読者に大人が多いことを知ると横山は描き方を変更した。

また、張飛が孫悟空の緊箍のような輪を身につけた、向こう傷の大男に描かれたり、ひげを生やした十常侍(詳細は宦官を参照)、ひげ面で巨漢の呂布、そして痩せている董卓など、一部の登場人物の外見は『三国志演義』には基づいておらず横山独自のものになっている。また、中国の一夫多妻制度が日本人になじみがないと劉備の妻妾を「玄徳夫人」と一人の人物にしたほか、荀ケ程cら曹操の参謀らが多数登場させることも煩瑣だと、はっきりとした描き分けをしなかった[3]。後漢末を描いた作品ながら、連載初期には登場人物の服装が代のものになっているが、当時は中国との国交も完全には回復しておらず、後漢末期の風俗を記す資料などが手に入りにくかったとする旨のコメントを横山自身が寄せている。そのため、幽州太守劉焉が天子しか付けることを許されない冕冠)をつけていたなどの連載中に見つけた不都合点をコミック版になってから修正したほか、以後も官職や時代に合っていなかった服装などを、テレビのロケなどで中国に幾度も訪れて始皇帝陵などを参考に研究し、1997年に発売された文庫版で「一新」としてこれらの修正を加え、言葉なども一新した。やはり漢末のものではない武将の鎧・武器については修正されていないが、これは先行する三国志を題材とする諸作品でも同一である。また、相当な長編であるため、長らく登場しなかった人物が骨格までまったく別人のようになって再登場することもある。

単行本における19巻で掲載誌『少年ワールド』が休刊。その約半年後に『コミックトム』が創刊となり連載が再開された[注 1]。これに合わせて、「官渡の戦い」から袁氏滅亡に至る曹操の華北平定という魏建国の基礎にあたるエピソードがほとんど削られている。削られた部分については、作中でも時間が経過した設定になっており、青年的な容姿だった劉備や曹操が中年的容姿に変わっている(関羽や張飛など、容姿に変化がない登場人物もいる)。また、その結末も59巻で五丈原の戦いでの諸葛亮の死(234年)を描き、残り1巻あまりで蜀の滅亡(263年)までの30年間を描き、魏に成り代わる晋の誕生、そしてその晋による呉の滅亡・天下統一までは描かれていない。60巻の主人公と言える姜維についても、魏に降伏した所で出番が終了しており、蜀復興に向けての策略とその失敗による死は割愛されている。諸葛亮死後の話が大幅に割愛されているのは、吉川英治の小説と同様である。

『コミックトム』に衣替えした20巻以降、成年層の人気が高まったこともあり、『三国志』前半のハイライトであるはずの「官渡の戦い」の扱いに対して批判が高まった[4]。横山としては再度掲載誌が休刊になる前に完結することを最優先させていたが、連載終了後、番外編として執筆する構想もあったという。しかし、その後も新連載が続いたことから、結局頓挫した。
登場人物

カッコ内は希望コミックス登場巻。

本作の軸となる国。首都は成都。険阻な山岳に守られた要害の地。
君主
劉備
本作の主人公。(1?45巻)字は玄徳、本作では主に字で呼ばれる。幽州?郡?県の楼桑村に住まう母親思いの心優しき青年。母と共に筵や草履を売って生計を立てていたがある時、母から漢王室の一族の中山靖王劉勝に繋がる自分の出生の秘密を聞く。疲弊した世を正し民衆を救うことが自分の天命と悟り、義兄弟の契りを結んだ豪傑、関羽、張飛と共に漢王朝復興を目標に立ち上がる。徳を備えた英傑であり民からも敬愛される人望の持ち主ながら、義理人情を重んじるあまり長らく雌伏の苦労を味わう。しかし稀代の軍略家・孔明を軍師に迎え入れたことで進むべき道を定め、天下に覇を唱えんとするライバル曹操に対抗する。そして漢中王、後には蜀の皇帝となる。しかし、関羽と張飛の死後は冷静さを欠き、彼らの仇を討つべく孔明らの反対を押し切って呉に侵攻するも陸遜に大敗。失意の中で病を患い孔明らに後を託して没する。
劉禅
蜀の二代目皇帝。玄徳の子で、幼名は阿斗。皇帝に即位した時は普通の青年として描かれていたが、回を重ねるにつれ肥満した容貌となり、優柔不断で周りの言葉に振り回される暗愚な人物として描かれる。趙雲には二度助けられている。孔明の死後はやがて酒色にふけり、戦を嫌うようになり、魏軍が成都に迫ると「今までどおりの暮らしができるのなら」と降伏した。
蜀将
諸葛亮
蜀の軍師。玄徳の死後、物語後半の主人公。(21 - 59巻)字は孔明。水鏡先生から「伏竜」と称された逸材だが、荊州の草蘆に隠棲し、その才能を知る者は限られていた。発明家の一面も併せ持ち、木牛流馬や木獣、連弩などを発明したこともある。重要な会話を盗み聞きされないよう羽扇を常に携え、四輪車で行動するのが特徴。玄徳に三顧の礼によって迎えられ、「天下三分の計」を提案する。幕下に迎えられてのちは「水魚の交わり」と比喩される親密な主従関係を結ぶ。神算鬼謀によって赤壁の戦いや蜀平定戦などにおいて貢献し、玄徳の臨終の際には蜀の後事を託される。玄徳の遺志を継ぎ、出師の表劉禅に提出して数度に渡り北伐を実行する。何度も魏軍を追いつめるも長安を落とすことはかなわず、病に倒れ、姜維らに後を託して没する。
?統
玄徳の副軍師。字は士元。水鏡先生から「鳳雛」と称された逸材で、孔明に匹敵する智謀を持つ。周瑜の招きにより呉陣営に加わり、?幹を欺いて曹操のもとへ赴き、彼に連環の計の実行を進言した。曹操のもとから帰途する際に旧友の徐庶に遭遇して、戦いに巻き込まれない秘策を授けた。名声は轟いていたものの、汚い身なりと無愛想な態度をとっていた。周瑜の死後、魯粛の推挙で孫権に招かれるも、その横着な態度により怒らせたため起用されず、孔明の推挙で玄徳に執り立てられた。玄徳の蜀侵攻の際には軍師の役割を担う。玄徳に絶対的な信頼を置かれる孔明に多少の嫉妬感を抱き、孔明の考えとは別に成都を二方向から挟み撃ちするという策を実行する。その内の一隊を自ら率いることになるが、落鳳坡にて張任配下が放った矢に当たって戦死した。
関羽
玄徳の義弟であり、義兄弟の中では次兄にあたる。五虎大将軍の一人。(1 - 42巻)字は雲長。大きな体躯と立派な顎鬚が特徴の豪傑で徐州で王忠と戦う以前は太刀を、それ以降は青龍偃月刀を武器とする。義弟の張飛とは異なり理知的な性格である。子供を相手に塾を開き学問を教える生活をしていたが桃園の誓いにより玄徳の義兄弟となり、以後付き従うことになる。張飛とともに一騎当千の武芸と、「関羽の不覚は一度も見たことがない」と称されるほどの用兵で天下に恐れられる。一時曹操の下に降るも、玄徳が生きていることを知ると曹操の下を去る。その後は荊州の守備に就いた。部下には人望が厚かったが、プライドの高さから内部の武将・名士の意見を軽んじることがあり呉による荊州侵略の遠因となる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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