三国志_(北方謙三)
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ポータル 文学

『三国志』(さんごくし)は、1996年から1998年にかけて刊行された北方謙三の歴史小説。北方が初めて中国史を題材にとった小説である。全13巻。
概要

正史の『三国志』を原典としており、ストーリーの大綱は万世一系思想と易姓革命思想の対決を根幹としている。

基本的な展開・人物描写は正史に準拠しながらも、適宜に独特のストーリー解釈を施すことで、歴史的リアリティよりも人物描写そのものに重きを置いた骨太な描写が特色。加えて『三国志演義』に見られるファンタジー色の強い描写(幻術・妖術など)や史書からの引用等は排除されている。

節ごとの主要人物の一人称視点でストーリーが展開しており、主に劉備、関羽、張飛、諸葛亮、曹操、曹丕、司馬懿、孫堅、孫策、孫権、周喩、陸遜、呂布、袁紹、張衛、馬超からの視点が描かれる。

吉川英治の『三国志』同様、諸葛亮の死をもって本作は完結している。
主要登場人物

※史実や『三国志演義』に登場しない本作オリジナルキャラクターについては、これを冒頭に明記する。
蜀漢
劉備(りゅうび)
漢の中山靖王の裔。漢王朝を建て直すことで、尊き不可侵の血統として「国家秩序の象徴」とする志を抱き、義弟関羽、張飛と共に乱世に身を投じる。用兵に巧みで、男の約束は貫徹する好漢。穏やかな物腰で徳の将軍と称えられてはいるが、内には激情を秘め、ときに苛烈な行動に出る過激さを併せ持つ。史実同様、大きな耳の偉丈夫として描写されている。
関羽(かんう)
劉備の義弟。天下に鳴り響く豪傑であり、篤実で武人の誇りを持つ男。部下の不正を許さず、荊州で善政を敷く。自分の元で部将が育たないことを密かに悩んでいた。
張飛(ちょうひ)
劉備の義弟。実直で心優しい豪傑であるが、劉備の「徳の将軍」という声望に傷をつけないよう、酒乱の乱暴者というイメージを表に出し、進んで泥をかぶる役を演じる。後に蜀漢軍の伝統となる厳しい調練(死者も出る)の基礎を築く。呂布の黒騎馬隊を手本とした張飛の騎馬隊は、劉備軍では最強を誇る。内に秘めた優しさ故に、義兄関羽の戦死、そして愛妻董香を喪うという相次ぐ衝撃によって生じた心の隙を、呉の謀臣張昭に衝かれ暗殺される。張飛の野戦料理は、蜀漢軍の伝説となる。
董香(とうこう)
本作独自の人物。劉表領西城守将、董陵の娘で張飛の妻。男勝りで長身、秀でた眉に強い眼光の持ち主。故郷の新野では「じゃじゃ馬」として鳴らしており、剣の腕は並の兵では敵わないほどに立つ。劉備が劉表の客将として新野に駐屯していた時期、張飛が西城へ援軍として行った時、馬(張飛の愛馬となる招揺)を借りたことをきっかけに張飛に見初められる。結婚して以降は張飛を内から支え続ける。呉により拉致されそうになった際、抵抗し奮戦したものの息子の張苞と共に戦死した。
王安(おうあん)
本作独自の人物。張飛の従者。徐州で張飛に拾われた。兵役不適格な小柄の少年だが、張飛夫婦に仕えていくうちに一人の男として武人として成長していく。長坂の戦いでは、董香、趙雲らとともに劉備の妻子の護衛に付き奮戦するが、戦闘中に受けた脇腹の傷により長坂橋を超えたところで力尽きる。張飛、董香夫妻の手によりその場に埋葬された。
趙雲(ちょううん)
常山真定出身の偉丈夫。公孫?の部将だった時に、単身で敵からの攻撃を防ぐなど一目おかれる活躍をしその後劉備に惚れ込み仕官を直訴。このときは劉備は自身も内心では登用したいとは思ったものの自分の信念から一年間世間を知り様々な人を見てそれでも自分を気に入ったのなら、また士官しに来いとを諭され、天下行脚の旅に出る。(劉備は内面では他のところに行ってしまうのではないかと心配していたのを漏らした)それでもやはり、帰還後は劉備に仕えさらに劉備軍の重鎮となり、この旅で得た人脈が後々劉備に利することになった。その武勇は張飛 関羽にもまさるとも劣らずと評され、その武勇で様々な将軍を怯えさせた。さらにその人の良さからも周りに好かれた。史実では諸葛亮と親交が深いが、今作ではそのような面はあまり見受けられない。趙雲率いる騎馬隊の素早さから老齢になっても、第一線で活躍をする。作品後半の夷陵の戦いでは、劉備に反対するものの、ギリギリのところ助けに入るなど、作品を通じて義の武将である。
応累(おうるい)
本作独自の人物。蜀の間諜の元締め。劉備の「将来の国の在り方」の志に共感し行動を共にする。年齢不詳で人畜無害そうな小太りの容貌。その後も二人の息子、応真(おうしん)・応尚(おうしょう)も父の間諜部隊を受け継ぎ蜀に仕える。張飛の妻董香が呉に拉致されそうになった際、董香親子を守るべく奮戦の末、死亡する。
諸葛亮(しょかつりょう)
「臥龍」と称される軍師。曹操の手に落ちそうな天下に尻込みし、隆中で生まれた時代が遅いと独りごちていたところ、劉備に請われ、その志に共感し出仕する。そのひらめきから生み出される戦略・作戦は完璧かつ大胆だが、人の心の機微を見る目に欠けており、それがゆえの躓きを幾度も味わう。優れた文官、発明家でもあり携帯可能な小型連弩等の兵器や木牛を開発する。剣の腕も確かであり、劉備軍に合流後の最初の戦いでは趙雲と共に馬を並べて最前線に出たこともある。また、漢中防衛戦では圧倒的多数の曹操軍を前にして己を見失いそうになり劉備に窘められるといったこともあった。
糜竺(びじく)
もとは徐州牧陶謙の臣。劉備が徐州に援軍に行った際、一族で劉備に臣従した(妹の燐は劉備の側室)。内政にたけた優秀な文官であり、序盤は劉備軍の参謀として、中盤から後半にかけては駐屯地や占領地の内政基盤を整えるなど目立たないが重要な役割を行った。重要な話をするときには膝が揺れ、さらに緊張すると揺れがとまる、という癖をもつ。弟糜芳の裏切りにより諸葛亮の策戦が崩壊し、荊州の陥落、守将関羽が戦死するという事態が発生すると、怒りと自責の念で憤死してしまう。
陳礼(ちんれい)
本作独自の人物。隆中で逼塞していた諸葛亮に、毎日昼食を届けていた少年。のち諸葛亮について蜀に仕え、張飛の副官となる。張飛の元で鍛えられたこともあり指揮官としても卓越している。張飛の死後、張飛軍を率いて呉軍を追い詰めるが陸遜の謀にかかり戦死する。この夷陵の戦いでは蜀の「人情」を象徴するキーマンとなる。
陳倫(ちんりん)
本作独自の人物。諸葛亮の妻。陳礼とは親戚。
?統(ほうとう)
「鳳雛」と称される軍師。天才的なひらめきの諸葛亮と対比的に、何事も考えに考え抜いて結論を導く性質。自らの実戦経験のなさを卑下しがちである。成都を陥落させた後は、荊州を預かる関羽の軍師になる予定であったが、攻略戦の最中に流れ矢に当たり戦死。この不慮の死が荊州失陥と関羽の戦死の遠因となる。
徐庶(じょしょ)
流浪の旅人。友人である伊籍に会うため立ち寄った新野城に駐屯していた劉備に、戦略の重要性を説く。志に殉じるよりも自らの人生を大切にする性分であり、のち魏国内に住む母親のもとへと去る。魏に移った後は、才能を意図的に発揮せず、下級官吏として穏やかな生活を送る。
魏延(ぎえん)
荊州長沙太守韓玄の部将。荊州攻略戦の際に韓玄の首を手土産に劉備軍に投降、以降軍内の重鎮として活躍する。その投降の経緯、細かい所作を諸葛亮にしばしば生理的に嫌悪される[1]
黄忠(こうちゅう)
荊州長沙太守韓玄の部将で弓の名手。劉備軍に投降した後は益州攻略戦や定軍山の戦い等で活躍する。韓玄が討ち取られた後も劉表への忠節を貫き、投降を拒否する忠義の士。
馬良(ばりょう)
劉備軍の幕僚。諸葛亮とのコンビで蜀の民政整備に多大な貢献を果たす。確かな戦略眼も持ち合わせているが、実戦経験に乏しい。
馬謖(ばしょく)
馬良の弟。用兵に天才的な素質を持ち、同年代の部将と較べても抜きん出ている存在として将来を嘱望されるが、その素質ゆえに挫折を知らないことがのちの災いを招くことになる。自分の能力以上のことを行おうとする悪癖があり、劉備はその点に危惧を抱き、臨終の際、諸葛亮に重用しないように警告した。
姜維(きょうい)
魏の校尉だったが、蜀の「志」に共感し投降。以降蜀の若手部将の筆頭として活躍。
王平(おうへい)
忠勇にして謹厳実直な部将。史実通り文盲である。
李厳(りげん)
元劉璋軍の部将。第四次北伐の際に兵站を統括し、諸葛亮の厳命に対して自らの信じる正義を貫いた。
孟達(もうたつ)
新城郡太守。時勢を読む力に長ける変節漢。蜀魏の対立の中、戦略的に重要な位置を占めていく。

曹操(そうそう)
沛国?県の生まれ。祖父が宦官である家柄にコンプレックスを抱いており、家柄に頼らないひとりの男として乱世に覇道を打ち立てることを決意する。家柄・前歴にこだわらず才能を最優先に人材を登用していくが、才能を愛すると言うよりは自らの覇道のために利用する、という考えが見られる(郭嘉の死の際など)。そのようなドライな性格ながら、同時代人の「男気」にある種の羨望を抱いている[2]。容貌については、劉備より背が低い小柄な男だと描写されている。
曹丕(そうひ)
曹操の次男、魏の初代皇帝。魏を短期間で合理的に組織化するなど、民政に非凡な能力を発揮するも、戦の機微を全くつかめない自らの「戦下手」ぶりにコンプレックスを抱いており、依怙地に呉への親征をたびたび強行する。人情的に冷たく、サディストとして描かれている。
曹叡(そうえい)
曹丕の嫡子。父と異なり、優れた戦略眼と戦機を読む能力を持つが、興味を引いたときにしかその能力を発揮しない気まぐれさも併せ持つ。国が平穏な時にはその興味の対象が宮殿造営へと向いてしまう事しばしばで、その濫費は司馬懿や陳羣を悩ませる。
石岐(せきき)
本作独自の人物。魏の諜報機関「五錮(ごこ)の者」の頭領。浮屠の信者であり、曹操に「天下を取った暁に信教の自由と寺院の建立」を条件にその諜報の腕を売り込む。
荀ケ(じゅんいく)
曹操の幕僚。しばしば兵站に無理を生じる曹操の戦を、文句ひとつ言わず後援して見せる超一流の文官。漢王朝に対して劉備と同様の万世一系思想を抱いており、その事が曹操との心の乖離を生んでいく。
司馬懿(しばい)
魏の幕僚、のち軍の最高司令官。曹操存命中は才覚を認められながらもその陰気な性質を忌避されており、同じような性質を持つ曹丕の幕下につけられた。曹丕とはウマが合い、魏建国後、あまり表に出しゃばらず陰の腹心として活躍する。曹丕と同じく人情味のないキャラクターだが、曹丕とは対照的にマゾヒストとして描かれている。
尹貞(いんてい)
本作独自の人物。司馬懿の軍学の師であり、直属の参謀として司馬家を繁栄させるため暗躍する。顔に大きな痣があり、人と話すときに痣が見えないよう顔をそむける癖がある。
夏侯惇(かこうとん)
曹操の親戚で古参の将軍。温厚で紳士的な、部将のまとめ役・曹操の相談役としてのキャラクターで描かれている。
許?(きょちょ)


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:37 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef