三千世界の鴉を殺し
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この項目では、津守時生の小説について説明しています。都々逸については「高杉晋作」をご覧ください。

『三千世界の鴉を殺し』(さんぜんせかいのからすをころし)は、津守時生小説作品。また、小説を原作にしたドラマCDである。

挿絵は藍川さとる(後に古張乃莉名義に変更)、TOKAI(雑誌掲載時のみ)と経て、現在は麻々原絵里依が担当している。新書館の小説Wingsに連載され、ウイングス文庫より発行。2013年現在、小説は17巻まで、CDは10巻までが発売されている。連載10年を記念して、「三千世界の鴉を殺しマガジン」が発売された。

タイトルは高杉晋作が作ったとされる都々逸が元ネタになっており、作中でも重要な意味を持つ。
概要

角川スニーカー文庫の、『喪神の碑』シリーズ及び『カラワンギ・サーガラ』シリーズの続きにあたり、これらに登場するO2(オリビエ・オスカーシュタイン)とマリリアードの女性体クローンの息子であるルシファード・オスカーシュタインが主人公の遠未来SF。

軍上層部の思惑絡みで、辺境惑星にあるカーマイン基地に左遷されてしまったルシファードは、初めての地上勤務で様々な人間との出会いを果たす。そんな中、麻薬の売人が誘拐された事件に関わったことから、バーミリオン星で繰り広げられる陰謀に巻き込まれてしまう。
登場人物
主要人物

カッコ内はドラマCD版の声優
ルシファード・オスカーシュタイン(声:
諏訪部順一
銀河連邦宇宙軍の大尉であり、カーマイン基地第六連隊の第三大隊中隊長の一人。銀河連邦宇宙軍中央本部情報部部長を父に持ち、その第6課に籍を置く二重軍籍者(暗号名は「救世主(メサイア)」)。愛称は「ルシファ」。ただし、父親やニコラルーンなどのごく一部は、幼少時の愛称である「ルーシー」と呼ぶことも多い。第1巻時点で27歳。誰もが魅了されてしまうほどの美貌ゆえに、彼の顔を見ると常人は凍り付いてしまうため、普段はスクリーングラスで顔を隠しており、素顔を見た皆が固まってしまうことにはうんざりしている。6歳から15歳までの間、賞金稼ぎの母と共に宇宙を放浪して暮らしており、護身術の一環として火器の扱いや体術などを仕込まれている。奔放な性格で思ったことをすぐ口に出す、少年のような部分を持つ。また美貌に似合わず罵声語のレパートリーが豊富で、所構わずそれを連発してしまうことと本人の性格もあいまって、父であるO2とはタイプの違うカリスマ性を発揮し、当初彼に敵愾心を抱いている男にも惚れられてしまうため、副官のライラには「男たらし」とからかわれ、いつも怒っている。愛読書は基地内の月刊ゴシップ誌「パープルヘヴン」。読み始めてから、その内容ゆえに彼の感情表現がBL用語と共に豊かになりつつある。基本的にはフェミニストで押しに弱い部分があるため、年上の女性陣に度々「送り羊」として扱われてきたが、私情を挟むことなく機械のように任務をこなす非情さと、親しい相手でも殺すことをためらわない冷酷さを持ち合わせている。そのため、戦闘時に被害を最小限に減らすため非人間的な行動を取ることもあり、士官学校を出てから22歳で少佐、27歳で中佐まで昇進して巡洋艦の艦長を任されていたが、作戦中にとあるスペース・コロニーを破壊したことが議論の的となるも、宇宙軍本部に設置されている軍事戦略用コンピュータ・MMシリーズは全て「彼の作戦行動は効果的で最小限の被害に抑えた」との評価を下したため、上層部が彼の扱いに困り、政治的駆け引きの果てに2階級降格の上でカーマイン基地に左遷されてきた。感情の起伏があまりないのは、後述する超能力の暴走を防ぐためのセーフティであるとされる。機械のプログラミングに強く、試作品の「ブレイン・ギア」と呼ばれる思考連動型コンピュータを被験者の1人として預けられていたり、オリジナルの暗号通信用テンプレートなどの趣味で作ったプログラムの印税や著作権での収入もそこそこ以上にある上、アダン曹長宅の清掃機械が効率よく動くようにプログラムを改変したこともある。なおブレイン・ギア使用中は電脳世界に精神を飛ばすため、使用中や使用直後は思考が機械的になっていることが多々ある。念動力とそれを応用した治癒能力を持っている。ただし、治癒能力を自分・他者問わず重傷者に対して使用すると、受けた相手が細胞の急速な再生によるタンパク質欠乏に陥り、急激な飢えに襲われる。現在の技術では測定不可能なほど高いレベルの超能力ゆえにPCリングを両腕に装着している。軍に所属しているのも、彼のその力と性格から、「銀河一の犯罪者となるか軍の英雄となるかのどちらかだから、軍に所属してかばってもらえ」という母の言葉のためである。後述の誘拐事件から超能力を細かいところで制御することができなくなったが、特徴である膝裏まで伸ばした癖のない黒髪を使えば、ある程度は範囲を限定して念動力を制御できる。中盤で念動力を応用したテレポートを会得した。また、機械に対する感応力も持ち、カジャが接触テレパスで寝ている彼の心を覗いた際に、無意識のうちに接触したカジャの心を逆に読んだこともある。これは念動力とは系統の違う超能力・精神感応能力だが、都市警察との電脳戦でブレイン・ギアを限界まで使用した際、無意識に発現させた。もともと強力なテレパシストである母親によって何らかの形でその能力の大半を封じられていたと思われる節があり(ただ、機械に対してだけは封印が甘かったらしい)、超A級テレパシストを親に持つ血筋のために潜在的にはかなり高いレベルのテレパシストだったことが判明。その後、テレパシー能力の封印は甘くなりつつあるのか、テレパシーによる会話や、心理障壁を外して相手に情報を読ませるという情報交換をニコルと行っている。また、もともと機械に対して封印が甘いのをいいことに、PCリングがあると不便と予測される場面で密かに外してしまうことも。また、テレパシストであるガーディアン・レッドと協力することで、爆発に巻き込まれ重傷を負ったリンゼイの体内に入り込んだ金属片を的確に取り出し、自身のヒーリング能力で癒すことまでやってのけた。その直後に力の使い過ぎが原因で昏倒し、擬似冬眠状態となる。昏睡から1週間後、ゆっくりと平熱に戻り始め、昏睡から10日で目覚めるが、その際に先ラフェール人の精神体に体を乗っ取られかけ、さらにこれまで目覚めていなかった、超能力による分子分解能力も獲得した。士官学生時代に誘拐され、薬漬けにされた上で超能力に関する人体実験をされ、その首謀者であるアルジャハル教授に対しては、家訓により三倍返しをしたいと思っている。救出された後は、O2と精神連結して後遺症から救われ、その際に父の仕事や人生に対する思いを知った。副官のライラとは、士官学校以来の親友であり、公私ともにかけがえのないパートナーとなっている。彼にとっては母親のフリーダムとライラだけが、絶対に敵に回すことができない相手である。また、これまではライラ以外の誰かを失うことを恐れたことはなかったが、初の地上勤務で得た仲間達を彼なりに大切に思い始めている。実は、『喪神の碑』に登場するオルガ・シオとはマリリアードを介して顔見知りの関係。
ライラ・キム(声:斎賀みつき
銀河連邦宇宙軍の中尉。180センチ近い長身と、コーヒーブラウンの肌が特徴。ルシファードの士官学校時代からの友人で信頼のおける副官。普段は冷静だが沸点は低く、とても好戦的で戦闘能力は高い。好みのタイプは自分より能力の高い人だが、彼女自身の能力が高すぎるため該当する男性は少ない。士官学校時代に、誘拐され戻ってきたルシファードをフォローし続け、たとえ超能力の暴走で怪我を負っても彼をかばい続けた。超能力者としてのルシファードの“監視者”であり、緊急時には彼を殺さなければならない役割を持つ。また、ルシファードとともに、情報部にも籍を持つ二重軍籍者でもある。ドラマCD付属のプチ文庫では、カジャ・ニザリと交際している様子が描かれている。長子でありながら女であったため父に認められずに育ち、弟が亡くなったことで父の事業を継ぐ婿取りを強要されたため、それに反発し士官学校に入学した。その過去ゆえにファザコン気味。
サラディン・アラムート(声:三木眞一郎
カーマイン基地の軍病院に40年勤める外科主任(階級は大佐)で、腕のよさから“魔術師アラムート”の異名を持つ。だが、その美貌と過激な言動から、ドクターサイコと呼ばれることも多い。ルシファードに並々ならぬ興味を抱いている。20代にみえるが実年齢は227歳。連邦から絶滅宣言が出た種族の数少ない生き残りで、特徴は青みを帯びた緑色の髪と、瞳孔が細い金色の瞳。瞳が紫外線に弱いため、日中は偏光サングラスをかけることも。人間嫌いでひねくれた性格。本気半分冗談半分の言動で周囲を翻弄させるものの、一旦心を開いた人間には優しい一面もある。


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