七瀬ふたたび
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七瀬ふたたび
著者
筒井康隆
発行日1975年(単行本)
発行元新潮社
ジャンルSF小説
日本
言語日本語
形態上製本
ページ数325(文庫)
前作家族八景
次作エディプスの恋人
コードISBN 978-4101171074(文庫)

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『七瀬ふたたび』(ななせふたたび)は、筒井康隆SF小説

1972年10月から1974年10月にかけて『別冊小説新潮』『小説新潮』に連作の形で発表された。「邂逅」(初出時は「七瀬ふたたび」)「邪悪の視線」「七瀬 時をのぼる」「ヘニーデ姫」「七瀬 森を走る」の5編からなる。読心能力を持つ火田七瀬の様々な超能力を持つ仲間との交流や敵対者からの逃亡を描く。第7回星雲賞を受賞した。

家族八景』から続く「七瀬シリーズ」「七瀬三部作」の一つである。1979年NHK少年ドラマシリーズなど、5回映像化され、2001年に山崎さやか(現山崎紗也夏)により漫画化されている(詳細は後述)。
七瀬シリーズ・七瀬三部作「火田七瀬」も参照

家族八景』(1972年)と本作品、『エディプスの恋人』(1977年)を合わせて、七瀬シリーズ[1][2]、七瀬三部作[3]、七瀬もの[4]と呼ばれることがある。ただし趣は3作で全く異なり、『家族八景』が家庭の中にほとんど舞台を限定した心理ドラマであったのに対して、『七瀬ふたたび』は一転して超能力サスペンスものとなっている。『エディプスの恋人』はミステリー風な前半(前2作とのつながりも最初は判然としない)から壮大な神話的結末へ至るSFであり、たびたび映像化されている前2作に対して一度も映像化されていない。
ストーリー

人の心を読む能力を持つ20歳の火田七瀬は、かつての家政婦の仕事をやめ、母の実家に向かう夜行列車内で同じ人の心を読める能力を持つ幼い少年ノリオと出会い、さらに予知能力を持つ青年恒夫に出会う。恒夫は列車が事故に遭うことを予言し、七瀬らは途中の駅で降りる。その後、他にも超能力者と出会って仲間に加えたり、時には対決する。超能力者たちは迫害されることを恐れ、その能力をみな隠している。北海道でノリオと念動力を持つ黒人青年ヘンリーと生活を始めるようになったころ、超能力者抹殺をもくろむ謎の集団に存在を知られる。
登場人物
火田七瀬(ひた ななせ)
人の心を読む力を持つ超能力者(テレパス)の美貌の女性。1話目では20歳になったばかり。前作での家政婦の仕事は完全に辞めている。母の実家へ向かう列車の中で、恒夫、ノリオと出会う。アパートでノリオと暮らしながら高級バーを転々としながら1年間のホステス生活で黒人バーテンダーのヘンリーと知り合う、水商売で貯めた金で北海道に土地と家を購入、3人で生活を始める。気苦労の多いホステスを辞めて、超能力を使ってカジノで生活費を稼いだことから超能力者抹殺集団にその存在を知られてしまう。
ノリオ
七瀬と同様に人の心を読む力を持つ少年。1話では3歳、最終話では5歳。4歳のときに10歳程度の知能を持つ頭のいい少年。母親を幼少時に亡くし、継母が面倒を見ていたが、気味悪がられて可愛がってもらえない。七瀬と出会った列車が転覆事故を起こすのがきっかけで七瀬に引き取られ、以後共同生活することになる。
岩淵 恒夫(いわぶち つねお)
未来を予知する能力を持つイラストレーターの青年。最終話では24歳。長身で顔は面長。目が大きくやや道化た印象がある。七瀬に好意を寄せており、電話で危機を警告したり身を守るよう拳銃を渡す。初対面時に七瀬に抱いた空想を読まれたことを恥じており、七瀬に近寄ることが出来ず、以後直接顔を合わせることは二度となかった。
漁 藤子(すなどり ふじこ)
時間を移動できる能力を持つ女性。大柄でやや肥満しているが、色白でフランス映画の女優のような美人。ノリオが4歳のときに17歳の女子高生だったが、実際には時間遡行を重ねたためそれに加えて数年を生きている。実父を亡くして、北海道で牧場経営をする叔父に引き取られるため北海道へ行くフェリー上で七瀬たちと出会う。
ヘンリー
念力を使うことのできる2メートル近いハンサムな黒人の青年。七瀬がホステスとして働いている高級バーでバーテンダーをしていた。その念力は車を持ち上げることすら出来るが、強力な念力を使った後は激しく衰弱する。自分の意志では念力を使うことが出来ず父親の命令で使っていた。父を亡くした後に、自分に命令できる上位自我を求めて来日。七瀬と出会って、七瀬の賛美者、崇拝者、召使いであることを自認し、七瀬の命令で念力を使う。
真求B瑠璃(まゆみ るり)
マカオの地下カジノで七瀬と知り合った女性。実業家の娘で育ちがよく色白でグラマー。男好き。膨大な精神エネルギーでとりとめのない思考をすることから七瀬は心の中でヘニーデ姫という渾名をつけている。カジノで有り金をなくして七瀬と行動を共にして帰国。超能力者を抹殺しようとする暗殺者から七瀬とともに追われていることに気づいていない。
西尾
28歳の商事会社社長で七瀬が勤する高級バー「ゼウス」の常連客。実は透視能力者だが、一般の人々を見下して自らの超能力も悪用することを厭わず、拳銃や麻薬も持っている。バーでのダイヤモンド紛失事件から、七瀬と対決することになる。
テレビドラマ
「NHK少年ドラマシリーズ」版

NHK少年ドラマシリーズの一作品として、1979年8月6日から18日、18:00 - 18:29に放送された[5][6][7]。全13話。初めて制作された七瀬シリーズの映像化作品である。1978年6月末から撮影が開始され[8]、北海道ロケも交えて1978年内には撮影終了し、当初は1978年秋から19:30からの放映予定とされていたものの放映がなかなか決まらず[8][9][10]、翌1979年8月まで持ち越された。これにより同じく多岐川裕美が七瀬を演じたRKB毎日放送制作のTBS『東芝日曜劇場』「芝生は緑」(「家族八景」のドラマ化)が1979年2月と放送では先んじることになった。原作者の筒井は多岐川が演じた七瀬を気に入り、『東芝日曜劇場』から『家族八景』ドラマ化の話があった際に推薦し、多岐川が続けて演じることになったという[11]

基本的に原作に準じた内容だが、原作では七瀬とは初対面以外顔を合わせなかった恒夫がたびたび彼女と一緒に行動していることと、5人の超能力者が先祖を同じにしている、という2点が大きな相違点。また七瀬を追う山村栄一というルポライターがオリジナルキャラクターとして設定された。第8話「家族」は家政婦として七瀬が働くという前作『家族八景』を彷彿とさせる石堂淑郎によるドラマオリジナルエピソード[10]であり、第2話もドラマ版オリジナルである(「さとるの妖怪」についての言及は『?八景』の「水蜜桃」より)。この他、七瀬の父親に関するエピソードが『?八景』の「紅蓮菩薩」から使用されている。
キャスト

火田七瀬:
多岐川裕美

小林ノリオ:新垣嘉啓(第1話 - 第8話・第10話 - 最終話)

岩淵恒夫:堀内正美(第1話 - 第8話・第10話・第11話・最終話)

漁藤子:村地弘美(第5話 - 第7話・第11話 - 最終話)

ヘンリー:アレクサンダー・イーズリー(第3話 - 第8話・第10話 - 最終話)

テロリスト:東治幸(第9話 - 最終話)

サングラスの男:高桐真(第9話・第10話・第12話・最終話)

山村栄一:高橋長英(第2話 - 最終話)

語り:芥川隆行

その他

八星プロ(第1話 - 第4話・第9話・第10話・第12話・最終話)

K&Mプロモーション(第9話)

若駒(第9話)

テアトルエコー(第10話)

グループ・ジロー(第12話)


ゲスト
第1話


若い男:
桐原史雄(第2話)

老婆:筧豊子

山登りの若者:龍田直樹、松井修、森篤夫、宇田川智子、向殿あさみ花悠子

大学生:野上裕二

ノリオの母・鈴代:石井富子(第2話・第6話)


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