七つの会議
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七つの会議
著者
池井戸潤
発行日2012年11月5日
発行元日本経済新聞出版社
ジャンル経済小説
日本
言語日本語
形態四六判 並製
ページ数408
公式サイトbookplus.nikkei.com
bunko.shueisha.co.jp
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ISBN 978-4-08-745412-3文庫本

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『七つの会議』(ななつのかいぎ)は、池井戸潤による日本小説。2011年5月から2012年5月まで『日本経済新聞電子版』に連載され、単行本化の際に書き下ろしの1話を追加し、8話構成の連作短編集として、2012年11月5日に日本経済新聞出版社より刊行された[1]

中堅電機メーカーで起こった不祥事に巻き込まれていく社員たちを描く群像劇

2013年NHK土曜ドラマ」でテレビドラマ[2]2019年福澤克雄監督で映画化された[3]
あらすじ

一部上場の大手電機メーカー・ソニックの子会社である中堅電機メーカー・東京建電。会議の中で役職や職種の違う平凡な社員たちの不作為が作り上げていく不祥事。社員たちは立場の違いから異なる方法でそれに対峙し、不祥事の全容が明らかになっていく。
第一章

東京建電の営業会議前、人生において万年2番手の営業第二課課長である原島万二は、鬼と呼ばれる営業部長北川誠が入室するのを恐れていた。営業課は通称「花の一課、地獄の二課」と呼ばれ、一課は法人備品向け、二課は住宅設備関連家電向けであることから売上の差が歴然たるものであり、営業会議では坂戸宣彦(営業第一課課長)が率いる一課が毎回称賛される一方、二課は北川に叱責されていたのだった。

そんな営業会議で毎回居眠りを繰り返す営業第一課万年係長の「はっかく」こと八角民夫は、坂戸の度重なる度を超えた叱責に対してパワハラで訴える。営業課社員の誰もがそんな訴えを上が退けると思っていたが、パワハラは認定されてしまい、坂戸は人事部へ左遷されてしまい、一課課長は原島が担当することになる。一連の人事に疑問を覚えた原島は、八角へ真相を問いただすと、そこには「後章で登場する人物」や「会社の存続に関わるとんでもない事実」が関わっていることを知ることになる。
第二章

100年以上続くねじ製造業者「ねじ六」は三年前の夏まで東京建電の取引先であったが、同社より取引を打ち切られて以降、既存顧客からの価格引き下げによる赤字経営で苦しんでいた。東京建電と取引していた当時は坂戸の度重なる価格引き下げを断った結果、取引を打ち切られていたのだった。

ねじ六の社長、三沢逸郎は、妹であり専務でもある三沢奈々子となんとか経営を切り盛りするために奮闘していたが、新しく営業をかけていた九条興産からもねじの採用を断られ途方に暮れていた。そんな中、原島が現れ、東京建電が扱う全てのねじを現発注先から「ねじ六」に転注したいとの打診を受け、逸郎は怪しく思いながらも引き受けるのだった。

東京建電からの発注によりねじ六の経営は息を吹き返したが、逸郎は東京建電が突然ねじ六に転注してきたことを不思議に思う。実はこの転注も、前章の坂戸が左遷されたことに大きく関わることになる。
第三章

営業第四課の浜本優衣は27歳の誕生日を1人で迎えた。入社して2年経った頃、ただ指示された仕事をこなすというのは優衣にとっては苦痛であったが、会社の飲み会で妻子持ちとは知らずにある男と付き合ったが、妻子持ちということがわかり、男の妻と別れるという言葉を信じて3年が経過した頃、ついに限界を迎えた優衣は男に別れを告げた。その男とは経理課課長代理の新田雄介であった。

新田と別れ、苦痛の日が戻ることとなった優衣は会社を辞めることを決意するが、上司にしつこくなぜやめるのかを問われ、納得させる理由として寿退社と嘘をついて了承され、2ヶ月後に辞めることが決まった。しかし、優衣は自分がいた5年間で何も残せていないということが心に残り、最後に何か残したいという思いから、日々、夕食を取ることなく夜遅くまで残業している社員の為に食品販売を思いつき、無人のドーナツ販売を提案したのだった。

優衣はドーナツの調達をどこからするかなどを探しているうちに、脱サラしてドーナツの移動ベーカリーを経営している三雲英太と知り合い、東京建電へ供給してくれる契約を取り付けた。準備を整えた優衣の提案は新田による経理課で否決されつつも、物珍しさや社内アンケートの結果も手伝って役員会では決裁され、無事に無人のドーナツ販売が開始された。

だが、無人販売ということもあってお金を払わないドーナツ泥棒がいることが判明する。このドーナツ泥棒は、前章までの一連の人事や転注に疑問を覚えた人物によるストレス解消の犯行であった。
第四章

営業を目の敵にしている経理課課長の加茂田久司は、計数会議で営業第一課の売上が計画から七千万円もブレがあることを原島に指摘し、怒鳴りつけていた。原島は冷静に対応して会議は終わった。

そんな様子を同席していた経理課課長代理である新田雄介が加茂田の指示で売上のブレについて調べていると、原島が行ったねじ六への転注によってコストが上がっていたからであった。経理課は営業の原島に対してなぜわざわざコストの高いねじ六へ転注したのかという疑問を抱き始めた。また、原島がねじ六の接待に銀座での高い飲食接待費を計上したことも情報として掴んでいた。

新田は独断で厳しく原島に問い詰めたが、原島の北川への根回しにより新田は逆に叱責されることとなる。新田は営業への恨みからねじ六への転注の謎を追求しようと動き始めた。

「ねじ六」に転注する前は「トーメイテック」という江木恒雄が社長を務める中小企業に発注していたことがわかり、新田は単独で調査を行い、トーメイテックへ出向いて江木と出会い決算書の要求、営業と発注先の癒着の疑いで長年勤める八角へ聞き取りなどを行うが、軽くあしらわれるなど上手くいかない。

冷え切った妻との関係も手伝い、次第にストレスが溜まっていく。取引がなくなったトーメイテックへ勝手に出向いて決算書を要求したことが、偶然原島に見られていたことから加茂田に問題とされ厳しく叱責され、その日の帰り道に電車で酔っ払いに殴られと散々な目に遭う。

数日後、なぜか優衣との不倫が経理部長の飯山孝実に知られており、新田は大阪の営業部の左遷が言い渡される。なぜ不倫がバレたのか、本当に左遷の理由が不倫なのかと疑問に思いながらも、妻と離婚して大阪へ飛ばされるのだった。
第五章

元は営業部次長であった佐野健一郎は、営業部長北川によって営業マン失格の烙印を押され、今はカスタマー室に追いやられていた。カスタマー室とはいわばクレームの処理係であり、佐野はカスタマー室長となっていた。佐野は営業部長北川に恨みを募らせていたため、営業に対する何らかのクレームが来るのを待ち望んでいた。

ある日、営業が夜遅くまで来て迷惑だというクレームが来たことから、佐野はチャンスとばかりに営業糾弾のカスタマーレポートを作成し、自らも北川も参加する連絡会議で追求するが、北川に逆にこき下ろされた上、社長の宮野和広からも同意見だとされて逆に恥をかかされ、憎悪を募らせていくばかりだった。

カスタマーレポートを作成し直しを余儀なくされた佐野だったが、あるクレームが立て続けに報告されており、その内容は東京建電が販売する「折りたたみ椅子(ラクーン)の座面が壊れた」というものであった。佐野はカスタマーレポートの種として興味を持ち、商品企画部で折りたたみ椅子を担当している奈倉と調査を行ったところ、ねじの強度に問題があることがわかり、ラクーンのねじは当初「ねじ六」に発注していたものを、3年ほど前に坂戸によってコストの安いトーメイテックに転注、半年前原島が再度ねじ六に転注したという事実がわかった。

佐野と奈倉はクレームがいずれも3年以内のものであることから、トーメイテック発注時代のねじを調べた。すると同社に発注している全てのねじが強度不足であることがわかり、佐野はこの事実をカスタマーレポートに記載して北川と製造部長の稲葉に対して仕返しを考えていたが、奈倉は青ざめていた。ラクーンのねじと同様、強度不足であるトーメイテック製のねじが世界中で運行されている列車や航空機の座席に使用されているという事実を知ったからである。佐野たちカスタマー室のメンバーは、下手すれば東京建電そのものが消えるかもしれないこの事実を報告するべきか途方に暮れるのであった。
第六章

製造部長である稲葉要は、営業部長北川誠の元を訪れていた。要件は北川の元にも届いていた、ねじ強度不足による告発文であった。もちろん告発者は、カスタマー室長の佐野である。北川は佐野に接触して隠蔽に協力するよう説得するも、北川に恨みがある佐野は、隠蔽の条件として北川の辞任を要求したのだった。

だが、北川は拒み、佐野は宮野社長にも告発していると強気に出るが、北川は佐野に事の顛末を話した。八角から強度不足のねじが椅子や、航空機・列車の座席に使用されていることが伝えられ、それを稲葉、北川、宮野で話し合った結果、社長の宮野の決定は「隠蔽」であること。隠蔽は宮野社長の指示であると知った佐野は、なす術をなくしたのだった。

だが2日後、親会社のソニックからの出向者である副社長の村西京助が北川を呼び出し、自分のもとに届いた匿名の告発文を持って問いただしてきた。北川は、ソニックからの出向(外様)である村西であれば正しく動くだろうと、佐野が告発したものだと考えた。北川はもはや真実を語るしかなかった。
第七章

副社長村西はソニックの総務部長である木内信昭を呼び出し、北川から受けた説明全てを話した。木内は御前会議が開かれるだろうと話した。御前会議は社長、副社長、常務総務部長が参加することになった。村西から御前会議で常務の梨田元就に報告し、話を聞いていた御前様ことソニックの社長徳山郁夫は事態の把握が必要だと発言し、調査チームを結成した。また同時に「隠蔽チーム」と呼ばれた宮野、北川、稲葉は徳山に呼び出され言い訳は完全に封じ込められたのだった。

自分に匿名の告発をしたのが佐野だと思った村西は佐野を呼び出すが、佐野は自分じゃないと否定した。佐野から告発は八角じゃないかと言われた村西は八角に接触し、一連の出来事について聞くも、この会社の体質が今回の事件を引き起こしたと曖昧な回答しか得られず、また、体質についてはかつて製造部で働いていた増谷寛二という男を訪ねろと言われて八角は去ってしまう。

村西は70歳を超える増谷に会い、事情を話した。20年前、東京建電はヤマト製作所の車両用設備の受注を他社と争っており、なんとしても取りたかった案件だったが金額でかなわなかった。当時製造部にいた増谷は、営業担当に規格外のものであれば安く受注できると何気なく伝えたが、営業担当は了承しデータ偽装して受注を得たのだ。


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