一般米語
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一般米語(いっぱんべいご、: General American、略記: GAまたはGenAm)または一般アメリカ英語は、アメリカ英語(米語)の包括的変種(訛りの連続体[1][2])である。米語の大多数に通常帰せられ、米語の中では特に地域的、民族的、経済社会上の特徴に欠けると広く認識されている[3][4][5]。アメリカ合衆国では一般米語の音声体系が行き渡っているため、一般米語は、論議を呼ぶものの、「標準アメリカ英語」(Standard American English)と呼ばれることがある[6][7][8]

標準カナダ英語は一般米語口語と非常に近く[8]、特に一般米語と連合王国容認発音が異なる状況では常に容認発音よりも一般米語に近い[9]。「一般米語の」正確な定義と有効性については議論が続いており[10][11][12]、今日この用語を使用する学者らは、正直なところ、正確さではなく、比較のための使い勝手のよい基準としてこの用語を使用している[10][13]目次

1 定義

1.1 歴史

1.2 名称と問題視されている用法


2 地理的起源

3 メディアにおける一般米語

4 音韻

4.1 子音

4.2 母音

4.2.1 単母音

4.2.2 二重母音(わたり母音)

4.2.3 R音性母音



5 脚注

6 参考文献

7 推薦文献

8 関連項目

9 外部リンク

定義
歴史

「一般米語」という用語は、アメリカの英語学者George Philip Krappによって初めて広められた。Krappは1925年に「西部」のものだが「特定の場所のものではない」アメリカの話し言葉の一種としてこの用語を説明した[14]。1930年、この用語を広く一般に広めたアメリカの言語学者ジョン・サミュエル・ケニヨンは、これを「北部アメリカ英語」の口語と等しいと考えた[14]、1934年には「西部および中西部」アメリカ英語と等しいものであるとした[15]。現在、一般米語の傘の下に分類されると典型的に見なされているのは、アメリカ西部(英語版)[16][17]、西部ニューイングランド(英語版)[18]、中部北方(英語版)[19]、そして議論の余地はあるかもしれないがケベックより西の全ての英語圏カナダ[8] の地方訛りである。イギリスの音声学者ジョン・C・ウェルズ(英語版)によれば、1982年までには、アメリカの人口の3分の2が一般米語訛りで話した[6]

20世紀前半には、合衆国中部大西洋岸[20]、合衆国内陸北部(英語版)[1]、西ペンシルバニア(英語版)[21] のより近年の地方訛りが含まれていたが、1960年代以降はもはや含まれていない。1930年代に大衆化した後ずっと、この用語に含まれたことがない訛りは、東部ニューイングランド(英語版)、ニューヨーク市(英語版)、アメリカ南部の地方訛り(特に「r」の音が落ちる訛り(英語版))である[22]。2000年代までに、アメリカの社会言語学者ウィリアム・ラボフは、何らかの訛りを「一般米語」と見なすことができるとすれば、それは本質的に西部アメリカ英語、中部アメリカ英語、標準カナダ英語によって共有されている発音特徴の収束である、と結論付けた[16]
名称と問題視されている用法

英語学者のWilliam A. Kretzchmar, Jr. は、2004年の論文において以下のように説明している。.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}「一般米語」という用語は、アメリカ英語の最も一般的とされている(デフォルトの)形式としての名称として、特にニューイングランドあるいは南部の特徴のある地方話し言葉と区別するために生じた。「一般米語」は「中西部」の比較的特徴のない話し言葉であるとしばしば考えられてきた。「中西部」はオハイオ州西部からネブラスカ州まで、そしてカナダとの国境から南はミズーリー州またはカンザス州までのアメリカの広大な中央部を指す曖昧な名称である。この用語についての歴史的に正当な理由は存在せず、その使用を支持する事情もまた存在しない... それは他の逸脱した変種の模範となるアメリカ英語の状態が存在することを暗示する。それどころか、突出するようになり目立つようになっていた地域的・社会的特徴を話者が抑制した後に残ったものとして特徴付けるのが一番合っている。[12]

米語の話し言葉の一つの変種を「一般的」と呼ぶことに伴う可能性のある特権化と偏見、特にそれが国家の権威(英語版)方言であること暗示する可能性のため、Kretzchmarは「標準アメリカ英語」(Standard American English)という用語を好む。この用語はより中立的な用語であり、「フォーマルな場面で教育を受けた話者によって用いられる」アメリカ英語の発音の水準を指すが、場所によって、そして話者によってさえも合衆国内でまだ変化しやすいものである[7]。しかしながら、この用語にも問題がある。なぜなら、『「標準英語」は一連の規則に対する適合を反映していると取ることができる、しかしその意味は人格や教育が人物の話し言葉に現われるとする社会の考えと一般に深く関係している』[7] からである。訛りの連続体の下のカナダの話者を包含する目的で、「標準北米英語」という用語もまた、社会言語学者のチャールズ・ボバーグ(英語版)によってごく最近提案されている[8]

現代の言語学者らは、一般米語の元々の観念が、単一の地域的、一つにまとめられた訛り、または標準化された英語の形式(英語版)であるとして疑問を持っている[10][13]。今日、この用語は、多少の内部変動を有する米語の話し言葉の連続体を指すと理解されているが[10]、さもなければ「目立った」発音の特徴(話者の出身地、民族性、社会経済的地位を強く示す特徴)の欠如によって特徴付けられる。「一般米語」という用語の変化し続ける定義と曖昧さから生じる混乱と、一部の言語学者による当然の拒絶[23] にもかかわらず、この用語は基準の「典型的」アメリカ英語の訛りとその他の世界中の英語を比較するための基準点として主に生き残っている[10]
地理的起源

主流の米語の訛り(アクセント。特定の個人、地域、国家に特有の発音方法をいう)はいかなる地域的特徴または地域的影響を含まないという共通認識にもかかわらず、一般米語の音声体系は、実のところ、跡をたどることができる地理的起源を有する。すなわち、内陸ペンシルバニアアップステート・ニューヨーク、隣接した中西部地域を含む非海岸東部合衆国の北部の、20世紀中頃に米国北部都市母音推移(英語版)が起きる前の話し言葉の様式である[24]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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