一万円紙幣
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日本銀行券 一万円券(日本)
価値10,000 円
縦76 mm
横160 mm
偽造防止
すかし、超細密画線、ホログラムなど[1]
発行年2004-現在(E号券)


デザイン福沢諭吉[2]
デザイン年2004


デザイン平等院鳳凰堂鳳凰[2]
デザイン年2004

一万円紙幣(いちまんえんしへい)は、日本銀行券の一つ。額面は10,000円で、歴代の日本銀行券の中で最高額面である。紙幣券面の表記は「壱万円」。

現在主に流通している2004年平成16年)発行のE号券を含め、C号券D号券の3種類が存在する。いずれも法律上有効である[3]

一万円札(いちまんえんさつ)、万札(まんさつ)、または、一万円券(いちまんえんけん)、万券(まんけん)とも呼ばれる。俗に、D号券とE号券の肖像より、諭吉券(ゆきち)、諭吉(ゆきち)とも呼ばれる。
概要

発行された背景は、第二次世界大戦敗戦後のインフレーションによりからへと日常的に使用される通貨単位が切り替わり、さらにはかつて国家予算レベルであった万の位が商取引レベルで登場し始めたためで、1958年(昭和33年)の登場後に高度経済成長の一端を担うこととなった。

原料はミツマタ(三椏)やマニラ麻などで、このうちミツマタはかつて「局納みつまた」として大蔵省印刷局(現在の国立印刷局)と生産契約を結んで栽培されていた。2005年(平成17年)までは、島根県岡山県高知県徳島県愛媛県山口県の6県の農協が生産契約を結び、局納価格は山口県を除く5県が毎年輪番で印刷局長と交渉して決定[4]されていたが、その後の過疎化、高齢化、後継者不足により生産量が激減[5]し、2010年(平成22年)ごろからはネパール中国産のミツマタの輸入で不足分を補うようになった。2016年(平成28年)時点でも国産ミツマタは、岡山県、徳島県、島根県[6]で栽培されている。
C号券表面裏面

1958年(昭和33年)11月20日の大蔵省告示第237号「十二月一日から発行する日本銀行券壱万円の様式を定める件」[7]紙幣の様式が定められている。主な仕様は下記の通り[8]

日本銀行券

額面 壱万円(10,000円)

表面 聖徳太子

裏面 鳳凰

印章 〈表面〉総裁之印 〈裏面〉発券局長

銘板 大蔵省印刷局製造

記番号仕様

記番号色 黒色

記番号構成 記号:英字1 - 2文字+通し番号:数字6桁+記号:英字1文字


寸法 縦84 mm、横174 mm[7]

製造実績

印刷局から日本銀行への納入期間 1956年(昭和31年)11月14日 - 1983年(昭和58年)12月2日[8]

製造枚数 9,323,050,000枚[9]


発行開始日 1958年[10](昭和33年)12月1日[7]

支払停止日 1986年(昭和61年)1月4日[3]

有効券

1953年(昭和28年)にB壱万円券の発行方針が公表されるも、当時は通貨インフレーション発生に対する警戒感が非常に根強く一旦は断念していた[11]1955年(昭和30年)頃から神武景気と呼ばれる飛躍的な経済成長が続き、当時の最高額面のB千円券が紙幣発行高の85%を占めるようになった[12]。やがて経済成長と共に国内経済が安定しかつてのようなインフレーションの心配もほぼなくなり、更なる高額紙幣発行の反対意見も収まりを見せたことから改めて一万円紙幣と五千円紙幣の発行が決定された[12]。依然としてインフレーションや釣銭の扱い等を懸念する声があることも踏まえ、当初は一万円紙幣を先に発行予定であったところ、様子を見ながら五千円紙幣(C五千円券)から順に発行することとなった[12]

発行開始当時の大卒初任給が1万3000円程度ということもあり、当時はこのような高額紙幣は発行する必要があるのかという議論がなされ、小銭を扱う業種では釣銭への対応が難しいといった高額紙幣に対する不安があったが[13]、折しも高度経済成長が始まった時期でもあり高度経済成長の進展とともに順調に流通量が増えていった。

B千円券やC五千円券と同じく肖像は聖徳太子であり、表面右側に描かれている[12]。聖徳太子の肖像については、同じ原画を基にしているものの各券種で別に彫刻されたものであるため表情が僅かに異なっている[12]。裏面には中央の空白部分を挟んで1対の鳳凰の図柄が描かれている。裏面に描かれた鳳凰は、平等院鳳凰堂内の円柱に描かれている鳳凰模様である[12]。大型の寸法の券面のため、記番号は4ヶ所に印刷されている[12][注釈 1]。製造原価は11円27銭(1951年(昭和26年)時点)。

透かし奈良県生駒郡斑鳩町にある法隆寺夢殿の図柄である[12]。B号券以前の透かしよりも精緻で明瞭となったほか、B号券とは異なりその部分には印刷がされていないためこれを容易に確認できる[12]。紙幣用紙は三椏などを原料とするものであるが、洗濯機の普及により誤って洗濯機にかけられて紙幣が損傷するなどの事象が多発したため、用紙の強化を目的に尿素樹脂が添加されている[14]

B号券では製造効率の向上のためにB五十円券を除き縦方向の寸法を同じにして、横方向の寸法のみを額面金額が上がるにつれて8mm間隔で長くしていたが[15]C号券では券種識別性向上のために額面金額が上がるにつれて縦方向に4mm、横方向に5mmずつ長くする形式に変更された[16]

使用色数は、表面10色(内訳は凹版印刷による主模様2色、地模様6色、印章1色、記番号1色)、裏面5色(内訳は凹版印刷による主模様1色、地模様3色、印章1色)となっている[17][8]。新技術である多色凹版印刷が盛り込まれ[12]、凹版印刷による主模様が途中から色の変わる2色刷りとなっている[18]


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