ヴォイツェック
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『ヴォイツェック』草稿.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ポータル 舞台芸術ポータル 文学

『ヴォイツェック』(Woyzeck)は、1835年頃に執筆されたゲオルク・ビューヒナーによる未完の戯曲。実際に起こった殺人事件をもとに、下級軍人ヴォイツェックが、浮気をした情婦のマリーを刺殺する情景を描いている。ビューヒナーの生前は発表されず、死後40年を経てカール・エミール・フランツォースにより原稿が復元され日の目を見ることになった。草稿にはそれぞれ執筆時期の違う断片的な30の場面が描かれており、決定稿・未定稿の区別や場面配列もはっきりしない。このため編纂者の解釈によって場面配列が異なっている。アルバン・ベルクのオペラ『ヴォツェック』の原作としても知られる。
素材詳細は「ヨハン・クリスティアン・ヴォイツェック」を参照

作品の素材は、1821年ライプツィヒでおこったヨハン・クリスティアン・ヴォイツェック(作中ではフランツ・ヴォイツェック)による殺人事件である。41歳の下級軍人であったヴォイツェックは、6月21日の夜、5歳年上の愛人ヨハンナ・ヴォースト(作中ではマリー)が他の軍人と密会したことから彼女と諍いを起こし、持っていた短刀で彼女を刺殺してその晩のうちに逮捕された。しかし逮捕の前後の言動などからヴォイツェックの精神異常の疑いが持たれ、2年にわたる拘留の間に当時としては異例なほど詳細な精神鑑定書が作成された(史実のヴォイツェックはその後犯罪責任能力が認められ死刑を受けている)。この鑑定書は1824年に、ビューヒナーの父がその同人であった医学雑誌『Henkes Zeitschrift fur Staatsarzneikunde』に掲載されており、この鑑定書が作品の直接の資料になったと考えられている。
テクスト

作者ビューヒナーが1837年に急逝したため、作品は発表の機会もなく未完のまま残された。遺稿は断片的であったため、作者の死後も長いあいだ発表されず、1850年に出版されたビューヒナーの最初の著作集にも収録されなかった。その後ビューヒナーの未発表の草稿が残されていることを伝え聞いた作家・編集者のカール・エミール・フランツォースが、遺族から草稿を借り受け、ほとんど判読不能になっていた原稿に化学処理を施して解読し、1875年10月に『メーア・リヒト』第1号にて初めて発表、1879年に『ヴォイツェック』をふくむビューヒナーの作品集を出版した。なお難読のために題名および主人公の名である「ヴォイツェック(Woyzeck)」は当初「ヴォツェック(Wozzeck)」と考えられており、1920年にヴィトコウスキーによる遺稿集が出版されるまでは「ヴォツェック」と表記されていた。このためオペラでは現在も『ヴォツェック』と表記されている。

フランツォースによって復元された草稿群は大きく分けて3つのブロックに分けられる。初稿と考えられる第1のブロックは21センチ×31センチほどの大きさの2つ折り用紙5枚であり、このうち20ほどの場面が書き込まれている2枚は男の名がルイ、女の名前がマルグレートとなっていて、ほかの3枚では男の名がフランツ・ヴォイツェック、女の名がルイーズになっている。2つ目のブロックは16.8センチ×21センチ四つ折の用紙1枚であり、ほかの場面とまったく関連をもたない2場面(後述の15および補遺の3)が書き込まれている。第3のブロックは浄書と考えられる16.4センチ×20.6センチの四つ折用紙6枚で、他のブロックとある程度重なる17の場面が描かれている。これらの草稿は現在ヴァイマルのゲーテ・シラー記念館に保存されている。
主な登場人物草稿の端に書かれた人物のスケッチ
フランツ・ヴォイツェック
兵卒。作中では30代。特に広野の場面で精神異常を思わせる言動をし、頭のなかで響く奇妙な声に促されて情婦マリーを刺殺する。
マリー
ヴォイツェックの情婦。ヴォイツェックとの間にクリスティアンのという名の男の子をもうけている。鼓手長と姦通し罪の意識に苛まれるが、やがてヴォイツェックによって殺害される。
アンドレース
兵卒。ヴォイツェックの同僚。広野の場面でヴォイツェックとともに現れ、彼の奇妙な言動を目にするがほとんど取り合わない。
中隊長
大尉。ヴォイツェックの上司。ヴォイツェックに髭をそらせて彼をからかう。
医師
ヴォイツェックを雇っている医師。彼にインゲン豆だけの食事をさせるという人体実験を行なっている。
鼓手長
マリーの浮気相手。
カール
阿呆。マリーの部屋におり、クリスティアンをあやす。
場面

日本語訳『ゲオルク・ビューヒナー全集』および『ヴォイツェック ダントンの死 レンツ』に従い、以下の場面はフリッツ・ベルゲマン校訂新版(1949年)をもとに配列している。各場面は非常に短い。
大尉の家。大尉が椅子に腰掛けて、ヴォイツェックに髭を剃らせながら語りかける。

広野。ヴォイツェックとアンドレースが藪の中で隊長のために枝を切っている。アンドレースは民謡を口ずさみ、ヴォイツェックは地面や空から不思議な兆候を感じ取り「フリーメーソン」のしわざだと話す。

町(マリーの部屋の前)。マリーと隣人のマルグレートが窓際から軍楽隊を目にする。軍楽隊の先頭には鼓手長がいる。


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