ヴェルガース
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ヴェルガース(Velgarth)は、マーセデス・ラッキーの『ヴァルデマール年代記』の舞台となる架空の世界。世界の名称については作中ではほとんど言及されず、「ヴァルデマールの使者」三部作においてわずかに現れるのみである。

本項において“=”が多用されるが、これは声門閉鎖音を表している。
歴史と作品の関係

以下において、BF:ヴァルデマール建国前、AF:ヴァルデマール建国後である。
1000BF
『魔法戦争』 (MAGE WARS) 三部作
黒き鷲獅子 (The Black Gryphon)The White GryphonThe Silver Gryphon
750AF - 798AF
『最後の魔法使者』 (THE LAST HERALD MAGE) 三部作
魔法の使徒 (Magic's Pawn)魔法の誓約 (Magic's Promise)魔法の代償 (Magic's Price)
1077AFBrightly Burning(未訳)
1270AF
タルマ&ケスリー(VOWS AND HONOR)二部作
女神の誓い裁きの門
タルマ&ケスリー短編集
誓いのとき
1376AF
アルベリッヒの物語
追放者の矜持 (Exile's Honor)追放者の機略 (Exile's Valar)
ケロウィンの冒険
運命の剣
スキッフの物語
盗人の報復 - ヴァルデマールの絆 (Take a Thief)
『ヴァルデマールの使者』(HERALDS OF VALDEMAR) 三部作
女王の矢 (Allows of the Queen)宿縁の矢 (Allow's of Flight)天翔の矢 (Allow's Fall)
『ヴァルデマールの風』(THE MAGES WINDS) 三部作
宿命の囁き (Winds of Fate)失われし一族 (Winds of Change)伝説の森 (Winds of Fury)
『ヴァルデマールの嵐』(THE MAGE STORMS) 三部作
太陽神の司祭 (Storm Warning)帝国の叛逆者 (Storm Rising)魔法使いの塔 (Storm Breaking)
Darian's Tale 三部作(未訳)
OwlflightOwlsightOwlknight
神の概念

ヴェルガースでは神や女神が息づいており、信仰の対象ともなっている。しかし多くの場合において女神が主であり、対応する男神が作中で語られることはほとんどない。多神教(あるいは女神の複数の面に対する信仰)が主ではあるが、一神教がないわけではない(『女王の矢』では一神教の存在と、それが信仰されている地域が限られていることが垣間見られる)。基本的に神が地上に介入することはないが、それは地上に争いを持ち込まないためだとされている。

本項においては、特に区別する必要がない場合は「女神」と記す。
星の瞳
ドゥリシャ平原及びペラジール山脈で起きたことで知らぬものはほとんど無いとされる女神。外見の特徴として、白目も虹彩も黒目も無い黒い瞳に星がちりばめられた目が挙げられる。シン=エン=インとテイレドゥラスが主に信仰する。季節と方角に応じて〈乙女〉〈猛きもの〉〈母なるもの〉〈古きもの〉という四面を持つ。〈星の瞳〉が罰するのは立てた誓いを自ら破った者であり、女神に救いを求めるしか打つ手が無くなった者、全力を尽くした者には奇跡を授けることもある。
星の瞳に対応する四つの顔を持つ男神
正式名称不明。それぞれ〈さまよえるもの〉〈守れるもの〉〈狩るもの〉〈導くもの〉
太陽神ヴガンディス
カースで信仰されている男神。近年(1376AF以降)になって陰に陽に活動する描写が散見される。『追放者の矜持』では子供の姿で降臨し、テドレルに誘拐された子供たちを率いてヴァルデマールに救出させる手筈を整えた。その際の容姿は赤い髪に青い瞳と、〈火猫〉と色合いが似る。また、奇跡を行使してソラリスを〈太陽神の息子〉に選定。〈憑依〉によって宣託を告げたり、〈火猫〉を遣わせ助言させる。配偶神がいたらしいが、古代に排除された。ヴァルデマールとも古くから関わりがあり、〈共に歩むもの〉を呼んだ祈祷において名前が存在するほどである。
影の恋人
一般的に言うところの
死神。『魔法の誓約』で死に瀕したヴァニエルの前に青い目を持つ〈使者〉の姿で現れた。
魔法

魔法は、他者(それが自然なものか超自然なものかは別として)の力を行使する魔法と、己の内なる源から引き出す心理魔法(超能力)に大別される。また、まれにではあるが女神が直接力を及ぼすこともある。

女神が直接力を行使する場合、あるいは、大地のまじないなどを除き、魔法や心理魔法を行使するには生まれ持った素養(天恵 - 「そしつ」と呼ばれる)が必要である。天恵は訓練によって引き出すことができるが、最大限に引き出した場合の限界は、生まれ持った素養によって決まる。ほとんどの〈使者〉〈魔法使者〉は強力な天恵を1?2種類有しているのみで、3種類以上同じ強さで備えている者は滅多に居ない。また、天恵が目覚める場合は多くの問題が発生する。

また、〈達人〉になれば別だが、多くの魔法は代償を必要とする。これは強大な魔法ほど顕著で、多くの場合行使者本人の“疲労”という形で表現されるが、異世界の存在を召喚した場合や、直接女神の力を望んだ場合などは別の(時には命に関わりかねない)代償を払う必要がある。

魔法には脱色作用がある。特に交点から力を引き出す者、テイレドゥラスのように要石の近くで暮らす者は強い影響を受ける。〈達人〉は顕著で、中には10歳で完全に脱色された者もいる。人間や動物に関わらず、毛が白く、目が青くなるのが特徴。
主な魔法
他者の力を行使する魔法
この場合の「他者」とは地脈(『宿命の囁き』)、大自然そのものや怒りなどの精神エネルギー(ともに『裁きの門』)などさまざまだが、女神に祈ることで行使する魔法や、死や苦痛のエネルギーを利用する“血の魔法”とは区別される。
儀式魔法
儀式によって異世界の存在を召喚したり、あるいは儀式が魔法の一部をなしているもの。前者の例は『女神の誓い』におけるダルカーシュの召喚や、ケスリーが行なった召喚。後者の例は『裁きの門』でケスリーが行なう儀式魔法である。
女神に祈ることで行使する魔法
作中では詳細に述べられていないが、他のファンタジー世界で言う「僧侶魔法」にあたる。これが存在することは、『運命の剣』でケロウィンが戦利品を魔法使いと祈祷師の双方に鑑定させていることでわかる。また、シン=エイ=インの祈祷師が行使する魔法もこれに含まれる。
血の魔法
苦痛や死に伴って発生するエネルギーを利用する魔法。必ずしも血や死を伴う必要はないが、〈血の魔法〉あるいは〈死の魔法〉と呼ばれる。この魔法を行使する者はたいていの場合、忌み嫌われる。女神に祈ることで行使する魔法の一部には、己の血を流すものや、女神への〈請願〉の代償として命を捧げるものがあるが、これは“血の魔法”そのものには善悪はないことを表している。
主な心理魔法 上述の通り、心理魔法は我々の言う超能力にあたるものである。魔力の利用が制限されたヴァルデマールで使用できるのは心理魔法のみであり、逆に心理魔法を体系だてて研究し使用しているのは、使者のみである。使える能力は術者の天啓により、使者がすべて心話を使えるわけではない。
心話
テレパシーに相当する、心と心で会話するもの。対象は人間だけでなく、動物も含まれる。ヴァルデマールの〈使者〉と〈共に歩むもの〉は心話でつながっている場合が多い。動物のみといったように、対象が限定される場合もある。〈読心〉〈思念投射〉の天恵も含まれる。
遠視
千里眼に相当する、遠距離を見通すもの。他の能力と組み合わせる、あるいは他の術者に視界を送ることで、遥か遠方の物を取り寄せたり、特定の目標を発火させるなども可能。
物体移動
手を使わずに物体を移動させる、念力に相当するが、広義には “物品取り寄せ” “火熾し” 等を含む。
共感
“心話” は心を感知するが、これは感情を感知し、影響を及ぼすことができる。通常は“癒し”の能力に付随して現れ、患者の精神的外傷を緩和することに用いられる。逆に、恐怖を煽り発狂に至らしめることも可能。タリアのようにこの天恵のみを持つのは極めてまれな例外である。
発火
パイロキネシスに相当する。能力が高ければ空気中に火を熾せ、逆に、直前まで燃えていたものを手で持てるほど冷ますことも出来る。使者が持つ数少ない直接的な攻撃魔法となる。
先見
予知に相当する。〈先見〉夢を見る場合もあるが、「現時点から見て最も起こり得る出来事」であり、回避は可能。
その他の能力

以下ははっきりと魔法とはいえないもの、あるいは上記に分類できないものである。
魔法の視力
魔法のエネルギーを見る能力のこと。目くらましをかけられていても、より強い魔法の視力に見破られる。


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