ヴェスパー_(カクテル)
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ヴェスパー・マティーニ

基本情報
作成技法シェーク
無色透明
グラス   カクテル・グラス
レシピの一例
ベースドライ・ジン
装飾材料レモン果皮
材料ドライ・ジン …… 90ml
ウォッカ …… 30ml
キナ・リレ (リレ・ブラン) …… 15ml
備考小説『007 カジノ・ロワイヤル』でイアン・フレミングが考案
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ヴェスパー (Vesper) あるいはヴェスパー・マティーニ (Vesper Martini) は、ジンをベースとするカクテル。ジンとウォッカ、それにキナ・リレ(Kina Lillet、現名: リレ・ブラン)とを入れ、シェイクして作るカクテルの名称。マティーニの一種である。小説『007 カジノ・ロワイヤル』でイアン・フレミングが考案し、2006年に公開された同名の映画でも原作を再現する形で登場した。
概要

名称は、小説家イアン・フレミングジェームズ・ボンド連作小説中、第一作目の『007 カジノ・ロワイヤル』(1953年)に由来し、ジェイムズ・ボンド恋人役(ボンドガール)として登場するヴェスパー・リンドの名前から付けられた。

一般的なマティーニは、ジンとベルモットに氷を入れてバースプーンでステアし、オリーブの実を添え、場合によってはレモンを飾るが、原作中のヴェスパーは、イギリス産ゴードンズのジンと、ロシア産(またはポーランド産)ウォッカの両方を入れ、ベルモットの代わりにフランス南西部ボルドーアペリティフワインのキナ・リレ[1]を、またオリーブの実の代わりにレモンの皮を入れるのが特徴。

原作でボンドはレシピを細かく指定して注文したあと、フェリックス・ライターが、ジャガイモから作ったウォッカを用いるよりも、穀物のウォッカを使った方がおいしくなり、またロシア産、あるいはポーランド産ウォッカがよいとボンドに提言した[2]

なお、現在キナ・リレは製造されておらず、通常は代わりにリレ社 (fr:Lillet) [3]の後継銘柄、リレ・ブラン[4]や「キナ・ラエロ・ドール」を用いる。日本国内ではサントリーがリレ・ブランを代理販売していたが[5]、2005年に取り扱い中止となった。ただし並行輸入などで小規模ながら流通はあるので2014年現在でも入手は可能である。

小説や映画で人気が出たため、現在ではマティーニの定番の一つとなっているが、ボンドはこれ以外にさまざまなマティーニを注文しているため、ヴェスパーのみが「ボンド・マティーニ」というわけではない[6]。たとえばボンドの有名な台詞(せりふ) "Vodka Martini. Shaken, not stirred". (「ウォッカ・マティーニを。ステアせずにシェィクで」)は[7]、ヴェスパーとは別物を指す[8]。2006年に公開された映画『007 カジノ・ロワイヤル』の人気でリレ・ブランに注文が殺到して品薄となり、入手が困難となっているという話もささやかれている[9]

作家の東理夫ソ連が対立する冷戦時代に、もしかしたらフレミングが「世界平和の願いをこめ」て発案したのかもしれない、と推理している[10]
レシピ
概要

ドライ・ジン = 90ml

ウォッカ = 30ml

キナ・リレ (リレ・ブラン) = 15ml

レモン果皮 (飾り用)

詳細

原作『007 カジノ・ロワイヤル』では、ゴードンズのジンを3オンス[11]、ウォッカを一オンス、キナ・リレ半オンスに氷を加え、単に混ぜるだけではなく、氷で冷たくなるまでよくシェイクし、大きめに薄く削いだレモンの皮を入れる。

一般的な作り方は上述したように、キナ・リレの代わりにリレ・ブランを用いてシェイクし、深めのシャンパン・グラスに注ぎ、ラセン状に剥(む)いたレモンの皮を入れる[12][13]

リレ・ブランを製造するリレ社は、従業員七名という小さな会社である(2006年12月現在)[14]ため、出荷量に限度があり、入手できない場合はベルモットで代用せざるを得ないが、当然、味わいは異なる。また、キナ・リレを用いたヴェスパーの苦みを再現する試みとして、リレ・ブランを用いてキニーネ粉末を加えるレシピもある[15]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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