ヴェイパーウェイヴ(Vaporwave)
ヴェイパーウェイヴのイメージ
様式的起源チルウェイヴ、ニューエイジ、ラウンジ・ミュージック、アンビエント、エレベーター・ミュージック
ヴェイパーウェイヴ(またはベイパーウェーブ、蒸気波、英: Vaporwave)は、2010年代初頭にWeb上の音楽コミュニティから生まれた音楽のジャンルである。過去に大量生産されて忘れ去られた人工物や技術への郷愁、消費資本主義や大衆文化、1980年代のヤッピー文化、ニューエイジへの批評や風刺として特徴づけられる[2][7]。基本的にパソコンとDAWを用いて、素材の加工と切り貼りだけで制作される。
概要(英語版)ほか[8][9])から誕生した。音楽的には、1980年代から1990年代にかけての大衆音楽、ラウンジ・ミュージック、スムースジャズ、コンテンポラリー・R&Bなどのサンプリングを基本とし[8]、そこからループ、ピッチダウン、チョップド&スクリュード(英語版)などエフェクトを重ねていくことによって制作される[10][11][12][13]。この編集により一種独特な音が生まれ、さながら蒸気に包まれるような感覚を与えることからヴェイパーウェイヴと名付けられたとも、もしくはチルウェイヴのパロディのように生まれた経緯からそう呼ばれるようになったとも推測されている[14]。あるいはVaporwareの引用であるともされる。集めた素材を切り貼りする制作手法は現代音楽の1ジャンルであるミュージック・コンクレートと類似する。また、空気感で環境を表現する作品が多く、ある種のアンビエント音楽も兼ねている。現代のヴェイパーウェイヴは多数のサブジャンルに派生し、ジャンル発足当初の精神性に縛られなくなっており、画像・音声の寄せ集めによる矛盾だらけの世界観という点以外は共通点が無くなっている。
様式的なアートワークや作品名も、この音楽ジャンルを強く特徴付けている。アートワークは主として、80年代から90年代に流通した製品、旧式コンピュータによるCGやWindowsなど旧式コンピュータそのもの、VHSスチール、カセットテープ、サイバーパンク、古典彫刻[15]など、過去の時代において大量に流通していた要素がモチーフとして用いられた。プロモーション・ビデオは、1980年代から1990年代にかけての深夜のテレビ番組の感覚を、それも安物のブラウン管テレビで映し出したような感覚を再現した物が多い。