北欧神話において、ヴァーリ または ヴァリ (Vali) はロキの息子である。彼は、スノッリ・ストゥルルソンによる『スノッリのエッダ』の『ギュルヴィたぶらかし』の部に名前が挙げられている。バルドルが死んだ後、アース神族はロキを追い詰めて捕らえた。
Nu var Loki tekinn gridalauss ok farit med hann i helli nokkvorn. Ta toku teir trjar hellur ok settu a egg ok lustu rauf a hellunni hverri. Ta varu teknir synir Loka, Vali ok Nari eda Narfi. Brugdu asir Vala i vargsliki ok reif hann i [sundr] Narfa, brodur sinn. Ta toku asir tarma hans ok bundu Loka med yfir ta trja [egg]steina, einn undir herdum, annarr undir lendum, tridi undir knesfotum, ok urdu tau bond at jarni. — ⇒Eysteinn Bjornsson's edition
今やロキは容赦なく捕らえられて、神々によってある洞穴へ連れて行かれた。神々は3個の平たい岩を取り、刃を当ててそれぞれの岩に穴を開けた。それから、ロキの息子、ヴァーリと、ナリまたはナルヴィを捕らえてきた。アース神族はヴァーリを狼の姿に変え、すると彼は兄弟であるナルヴィを真二つに裂いた。そしてアース神族はナルヴィの腸を取り、ロキを3つの岩の上に腸で縛り付けた。1本目はロキの肩の下へ、2本目は彼の腰の下へ、3本目は彼の膝の下を縛めた。そしてその枷は鉄へと変えられた。
『巫女の予言』の謎のスタンザはこの事件を引き合いに出したものと思われ、おそらくスノッリの情報源であったであろう。ロキの息子ヴァーリは、この箇所以外では知られていない。『巫女の予言』のスタンザは実はオーディンの息子ヴァーリを指していることが提唱されており、スノッリはそのことと辻褄を合わせるためにロキの息子ヴァーリという登場人物を創ったのである。
参考文献
Brodeur, Arthur Gilchrist (transl.) (1916). The Prose Edda by Snorri Sturluson. New York: The American-Scandinavian Foundation. Available online at ⇒http://www.northvegr.org/lore/prose/index.php.
Eysteinn Bjornsson (ed.). Snorra-Edda: Formali & Gylfaginning : Textar fjogurra meginhandrita. 2005. ⇒http://www.hi.is/~eybjorn/gg/
表
話
男神
ウル
オーズ
オーディン
クヴァシル
ダグ
テュール
デリング
トール
エーギル
ニョルズ
ヴァーリ
バルドル
ヴィーザル
ヴィリとヴェー
ヒューキ
フォルセティ
ブラギ
フレイ(イングナ・フレイ|ユングヴィ)
ヘイムダル
ヘズ
ヘーニル
ヘルモーズ
マグニとモージ
マーニ
ミーミル
メイリ
ロキ
ローズル
女神
イズン
イルムル(英語版)
イルパ(英語版)
エイル
グナー
グルヴェイグ
ゲフィオン
ゲルズ