ヴァイツェン
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この項目では、原義であるアルコール飲料としての白ビールについて説明しています。「白ビール」の愛称を持つコンピュータ将棋プログラムについては「Hafeweizen」をご覧ください。
ドイツのヴァイスビア

白ビール(しろビール)または小麦ビール(こむぎビール)とは、小麦を多くの割合で使用して醸造したビールである。白ビールにはまた、大麦麦芽もまた使用する。白ビールは通常上面発酵である(ドイツでは法で定められている)[1]。白ビールには複数のスタイルがあり、風味も異なる。
白ビールの種類

一般的な白ビールには、ベルギーのヴィット(witbier、ベルギー式白ビール)とドイツのヴァイスビア(Weisbier)がある。

ヴィットは伝統的にコリアンダーオレンジピールで風味付けし[2]、ヴァイスビアは伝統的に50%以上の小麦麦芽を使用した明るい色のエールである[3]。ヴィットとヴァイスビアは、薄い色のビールであるため、歴史的に白ビールと呼ばれている。

ベルギーの白ビールにはコリアンダーやビターオレンジピールといった香辛料が加えられ、ほのかにフルーティーな風味が加えられている。他のように小麦麦芽だけでなく、麦芽化していない生の小麦を使用して醸造される。

ドイツの白ビールはドイツ西部(バーデン=ヴュルテンベルク州)および北部などでヴァイツェン(小麦)と呼ばれ、バイエルン州の一部でヴァイスビアまたはヴァイス(白ビールまたは白)と呼ばれる。ヘーフェヴァイツェン(Hefeweizen、ヘーフェはドイツ語で酵母)は、濾過していない白ビールの名前であり、クリスタルヴァイツエン(Kristallweizen)は濾過した小麦ビールである。

他の国、特に米国カナダブルワリーでは、ベルギーとドイツの伝統に基づき特別な小麦酵母を使用するが、白ビールには通常のエール酵母で醸造する種類もあり、それらはバイエルンのスタイルよりもフルーティーではない[4]

サワーエールのベルリーナー・ヴァイセゴーゼ、およびランビックは小麦を使用して醸造する。

イギリスでは、伝統的に白ビールはないが、いくつかの醸造所はカスク(2次発酵)の白ビールが作られる(FullersのDiscovery、OakleafのEichenblatt Bitte、HoskinsのWhite Dolphin、FyfeのWeiss Squad、OakhamのWhite Dwarf)。イギリスの白ビールは、大陸のスタイルの正確な製法でなくイギリスのビターとの掛け合わせの傾向を持つ[5][6]

白ビールは、一般に春・夏の季節商品である。
ヴァイツェン

ドイツ地方で造られている白ビールであり、大麦麦芽と小麦麦芽で造られ最大の特徴はヴァイツェン酵母のバナナ香である。フルーティーな香りを持ち、ホップの苦味は少ないことが特徴である。

ヴァイスビア(ヴァイツェン)は、ドイツの呼び名の通り、数種の白ビールを示す。ヘーフェヴァイツェンは伝統的に、濾過していない白ビールである。クリスタルヴァイツエン、またはクリスタルヴァイスビアは、ヘーフェヴァイツェンを濾過して酵母を除いた小麦ビールである。濾過処理によりビールに濁りを加える小麦タンパク質も取り除かれる。

ヘーフェヴァイツェンの別称は、ヘーフェヴァイスビア、ヴァイスビア、ヘーフェヴァイス、ドゥンケルヴァイツェン、ヴァイツェンボック、ヴァイツェン・シュタルクビアである。ヴァイツェンボックは、無濾過でなければヘーフェヴァイツェンではない。

他の特徴はヘーフェヴァイツェンを調和させるフェノール香の風味である。代表的なフェノールは、このスタイルに適するエール酵母の発酵による、フェルラ酸の代謝生成物である4-ビニル グアヤコールである。ヘーフェヴァイツェンのフェノール香は「クローブ」、「薬香」(バンドエイド)または煙の臭いと言われる。他の特徴的な香りは、僅かであるが、「バナナ」(酢酸アミル)、「クローブ」、「バブルガム」、あるいは「バニラ」(バニリン)を含むエールの風味を持つ。

ヘーフェヴァイツェンの著名な商品例は、Paulaner、Erdinger、Schneider Weisse(original amberのみ)、Franziskaner、Schweiger、Hacker-Pschorr、Ayinger(Brau Weisse)、Weihenstephanerである。このスタイルは現在ドイツ中で飲まれているが、特に生産地のドイツ南部で人気がある。
白ビール以外のヴァイツェン

ヴァイツェンには度数の強いものもある。デュンケルヴァイツェン(濃い小麦)、ヴァイツェン・シュタルクビア(強い小麦ビール)は、ヴァイツェンボックと呼ばれる。濃い小麦の種類は薄い色よりも通常アルコール度数が高い。
ベルギー式白ビールヴィット

ヴィットビール(オランダ語: witbier、英語: Belgian style white ベルジャンスタイルホワイト、フランス語でビエール・ブランシュ;biere blanche)は大麦麦芽と麦芽化していない小麦で造られる上面発酵のエールで、主にベルギーで醸造される。他にはオランダ などで醸造される。酵母と小麦タンパク質により、冷やすとビールが濁り、外観は黄色がかった乳白色である。ホップを使用せず。香辛料や他の植物を調合した「グルート」で風味付けと保存加工をし、醸造した中世のビールの末裔である。このため現在もグルートを使用しているが、コリアンダーオレンジ、ビターオレンジ、ホップで作られる。したがってホップの風味は僅かであり、夏向けで非常に爽快な味わいである。このビールは乳酸のため多少酸味がある[7][8]。ビールに残る酵母は、瓶の中でもいくぶんの発酵を続ける。

ヴィットは他の白ビールと異なりグルートを使用する。フランスの法律(この地域は14世紀にはフランス領域であった)で、グルートにホップを使用することは禁じられていた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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