数学におけるヴァイエルシュトラスの楕円函数(ヴァイエルシュトラスのだえんかんすう、英: Weierstrass's elliptic functions)は、カール・ヴァイエルシュトラスに名を因む、単純な形をした楕円函数の一種である。このクラスの楕円函数は、ペー函数と呼ばれ、一般に ? なる記号(ヴァイエルシュトラス・ペー)で表される。ヴァイエルシュトラスのペー函数記号
目次
1 定義
2 不変量
2.1 特別の場合
3 微分方程式
4 積分方程式
5 モジュラー判別式
6 定数 e1, e2, e3
7 いくつかの定理について
8 基本半周期 1 の場合
9 一般論
10 ヤコビの楕円函数との関係
11 注釈
12 参考文献
13 外部リンク
定義複素数平面の部分集合上で定義されたヴァイエルシュトラスのペー函数を、標準的な視覚化法として、極を白く、零点を黒く、 。 f ( z ) 。 = 1 {\displaystyle |f(z)|=1} で彩度が極大になるように表したもの。極の成す正則格子と零点の成す交互格子に注意。
ヴァイエルシュトラスの楕円函数は、近しい関係にある三種類の方法で定義することができて、それぞれ一長一短がある。一つは、複素変数 z と複素数平面上の格子 Λ の函数として、いま一つは z と格子の二つの生成元(周期対)を与える複素数 ω1, ω2 を用いて述べるもの、残る一つは z と上半平面における母数 (modulus) τ に関するものである。最後のはその前のと、上半平面上の周期対を選んで τ = ω2/ω1 とした関係にある。この方法では、z を止めて、τ の函数と見ると、ヴァイエルシュトラス楕円函数は τ のモジュラー函数になる。
周期対を与える方法を具体的に書けば、ω1, ω2 を二つの周期に持つペー函数は、 ℘ ( z ; ω 1 , ω 2 ) = 1 z 2 + ∑ n 2 + m 2 ≠ 0 { 1 ( z + m ω 1 + n ω 2 ) 2 − 1 ( m ω 1 + n ω 2 ) 2 } {\displaystyle \wp (z;\omega _{1},\omega _{2})={\frac {1}{z^{2}}}+\sum _{n^{2}+m^{2}\neq 0}\left\{{\frac {1}{(z+m\omega _{1}+n\omega _{2})^{2}}}-{\frac {1}{\left(m\omega _{1}+n\omega _{2}\right)^{2}}}\right\}}
で定義される。このとき、周期格子
Λ = { m ω 1 + n ω 2 : m , n ∈ Z } {\displaystyle \Lambda =\{m\omega _{1}+n\omega _{2}:m,n\in \mathbb {Z} \}}を考えれば、格子の任意の生成対に対して ℘ ( z ; Λ ) = ℘ ( z ; ω 1 , ω 2 ) {\displaystyle \wp (z;\Lambda )=\wp (z;\omega _{1},\omega _{2})}
は複素変数と格子の函数としてのペー函数を定める。
上半平面に属する複素数 τ に対して、 ℘ ( z ; τ ) = ℘ ( z ; 1 , τ ) = 1 z 2 + ∑ n 2 + m 2 ≠ 0 { 1 ( z + m + n τ ) 2 − 1 ( m + n τ ) 2 } {\displaystyle \wp (z;\tau )=\wp (z;1,\tau )={\frac {1}{z^{2}}}+\sum _{n^{2}+m^{2}\neq 0}\left\{{1 \over (z+m+n\tau )^{2}}-{1 \over (m+n\tau )^{2}}\right\}}