『ヴァルキューレ』(ドイツ語: Die Walkure)は、リヒャルト・ワーグナーが1856年に作曲し、1870年に初演した楽劇[1]。台本も作曲者による。『ワルキューレ』の表記もある[2]。ワーグナーの代表作である舞台祝祭劇『ニーベルングの指環』四部作の2作目に当たる。
目次
1 概要
2 作曲の経緯
2.1 構想と台本
2.2 作曲
3 初演
4 編成
4.1 登場人物
4.2 楽器編成
5 構成
5.1 第1幕 「館の内部」
5.2 第2幕 「荒涼とした岩山」
5.3 第3幕 「岩山の頂き」
6 物語
6.1 ヴォータンの「遠大な構想」
6.2 転回点としての第2幕の重要性
6.3 近親相姦のモチーフ
6.4 ギリシア神話との関連
7 音楽
7.1 主なライトモティーフ
7.2 象徴性
8 配役及び演出について
8.1 配役
8.2 演出
9 影響
9.1 文学
9.2 舞台作品
9.3 映画
9.4 その他
10 脚注
11 参考文献
12 関連項目
13 外部リンク
概要 岩の上のブリュンヒルデ:ショット社ヴォーカルスコアの表紙絵(1899年)
『ニーベルングの指環』四部作は、ひとつのプロローグと3日を要する舞台上演と見なすことができ、その「第1日」に当たる本作『ヴァルキューレ』は、「序夜」(『ラインの黄金』)を除く「三部作」の実質的な幕開けに位置づけられる作品である。
四部作はそれぞれ独立した性格を持ち、単独上演が可能である。そのなかで『ヴァルキューレ』は、もっとも人気が高く、上演機会も多い。感動的な愛情表現の場面や、ライトモティーフの使い方が自然かつ巧緻であるなど作曲技法の円熟を理由に、『指環』四部作にとどまらず、ワーグナーの全作品中でももっとも優れたもののひとつとも見なされている。
とくに、第1幕でのジークムントによる「春と愛の歌」(「冬の嵐は過ぎ去り」)、「ヴァルキューレの騎行」として知られる第3幕の序奏、終盤で「ヴォータンの告別」からつづいて「魔の炎の音楽」で幕切れとなる部分はしばしば独立して演奏される。