ワニギス亜目
オグロトラギス Parapercis pacifica
分類
ワニギス亜目(学名:Trachinoidei)は、スズキ目に所属する魚類の分類群の一つ。12科53属で構成され、イカナゴ・ハタハタなど237種が記載される[1]。沿岸域の砂礫地に生息する底生魚が多い。 ワニギス亜目の魚類はそのほとんどが海水魚で、淡水産種はケイマッリクテュス科の1種などごく少数に限られる[1]。熱帯地方の沿岸域に生息する種類が多いが、ミシマオコゼ科
目次
1 分布・生態
2 形態
3 分類
3.1 クロボウズギス科
3.2 ワニギス科
3.3 ハタハタ科
3.4 トラギス科
3.5 ケイマッリクテュス科
3.6 ベラギンポ科
3.7 トビギンポ科
3.8 ホカケトラギス科
3.9 レプトスコプス科
3.10 イカナゴ科
3.11 トラキヌス科
3.12 ミシマオコゼ科
4 出典・脚注
5 参考文献
6 外部リンク
分布・生態
ワニギス亜目には12科が所属するが、トラギス科・ホカケトラギス科・ミシマオコゼ科の3科に約6割の種類が含まれる[1]。これら3科の仲間はいずれも底生性の沿岸魚で、砂地あるいは礫地の海底でじっと獲物を待つ姿が観察される。砂に潜る性質をもつ種類が多く、昼の間はほぼ全身を埋没させているミシマオコゼ、体の半分を砂に埋もれさせるハタハタや、普段は海底の直上を泳ぎ危険を感じると瞬時に砂泥中に潜り込むタイワンイカナゴなど、さまざまな習性がみられる[2]。上記3科以外の仲間も多くは底生魚だが、クロボウズギス科の魚類は海底から離れた中層を遊泳して生活する。
日本近海にも比較的多くの種類が分布しており、ハタハタ・イカナゴなどは食用種として漁獲される[2]。他種も底引き網・刺し網などに混獲され、主に練り製品の原料として利用される。 基底の長い背鰭と臀鰭をもつことが、多くのワニギス類に共通する特徴となっている[3]。背鰭は2つの部分に分かれることが多く、第1背鰭は棘条のみ、第2背鰭は少数の棘条と多くの軟条で構成される。 ワニギス亜目の単系統性を示す形態学的形質は乏しく、腹鰭・胸鰭の支持骨格にいくつかの特徴を有するのみである[4]。 ワニギス亜目にはNelson(2006)の体系において12科53属237種が認められている[1]。設置されている科のいくつかは暫定的なものとみなされ、再検討の必要性が指摘されている[1]。かつて本亜目に所属したポリディクテュス科 Pholidichthyidae は、現在では独立の亜目として扱われるようになった[5]。 クロボウズギス科 Chiasmodontidae 口が大きく鋭い歯をもち、上顎は細長く癒合した前上顎骨と主上顎骨によって支えられている。口と胃の伸縮性が極めて高く、自身よりも大きな獲物を捕食し、飲み込むことが可能になっている[1]。 ワニギス科
形態
分類
クロボウズギス科 オニボウズギス Chiasmodon niger (クロボウズギス科)。大きな獲物を飲み込み、腹部が極端に拡張している クロボウズギス科の1種(Pseudoscopelus scriptus)。本科には中層遊泳性の深海魚が多く所属する
オニボウズギス属 Chiasmodon
クロボウズギス属 Pseudoscopeius
トゲボウズギス属 Dysalotus
ワニグチボウズギス属 Kali
ワニギス科
本科は他のワニギス亜目魚類との関連性が乏しく、むしろカサゴ目に近縁とする見解もある[6]。北部カフカース地方における始新世の地層から、絶滅属 Eochampsodon の化石が見つかっている[1]。
ワニギス属 Champsodon
ハタハタ科 ハタハタ科の1種(Trichodon trichodon)。本種はカリフォルニアからアラスカにかけての太平洋北東部に分布する トラギス Parapercis pulchella (トラギス科)。左はヒメサツマカサゴ(カサゴ目)。特徴的な縞模様が和名の由来となっている
ハタハタ科 Trichodontidae は2属2種からなり、いずれも北太平洋の沿岸域に生息する。砂地の海底で、体の後ろ半分を砂中に沈めた状態でじっとしていることが多い[1]。アラスカから日本・韓国にかけて分布するハタハタ(Arctoscopus japonicus)は、日本では底引き網・定置網で漁獲され塩焼きなどにして利用されるほか、その卵は「ブリコ」と呼ばれ珍重される。
口はほぼ真上を向き、房飾りのような構造に縁取られている。前鰓蓋骨には5本のトゲがある。鱗をもたず、側線は不明瞭である。第1背鰭の棘条は8-16本で、第2背鰭との間隔が広い。 トラギス科
ハタハタ属 Arctoscopus ハタハタのみ
エゾハタハタ属 Trichodon エゾハタハタのみ
トラギス科