ワイルド・スピードX2
2 Fast 2 Furious
監督ジョン・シングルトン
脚本マイケル・ブラント
デレク・ハース
『ワイルド・スピードX2』(原題: 2 Fast 2 Furious)は、2003年公開されたアメリカ映画。ワイルド・スピードシリーズ第2作で、ストリートレース及びスポーツコンパクトを題材にしたカーアクション映画。舞台はフロリダ州マイアミ。 容疑者逃亡幇助の罪で警察官の立場を追われることとなったブライアン・オコナーは、各地を転々としながらやがて辿り着いたマイアミでストリートレースに興じ、その高い実力からカリスマレーサーとして名を上げていた。ある日、友人でマイアミのレースを取り仕切るテズ・パーカーから参加を持ちかけられたレースでいつも通り勝利を攫ったブライアンは、レース会場にいた女性モニカ・フェンテスに声をかける。しかし、その直後会場に多数の警察車両が駆けつけ、ブライアンは身柄を拘束されてしまう。モニカはブライアンの確保のために潜入していたFBI捜査官であった。 拘束されたブライアンの前に顔馴染みの捜査官ビルキンスが現れる。ビルキンスはブライアンに対し、マイアミを牛耳るカーター・ベローンという貿易商兼麻薬密売人が運び屋として優秀なドライバーを探していることを明かし、犯罪歴の帳消しと引き換えに、ベローンがボスを務める国際的麻薬密売組織への潜入捜査の話を持ちかける。ブライアンは車についての知識が希薄な捜査官を相棒にすることを嫌い、自ら相棒を選定することを条件に潜入捜査に協力する。 ブライアンは、出所後自宅謹慎となっている旧友のローマン・ピアースのもとを訪れる。ブライアンが警官になったことが自身の逮捕に繋がったと思い込んでいたローマンはブライアンの顔を見るなり罵声を浴びせるが、ブライアンとビルキンスはブライアンと同じく前科の抹消を約束しマイアミ行きを説得する。ブライアンとローマンはモニカとともにベローンの邸宅を訪れ、そこで集められた他のドライバー達と共に押収されたベローンの車から「大切な物」を持ち帰るよう命じられる。持ち帰った者をドライバーとして雇うという試験を課せられた2人だったが、無事レースを勝ち抜き潜入に成功するのであった。しかし、レースに参加した2人を「逃げた」と思い込んだ捜査官のマーカムが現れたことから、FBIから支給されていたランサーエボリューションとエクリプスにはGPSが搭載されており、FBIに監視されていることが判明する。 その後、2人はベローンに招かれたパーティにてベローンが地元警察を拷問の末に買収する場面を見せつけられる。計画は2日後と指定された2人だったが、翌朝ブライアンのもとにモニカが現れる。モニカは計画の全容とベローンが計画の末に2人を消そうとしていることをブライアンに打ち明けるのだった。こうして判明したベローンの計画をビルキンスらに打ち明ける2人に対し、マーカムは2人を囮としてベローン逮捕を狙う強行策を講じる。これを受けたブライアンはテズに連絡を入れる。そしてその夜、ブライアンとローマンは互いに疎遠になった当時の心境を明かし改めて友情を確かめ合うのであった。 計画当日、予定通りベローンの部下を乗せてトレーラーハウスに隠されていた金を積み込み、受け渡し場所である飛行場へ向かおうとする2人であったが、買収されていたはずの地元警察がベローンに反旗を翻し出動に向かったことで、市街地や高速道路でのカーチェイスに発展する。やがて、2人はあらかじめテズに準備を頼んでいた大型のガレージに飛び込む。追っ手のパトカーが周囲を取り囲む中、ガレージから無数の車が飛び出し警察の目を撹乱、その間にGPSの付いていない車に乗り換えたブライアンらはまんまと監視の網から抜け出す。 ところがその直後、ブライアンは同乗する部下から別の目的地を告げられる。ベローンはマーカムが独断で飛行場を突撃したことから、モニカ、ブライアン、ローマンらがFBIの差し金で潜入していることを看破し、計画を変更していたのであった。計画変更を知る前に部下を車外に放り出してしまっていたローマンと離れ、ブライアンは新たな目的地でベローン、モニカと再会を果たす。危うく始末されかかるブライアンだったが、駆けつけたローマンの助けで部下を返り討ちにし、モニカの救出を図る。 フェリーでの逃亡を図るベローンに対し、ブライアンは猛スピードでシボレー・カマロを駆り、土手からの大ジャンプでフェリーに突入する。ショットガンを向けるベローンにブライアンは拳銃で応戦し、モニカの助太刀もあって無事にベローンを取り押さえた。 駆けつけたマーカムに運んでいた現金入りのバッグを6つ全て引き渡すローマン。しばらくマイアミに住むという彼に対しブライアンは修理屋を始めることを提案する。「資金が無い」ととぼけるローマンだったが、そのベルトにはいくつもの札束が挟み込まれていた。
ストーリー
登場人物
ブライアン・オコナー(愛称:ブライアン、ブリット)
元ロス市警の白人青年。マイアミのストリートレースでカリスマレーサーとして君臨し、「ブリット(弾丸)」と呼ばれるようになっていた。ある日のレースで勝利後、突如現れたFBIに拘束され、前科を帳消しにする代わりにベローンへの潜入捜査をするよう命じられる。ローマンによると女癖が悪いらしく、過去に女絡みのトラブルを起こしている。前作では潜入対象の1人であったミア・トレットと関係を持ち、本作でもあっさりとモニカに惹かれていく。ローマンが逮捕された当時、何も知らず新米であったが故に何も力になれなかったことに引け目を感じており、前作での逃亡幇助に繋がったと語っている。
ローマン・ピアース(愛称:ローマン、ローム)
ブライアンの幼馴染みの黒人。警察嫌い。車泥棒と強盗幇助で計3年の前科があり、自宅謹慎のために発信機をつけられている。バーストーのトレーラーハウスで暮らしている。言動は幼稚で豪胆かつ粗暴。手元にあるものは何でもくすねてしまうなど、手グセが悪い。車泥棒で逮捕されたのがブライアンが警官になって間もなかったことから、逮捕されたのはブライアンのせいだと思い込みそれ以来彼を憎んで疎遠になっていた。潜入捜査の協力の依頼に来たブライアンと早速殴り合いになる。ブライアンとともに過ごすうちに、逮捕されたのはブライアンのせいではなく自分の責任だとブライアンへの態度を悔い改め、再び友情を取り戻した。かなりの大食いであり「刑務所でろくでもない食事を摂らされたから今のうちに食っとく」と語っている。よそ見をしながらの走り、急ブレーキで停車、バック走行等ブライアンが度々見せるテクニックの数々は、自分がブライアンに仕込んだものであると主張している。
モニカ・フェンテス
マイアミのレースにブライアン達をスカウトに現れたFBI捜査官。ベローンの麻薬組織に潜り込んでいる潜入捜査官でもあり、ベローンの秘書のような仕事をしている傍ら、エキゾチックな美貌とセクシーな色気をベローンに買われて彼の愛人になっている。そのためローマンには裏切りを疑われている。ブライアンに対しては度々思わせぶりな態度を取り、満更でもない様子を見せるブライアンとともにローマンの顰蹙を買う。
カーター・ベローン
麻薬密売組織のボス。アルゼンチン生まれ・マイアミ育ち。残忍な性格で、賄賂を要求してきた地元警官を逆に拷問・脅迫してから警察の捜査を妨害させるなど、その手口は非常に残忍で汚く、容赦がない。モニカを片腕として使いながら、自分の女としても側に置いている。モニカがブライアンたちと少し親しげに話をしただけで近付くなと警告しており、少なくとも本気で惚れているようである。
テズ・パーカー(愛称:テズ)
マイアミの表から裏まで全てを知る「マイアミの顔」。カーカスタムショップを経営しており、ストリートレースや自身のガレージの湖での水上バイクレースまで手広く取り仕切る。また、様々な筋と商売を行うおかげで様々な物資の調達も可能。過去に200km/hの速度で壁に激突した事故によるトラウマから、自らレースには参加しないと語っている。
スーキー
アジア系の女性。ピンクのS2000(AP1型)に乗るへそ出しが特徴のストリートレースの花形レーサー。数々のレーサーが彼女をモノにしようと挑戦しているが、ことごとく追い抜いて男のプライドをズタズタにしている。テズのガレージが溜まり場らしく、水上レースをよく見物している。ブライアンとも比較的仲はいい。
ジミー
テズのガレージに勤務するメカニックのアジア系青年。FBIがブライアンとローマンに支給したランエボとエクリプスに複雑な配線が施されたGPSが搭載されていることを説明する。借金を抱えているらしく、返済資金のためにテズら相手に賭けトランプに挑んでいるが悉く負けている模様。
ロベルト、エンリケ
ベローンの部下。少なくともエンリケの方は運転が得意でないようで、ランエボにジャマーが撃ち込まれた際にそれを外そうとしたブライアンからハンドルを任された時には焦りを見せていた。
ビルキンス捜査官
恰幅のいい黒人のFBI捜査官。ブライアンとは旧知の仲であり、ブライアンに対して前科の抹消と引き換えに捜査への協力を持ちかける。
マーカム捜査官
白人のFBI捜査官。ブライアンとローマンをあまり信頼しておらず、特にローマンとは悉く馬が合わない。独断で行動が裏目に出ることが多く、飛行場での突撃はモニカらの素性をベローンに悟らせてしまう結果となった。
ダン捜査官
マーカムの部下。ブライアンの相棒として紹介されるも、ブライアンからの車の質問に見せかけたでまかせの質問にまともに答えてしまって車についての知識の無さを露呈し、コンビ結成を断られる。
スタッフ
監督 - ジョン・シングルトン