ワイルドハント
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ワイルドハント(英語: Wild Hunt、ドイツ語: Wild Jagd[注釈 1], Wildes Heer[注釈 2]フランス語: Chasse sauvage)は、ヨーロッパの大部分の地域に、古くから伝わる伝承である。

いずれの地域においても、伝説上猟師一団が、狩猟道具を携え、猟犬と共に、大地を大挙して移動していくものであるといわれている[1]
概要『ワイルドハント』ペーテル・ニコライ・アルボ

猟師たちは死者あるいは妖精民話の中で、死と関連する妖精)であり[2]、猟師の頭領亡霊多神教、あるいは精霊(男女を問わない)、または歴史上や伝説上の人物であると言われる。例を挙げれば、東ゴート王テオドリックデンマーク王ヴァルデマー4世ウェールズ霊魂冥界に導くとされるグウィン・アプ・ニーズ、または北欧神話の神オーディン、またアーサー王のこともある[1][3][4]

この狩猟団を目にすることは、戦争疫病といった、大きな災いを呼び込むものだと考えられており、目撃した者は、を免れなかった[2]。他にも、狩猟団を妨害したり、追いかけたりした者は、彼らにさらわれて冥土へ連れていかれたといわれる[5]。また、彼らの仲間に加わるを見ると、魂が肉体から引き離されるとも信じられていた[6]
オーディンとの関連
ハロウィーンからユールの時期オーディンのワイルドハント ハーパーズ・ニュー・マンスリー・マガジン1873年1月号より

北欧神話ではオーディンの狩猟団とされており、「オーディンの渡り」とも呼ばれる[7]。ワイルドハントが始まるのは10月31日で、翌年4月30日までは終わらないといわれた。この2つの日は特に大事である。10月31日、太陽は九つの世界へいき、精霊や妖怪がこの世を放浪するようになるからである[8]。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}10月31日のサムハイン(サウィーン、ハロウィーン)は魔女の新年であり、現世と霊界の壁がいちばん薄くなる時期でもある。北欧神話では、サムハインは10月31日の9日前の夜から始まり、10月31日の9日後の夜に終わるが、31日当日が、壁が薄くなるピークである[9]。また北半球の大部分では、ハロウィーンと共に、冬の季節が始まり、かつて多くのヨーロッパの人々は、影が長くなって火をともすこの時期は家にこもった[疑問点ノート]。狩猟月の先端が暗闇に浮かぶと、嵐が吹き荒れる時期となり、アンシーリーコートの時期でもあり、ワイルドハントは暗い日、10月31日から冬至の休閑期に集中する[10]。元々は、ユールと十二夜の間に、8本足のスレイプニルにまたがったオーディンが、魔物や精霊たちや遠吠えするを従えて、やってくるとされていた。オーディンが、スレイプニルにまたがって天に駆け出すと、雷のような音が轟き、風が吹きはじめ、やがて耳をつんざくような音へと変わる。他の悪魔や精霊の馬のの音も、この音に加わり、犬たちも同様に、やはり耳をつんざくような吠え声を上げる[11]。かつてのゲルマン世界で、クリスマス前後の、燻し十二夜の頃は雪嵐が多く、その嵐にオーディンの到来を人々は重ね合わせた。また、この頃祖先の霊が帰ってくるという言い伝えがあり、今も、特に北欧ではこの習慣が守られていて、故人の好んだ料理を作って並べ(ユール・ボード)、馬の手綱を解いて、故人の霊が乗れるようにしておくという[12]。詳細は「ユール」を参照.mw-parser-output .templatequote{overflow:hidden;margin:1em 0;padding:0 40px}.mw-parser-output .templatequote .templatequotecite{line-height:1.5em;text-align:left;padding-left:1.6em;margin-top:0}冬の風が吹いて、ユールの火がともされる頃は、家の中にいるべきだ。

暗闇の小道からも、野生のヒースからも閉ざされていて安全だ。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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