ワイパー
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、拭き取りのための装置について説明しています。

工業用機械のワイパーについては「シール (工学)」をご覧ください。

マルウェアの種類については「ワイパー (マルウェア)」をご覧ください。

大正製薬が販売していた殺虫剤の「ワイパア」については「ワイパアエースゾル」をご覧ください。

白元が販売していた殺虫剤の「ワイパア」については「白元#発売していた主な商品」をご覧ください。

アメリカ合衆国のバンド「ワイパーズ」とは異なります。

ワイパー(: Wiper)とは、汚れや不純物を拭き取る機構である。

この項目では自動車等の輸送機器に装備される部品および、住宅などで用いる清掃用具について記述する。
輸送機器のワイパー自動車のワイパー

輸送機器に装備されるワイパー(Wiper)は、降雨・降雪時および時化た海、泥濘地などでの運行において、主にフロントガラスに付着した水・氷、海水や泥水などを払拭し運行者の視界を確保する装置である。

日本での法令用語は「窓ふき器」と称され、アメリカではWindshield wiper、イギリスではWindscreen wiper と称される。プジョーが世界で初めて自動車にワイパーを装備している。

日本ワイパーブレード連合会は、自動車用ワイパー交換の啓蒙のため、毎年6月6日を「ワイパーの日」と定めている[1]
歴史

安全上重要な装置で、メアリー・アンダーソン(1866-1953) の発明である。類似の考案は従前から存在するも、彼女の考案によるゴムブレードとバネ式アームを使用した装置は曲面のガラスにも密着して効果的に払拭できることが画期的で、1903年11月に特許が成立した。1920年の特許切れ以降、大半の自動車に標準装備されている。

世界で初めて雨滴感知式間欠オートワイパーを装備したのは、1983年に発売された6代目日産・セドリックである[2]
構造



ウォッシャー液を噴射してガラスを払拭する鉄道車両

ガラスを払拭する様子(自動車)

電動機の連続回転運動をリンクにより往復回転運動に変換し、ガラス表面に長い嶺を当てたゴムで一定領域を扇状に払拭する。カウルトップ内に内蔵された電動機とリンク、それらにより往復回転させられるピボット、カウルトップ外に露出したピボットの頭に嵌合するアームと、その先端に取り付けられたブレードで構成されている。ブレードは払拭ゴムをガラス曲面に隙間なく追従させるため複雑なリンクを成している。これら基本構造は発明されて以来100年以上ほとんど変わっていない。

なおワイパーの駆動には、電動機のほか、1950年代以前にはエンジン吸気管側の負圧(バキューム)を動力に用いるものが広く使われていた。バキューム式はエンジンから配管を引けば使用でき、信頼性が高まる以前の電動式に比べ低コストで故障が少ないメリットがあり、1940年代までは広く用いられた。しかし、エンジン負荷が大きい高速域では負圧が落ちるため安定して作動しない欠点があり、1950年代後期以降は電動式に置き換えられて廃れていった。まれな例ではシトロエン・2CVのように機械式速度計を駆動するワイヤーケーブルから動力を取り出すものもあったが、停止中は作動せず、速度に比例した単純な動きしかできないため、一般的な方式にはならなかった。
ウインドウウォッシャー

ウインドウウォッシャーと呼ばれる洗浄剤噴射装置も装備され、ワイパーと共に使用して付着した砂塵や軽い水垢などの汚れ、軽度の霜などを溶かして除去することができる。レシプロエンジンを操縦席の前に装備する航空機には、フロントガラスに付着したオイル飛沫やグリースをガソリンで溶解洗浄するウインドウォッシャーのみ備えるものもある。

洗浄剤は一般的にはウォッシャー液と称され、主にアルコール類と界面活性剤で構成される。付加価値的に撥水機能や解氷機能をもたせたものも存在する。業務用の自動車では水のみを補充する場合もあるが、気温によっては凍結したり、ウォッシャー液のタンクや配管、ウォッシャーノズル等の腐食や劣化をまねく可能性がある。
払拭ゴム
自動車用ワイパーの払拭ゴム

フロントガラス等の払拭面に直接接触するのはワイパーブレードに取り付けられたゴムで、完全に水を拭き取るものではなく、定期的な動作によりガラス面に付着した水滴を拭いながらガラス表面に薄く均一な水の膜を作り、水滴による屈折を抑えて車内からの視界を確保[3]している。

払拭ゴムは消耗や経年劣化により払拭機能が低下するため定期的に交換する必要がある。ブレード本体も度重なるガラス面との往復によりリンクがガタつき払拭機能が低下するので、アームから外して交換することができるようになっている。
スポイラー
ワイパーのスポイラー

フロントガラスのワイパーは、ボディの形状によっては高速走行時の気流がガラス面と払拭ゴムの間に入り込んでブレードが浮き上がり、払拭能力が不十分になることがある。この対策として、ブレードまたはアームにへら状のスポイラーを設け、気流を利用してブレードをガラス面に押し付ける作用を持たせたものもある。
操作について
自動車のワイパーのスイッチ

現代の電動化された自動車のワイパーは、ハンドル直近の位置にすべての機能を集中したスイッチを配し、運転中でも支障なく操作できるようになっているが[4]、1980年代に生産された自動車の一部車種においては、ダイヤル式の採用例も存在した。[5]

発明当初は電動ではなく、フロントガラスあるいはその付近の車体を貫通したワイパーピボットに取っ手がついており、車内から手動でワイパーを操作していた。
種類
形状

ワイパーの形状は時代背景や技術の向上そして試験的要素もあいまって、いくつかの種類が見られる。

左ハンドル車で一般的な右スイング式

右ハンドル車で一般的な左スイング式

観光バスや一部の乗用車で見られる左右両スイング式

非常に珍しいウインドウガラスの両端に固定する形状

一般車では採用例が少ないが、レース用自動車では比較的よく見られるシングル式

アームの伸縮により払拭面積を拡大したシングル式

路線バスで見られる[6]縦型両スイング式

窓の横幅が広いトラックで見られるトリプル式

ゴルフカート建設機械などで見られる形状

一部の軍用車で見られる形状

装備箇所
リアウインドーワイパーバンのリアウインドーワイパー

リアウインドーワイパーはリアガラスに装備され運行者の後方視界を確保するワイパーである。ステーションワゴンミニバン、2ボックスハッチバック車に装備される場合が多い。これらの車種は後部にトランクがなく、ガラスがエンドパネルと同一面の上部にあるため、リアタイヤからはね上げられた汚れた水滴が付着[7]しやすいためである。一般的には1本だが、クラウンステーションワゴンマークUバン・ワゴンセプターワゴンなど2本装着したモデルもある。
ヘッドランプワイパー乗用車サーブ・900のヘッドランプワイパー

前照灯に装備されるワイパーである。降雪時には特に効果が高く、過去にボルボメルセデス・ベンツサーブ日産・サファリなどに装備されていたが、レンズがガラスから合成樹脂に主流が遷移するのに従い、払拭がレンズ表面を傷めることから、洗浄液の高圧噴射で付着物を取り除くヘッドランプウォッシャーに代替されていった。なお世界で初めて搭載されたボルボのヘッドランプワイパーは、丸形ヘッドライト中央部を軸に回転するものであった。

欧州諸国を中心に、日本、韓国、オーストラリアなども加盟する国際連合欧州経済委員会 (UNECE) による自動車基準調和世界フォーラムでは、2000ルーメン以上の光束を持つヘッドランプに洗浄装置の装備を義務付けている。
ウインターブレード乗用車のウインターブレード


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:62 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef