ローマの休日
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ローマの休日
Roman Holiday
アメリカ初公開時のポスター(1953年)
監督ウィリアム・ワイラー
脚本ダルトン・トランボ
イアン・マクレラン・ハンター
ジョン・ダイトン(英語版)
原案ダルトン・トランボ
製作ウィリアム・ワイラー
出演者グレゴリー・ペック
オードリー・ヘプバーン
エディ・アルバート
音楽ジョルジュ・オーリック
撮影アンリ・アルカン
フランツ・F・プラナー(英語版)
編集ロバート・スウィンク(英語版)
製作会社パラマウント映画
配給パラマウント映画
公開 1953年8月27日
1954年4月21日(佐世保
上映時間118分
製作国 アメリカ合衆国
言語英語
製作費$1,500,000(見積値)[1]
興行収入 $5,000,000[1]
$12,000,000[1]
配給収入 2億8404万円[2]
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『ローマの休日』(ローマのきゅうじつ、原題:Roman Holiday)は、1953年に公開されたアメリカ合衆国映画。主演はグレゴリー・ペックオードリー・ヘプバーンウィリアム・ワイラーが製作・監督した。

イタリアローマを親善訪問した某国の王女が滞在先から抜け出し、市内で出会った新聞記者と1日だけの恋に落ちる様子を描いている。トレヴィの泉真実の口など、ローマの名だたる観光スポットが登場する。

新聞記者をグレゴリー・ペック、王女をオードリー・ヘプバーンが演じている。当時新人だったヘプバーンは、本作により1953年のアカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した。このほかイーディス・ヘッドが「最優秀衣裳デザイン賞」を、イアン・マクレラン・ハンターが「最優秀原案賞」をそれぞれ受賞している。

ただし、本作の原案(ストーリー)は実際にはダルトン・トランボが執筆したものだった。当時のマッカーシー旋風による赤狩りでトランボはハリウッドを追われていたため、名義を借用したのである(後述)。アカデミー賞選考委員会は、1993年にトランボへ改めて「1953年最優秀原案賞」を贈呈している[注 1]
ストーリー

ヨーロッパ某国の王位継承者であるアン王女は、ヨーロッパ各国を親善訪問中である。最後の訪問先であるイタリアローマで、過密なスケジュールによる疲労感と、自由の無い生活への不満が高じ、王女はついにヒステリーを起こしてしまう。主治医は彼女に鎮静薬を投与するが、王女は薬が効き始める前に、秘かに滞在先の大使館を抜け出す。

夜のローマをさまよう王女は、鎮静薬のせいで、無防備にも路傍のベンチで眠ってしまう。そこにアメリカ人の通信社記者、ジョー・ブラッドレーが通りかかる。ジョーは若い女性が1人で寝ているのを見かね、介抱のため自宅のアパートに運ぶ。王女は夢うつつの中、詩[注 2]を吟唱しながら眠ってしまう。

翌日、王室は王女が予定していた記者会見の延期を発表する。ジョーは出社した通信社で写真記事を見て、自宅で寝ている女性の素性に気づく。王女の秘密のローマ体験という大スクープをものにしようと、ジョーは友人のフリーカメラマン、アーヴィングを電話で呼び出した後、アパートを出た王女を尾行する。王女は大使館へは戻らず、市場でサンダルを買い、美容院で髪の毛を短くし、スペイン広場ジェラートを食べるなど、散策を楽しむ。ジョーは偶然の再会を装って王女に近づき、職業を偽って、ローマ案内を申し出る。自由を求める王女は「実は寄宿学校から逃げてきた」と嘘の身の上を話し、誘いに応じる。ローマ市内をベスパで暴走するシーン(ヴェネツィア広場前のvia del plebiscitoを走行中)。

2人はスクーターベスパ)に2人乗りしてローマ市内を廻り、真実の口などを訪れた後、サンタンジェロ城前のテヴェレ川のほとりで夜間に開かれている屋外ダンス場を訪れる。合流したアーヴィングが次々と写真を撮る。一方、王室のシークレットサービスたちがダンスパーティーに紛れ込み、王女を連れ帰ろうとする。地元警察をも交えた大乱闘の末、2人は川に飛び込んで逃げる。

自由を満喫する王女とジョーの気持ちは、次第に近づいていく。しかし、ジョーの自宅に戻った後にラジオのニュースで、王女が重病ではないかと国民が心配している[注 3]ことを知り、王女は祖国と王室への義務を果たすために大使館へ戻ることを決める。ジョーは自動車に王女を乗せ、大使館の近くまで送る。王女は本当の想いを口に出せないまま、ジョーの元から去る。ジョーは王女との思い出を守るため、大スクープのチャンスを捨てて、一連の写真を記事にしないことを決心し、上司やアーヴィングの要求を突っぱねる。

翌日、王女の記者会見が開かれ、ジョーやアーヴィングが記者として参加する。王女が2人に気づき、初めて正体を知る。最後の質問としてある記者が「一番楽しまれた訪問地はどちらでしょうか」と訊くと、少し逡巡した後、王女はジョーの顔を見つめながら「断然、ローマです」と力を込めて言う。会見後の謁見の際、アーヴィングは前日に撮影した写真を入れた封筒を「ローマご訪問の記念写真です」と言って王女に手渡す。王女とジョーは万感の思いを込めて互いを見つめ合う。王女は奥の間へ消えていく。記者たちも去り、ジョー1人が広間に残る。
登場人物
ジョー・ブラッドレー
演 -
グレゴリー・ペックアメリカン・ニュース社のローマ支局に勤めるアメリカ人新聞記者。アンと行動を共にするうち次第に真剣な気持ちを抱くようになる。
アン王女
演 - オードリー・ヘプバーン好奇心旺盛で、外の世界に強い興味を持っている。自身の身分を隠し、ジョーには「アーニャ・スミス」と名乗る。
アーヴィング・ラドビッチ
演 - エディ・アルバートC・Rフォトサービス所属のカメラマン。ジョーの親友で、王女の特ダネの写真を撮ることに協力する。
大使
演 - ハーコート・ウィリアムズ王室の人間。職務には厳しい。
ヴィアルバーグ伯爵夫人
演 - マーガレット・ローリングス(英語版)アンの世話係。アンのスケジュール管理も行っている。
マリオ・デラーニ
演 - パオロ・カルリーニ(英語版)アンの髪をカットした美容師。ロングヘアだったアンが大胆なショートヘアを注文したため最初は戸惑うが、その腕前でアンの満足するカットを行う。カット後にはアンをテヴェレ川の船上で開催されるダンスパーティーに誘った。日本語吹き替え版では、最初に担当した広川太一郎が原語と異なる、いわゆる”オネエキャラ”で演じている。以降複数の吹き替えではこのキャラクター像が踏襲されている[3]
プロブノ将軍
演 - トゥリオ・カルミナティ
ヘネシー
演 - ハートリー・パワーアメリカン・ニュース社の支局長で、ジョーの上司。ジョーが「王女の特ダネスクープを手に入れる」と言った際に、それが出来るか否かで賭けを提案する。
タクシー運転手
演 - アルフレッド・リゾ
ボナコーベン
演 - ハインツ・ハインリヒ医者。アンの主治医。
ジョバンニ
演 - クラウディオ・エルメッリジョーの住むアパートの管理人。部屋代を2カ月滞納されているため、ジョーに金を貸して欲しいと頼まれた時は断った。
製作
企画

ダルトン・トランボが原案(ストーリー)を書き、イアン・マクレラン・ハンターと共同で脚本を執筆したのは1940年代半ば頃で、元々フランク・キャプラが映画製作会社リバティ・フィルム社のために書かせたものである[4][5][6][7]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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