この項目では、映画のジャンルについて説明しています。
2002年の韓国映画については「ロードムービー (映画)」をご覧ください。
辻村深月の小説については「ロードムービー (小説)」をご覧ください。
高橋優の楽曲については「ロードムービー (高橋優の曲)」をご覧ください。
エドガー・G・ウルマー監督『恐怖のまわり道』(1945)。ニューヨークからハリウッドへと向かうピアニストが見たのは、人々の金銭欲だった。[1]
ロードムービー(road movie)は、映画のジャンルである。旅の途中で起こる様々な出来事が、映画の物語となっている。旅をしているため、場面の現場が移り変わっていくのが特徴である。演劇では歌舞伎や浄瑠璃における「道行」(みちゆき)、文学における東海道中膝栗毛などの「旅行記」「紀行」「道中記」、和歌における「羇旅」にあたる[要出典]。 登場人物は地元を離れ、長距離の自動車旅行に出る。そして日常とは異なる世界に入っていく[2]。眼に入る風景や、生きている時代を背景に、彼らが抱えている「疎外感」がテーマとして描かれる。登場人物はしばしば逃亡中の犯罪者であり[3] [4]、恐れ、苛立ち、自暴自棄になっている[5] 。登場人物は走る自動車、ダイナーのブース、モーテルなど、狭い空間で長時間一緒に過ごす。互いの親密さを生むが、緊張の原因ともなる[6]。男らしく危機をのりこえる姿、何者かに対する反逆、自動車文化、自己発見の過程などが描かれるが、ロードムービーのメインテーマは「保守的な社会規範に対する反抗」である[5][7]。 ロードムービーには「追求型」と「逃亡型」、二つのタイプがある[8]。「追求型」では、登場人物が何かを「発見」することでストーリーが動いていく(例:「断絶」(1972))[8]。「逃亡型」では登場人物は警察などから逃げている最中であり、セックスや暴力のシーンが多くなる(例:「ナチュラル・ボーン・キラーズ」(1995))[1][8]。アクション映画では移動した先々でおこる出来事がドラマチックに描かれるのに対し、ロードムービーでは、旅の途中で見たもの、感じたことをとおして登場人物の内面に生じた葛藤や変化が重視される。ロードムービーのプロットは標準的な三幕構成ではなく、オープンエンド構成をとることが多い[5]。 登場人物に加えて、自動車とそのトラッキングショットが重要な要素であるが、西部劇と同様、おそらくカメラにうつる広い大地や空が重要である[9] 。「開拓者精神」や「発見」を描いている点も西部劇と類似する[9]。ロードムービーではカーオーディオから流れ、登場人物が聴いている曲をそのままサウンドトラックとして用いることが多い[10]。1960?70年代、それはロックであった(「イージー・ライダー」(1970)ではジミ・ヘンドリックス、バーズ、ステッペンウルフの曲が流れた[11])。 1930年代の初期の作品では男女のカップルが多かったが[4][6]、第二次大戦後は男性二人組が主流になり、女性が登場しても短時間の道連れが多かった。まれに「テルマ&ルイーズ」(1991)のように女性二人が主役の作品もある[9]。「バニシング・ポイント」(1971)は男ひとりであった。 1990 年以降はドライバーの多様性が増した。「プリシラ」(1994)はオーストラリアの砂漠を旅するドラァグクイーンのグループを描いている[9]。 HIV 陽性 のゲイ男性 2 人による『リビング・エンド』(1992)、3人のドラァグクイーンによる「3人のエンジェル」(1996) 、アメリカ先住民2人による「スモーク・シグナルズ」(1998)、大人数による「ゲット・オン・ザ・バス」(1996)などがリリースされた。
概要