ロースター_(MLB)
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メジャーリーグベースボール (MLB) におけるロースター (: Roster, 英語発音: [?r?st?]) とは、チームの公式戦に出場できる資格を持つ選手登録枠のこと。26人枠と40人枠の2種類がある。近年のマスメディアでは原音に近い「ロスター」と表記される。
概要現在のロースターについては「メジャーリーグベースボールのロースター一覧」を参照

単に「ロースター」と言った場合は通常、負傷者リスト・育休リスト・忌引リスト等に入っており一時的に試合出場停止となっている選手も含まれる。これらの選手を除いた、実際に試合でプレー可能な選手枠はアクティブ・ロースター (: active roster) と呼ばれる。
直近の変更点

ロースターの詳細規定は、2020年シーズンから大きく変更されている。2019年以前と比較した変更点は以下のとおり[1]。それぞれ後述する。
25人枠 → 26人枠 へ拡大

セプテンバー・コールアップ中のアクティブ・ロースター枠を「最大40人」→「28人」へ縮小

アクティブ・ロースターの選手を「投手」「野手」「二刀流」に明確に区分する(新ルール)

26人枠と40人枠

26人枠 (: 26-man roster) とは、MLB公式戦に出場できる選手登録枠のこと。レギュラーシーズン開幕から8月31日までの公式戦、およびポストシーズン中は26人枠が自動的にアクティブ・ロースターとなり、この26人で各試合の選手起用をやり繰りする必要がある。

40人枠 (: 40-man roster) とは、MLB各球団が直接支配下に置く40人の選手登録枠のこと。拡大ロースター (: expanded roster) とも呼ばれる。26人枠の選手は全員が40人枠に含まれ、40人枠の選手は全員がメジャー契約[注釈 1]を結ぶ。ポストシーズンゲーム出場には原則として8月31日時点で当該チームの40人枠内に入っていることが必要条件になる[2][注釈 2]。また12月に開催されるルール5ドラフトにおいて、40人枠の選手は指名対象外となる。「トレード」および「ドラフト会議 (MLB)」も参照

8月31日までの間、26人枠に含まれない40人枠内の選手は、40人枠外(マイナー契約[注釈 1])の選手たちと共にマイナーリーグで調整や公式戦を行いながら、26人枠の選手との入れ替わりでメジャー昇格 (: Call-up) する機会を待つことになる。

新たな選手を40人枠に登録する場合は、40人枠内の任意選手にDFA (: Designated For Assignment) の措置をして40人枠から外すか、負傷者リスト(60日)へ登録することによって枠を空ける必要がある。
セプテンバー・コールアップ

9月1日以降のレギュラーシーズン中はアクティブ・ロースターの枠が28人に拡大される[1](登録28人未満は不可)[4]。これを「セプテンバー・コールアップ」 (: September call-up) と呼ぶ。なお9月1日以降でも、マイナー契約選手はまず40人枠に入らない限りアクティブ・ロースター入りの可能性はない。
ダブルヘッダーに伴う追加登録枠

2012年シーズンから、昼と夜に分かれて行われる48時間以上前に開催が決まった8月31日までのダブルヘッダー開催日に限り、アクティブ・ロースターに選手を1人追加登録することが可能となった。この追加登録選手は「27th man」とも呼ばれる[5]。再開されるサスペンデッドゲームを含む1日2試合開催日にも選手を1人追加招集できるが、この選手は再開試合の方に出場することはできない。
選手区分

各選手がそのシーズンで初めてMLBのアクティブ・ロースターに登録される際、各チームはその選手を「Pitcher(投手)」「Position Player(野手)」「Two-Way Player(二刀流選手、TWP)」のいずれかに区分しなければならない。各区分の条件や制約などは以下のとおり。このルールは2019年3月に発表され、2020年シーズンから適用される予定だったが、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 感染拡大の影響により延期され2022年シーズンから適用された(#特例を参照)[1][6][7]

Pitcher(投手)

アクティブ・ロースターに13人以内(ダブルヘッダー追加登録時、またはセプテンバー・コールアップ期間中は14人以内)

野手や指名打者として出場することに制限なし

「野手」区分への変更は、当シーズン終了まで不可



Position Player(野手)

以下のいずれかに該当する状況でのみ、投手として公式戦に登板できる[8][注釈 3]
延長戦

8点以上リードされている

9回時に10点以上リードしている


「投手」区分への変更は、当シーズン終了まで不可



Two-Way Player(二刀流選手)

当シーズン内(または直前1シーズン内)で以下を共に満たした選手は自動的にTWPに認定される。
投手として20イニング以上投げている

野手または指名打者として出場し、3打席以上を記録した試合が20以上ある


TWPは以下の権利を得る。
人数計算上「投手/野手」の区分から外れ、投手/野手/指名打者いずれでも制限なく出場できる

「投手」として負傷者リストに登録し、マイナーリーグの試合にリハビリ出場しながら (: Rehab assignment) 、同時に「野手/指名打者」としてアクティブ・ロースターに留まる(MLB公式戦に出場する)ことを選択できる[9]


取得した Two-Way Player 区分は当シーズン終了まで有効。翌シーズン以降は再び上記条件を満たしていることが必要。

MLB公式サイトは「TWP区分の選手がいるチームは、投手を余分にアクティブ・ロースターへ登録できるメリットが得られる[注釈 4]」と解説している。なおルール施行年の2020年に限り、前々年(2018年)に条件を満たした選手もTWPに認定され、その特例により大谷翔平がMLB初の適用選手となる見込みだった[7](前述のとおり本ルールの適用が延期されたため、実際には2020年シーズンの大谷の登録はPitcher(投手)のままで[10]、2022年シーズン開幕からTWPで登録された[11])。こうした経緯もあり、一部メディアはこの二刀流に関する規定を "The Shohei Ohtani rule"(大谷翔平ルール[注釈 5])と名付けた[12]

なお2022年から「先発投手が指名打者を兼務できる」ルールが施行されており、TWPの要件は最短20試合で満たすことが可能となった。
サービスタイム

キャリア通算で、各選手がレギュラーシーズン期間中にMLBのアクティブ・ロースター(負傷者リストなど各種出場停止リスト登録中期間も含む)に登録されていた日数を「(メジャーリーグ)サービスタイム」 (: Major League Service time , 以下MLS) と呼ぶ[13]

表記上は登録1日でMLS=0.001、171日で0.171、172日で小数点が繰り上がり1.000となる。MLBのレギュラーシーズン期間は例年180日以上あるが[注釈 6]、年間172日以上登録されればMLSが1年分 (1.000) 加算される。1シーズンで獲得できるMLSは最大で1.000(年間173日以上登録されてもMLSは一律1.000の加算)。なお、1シーズンのオプション期間(40人枠に留まったまま、26人枠から外されていた期間)が合計20日未満だった選手は、40人枠に172日以上登録されていればMLSが1.000加算される[14]

MLSが5.000に達すると、選手はマイナー降格(: Optioned - 40人枠に残したまま26人枠から選手を外す措置)に対する拒否権を取得する[15][注釈 7]


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