ローグ
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この項目では、コンピュータRPGについて説明しています。その他のローグについては「ローグ (曖昧さ回避)」をご覧ください。

『ローグ』 (Rogue) は、ダンジョン探索型のコンピュータRPGである。その初版が公表されたのは1980年とコンピュータRPGの黎明期であり、最初期のコンピュータRPGの内の1つである[注釈 1]
概要

UNIXのキャラクター端末用に開発されたCursesライブラリを利用しマイケル・トイとグレン・ウィックマン(英語版)の二人により最初のバージョンが開発される。マイケル・トイがカリフォルニア大学バークレー校に編入の後、ケン・アーノルドと開発を進め、BSD UNIX上で拡張され、1983年にBSD UNIX 4.2に入れられて配付されることで広まった。

それまでの、状況を全て文章で表示するテキストアドベンチャーとは異なり、Cursesライブラリを採用することでダンジョンなどの視覚的表現を実現した(テキストユーザインタフェース)。

ゲーム自体は比較的簡素であるが、プレイを繰り返しても飽きがこないよう工夫されており、また様々な戦術を考える余地があるなど奥の深いものになっている。こういったことから数多くの熱狂的ファンが生まれることになった[1]

後に、ローグを基に新たなアイデアやルールを盛り込んだゲームも多数作られ、現在もその流れは続いている。これらのゲームはローグライクゲーム(ローグ的ゲーム)と総称される。しかし今もなお、各種のローグライクゲームと並んでローグをプレイする愛好者も少なくない。

VAXPDP-11用のBSD UNIXに(ソースコード非公開で)収録されて広まり、後にクローン(リリース時にポストされたメッセージには「パブリックドメイン」とあったが、ソースコード中で主張されているライセンスの文面はそのように解することができず、現在Debianではnon-freeとカテゴライズしている)やPC用の製品も開発された。

日本では1985年からサービスを開始したアスキーネットでプレイできた時期があり、日本における普及の一助となった[2]。1986年にはアスキーからPC-8800シリーズPC-9800シリーズ用のパッケージ版が発売された[3]
ストーリーと目的

ゲームの背景となるストーリーは、オリジナル版に付属のドキュメントファイル[4]に次のような概略が書かれている(版によってはこれと異なるストーリーとなっているものもある)。あなたは戦士ギルドからの数年にわたる戦闘訓練を受け終わった。これからギルドの一員となるに当たり、ギルドは試験としてあなたにひとつの課題を与えた。その内容は、運命の洞窟[注釈 2](the Dungeons of Doom)に赴き、その奥深くにあるという「イェンダーの魔除け」(the Amulet of Yendor)を取って来るというものだ。成功の暁には、あなたはギルドの正式メンバーとされる上、洞窟から持ち帰った財宝はすべて自分の財産にできる。この試練を達成するため、あなたは家族や友人に別れを告げ、与えられた武器や防具を携えて洞窟の迷宮へと入っていった。

ここに示されるように、ゲームの最終目的は「イェンダーの魔除け」を持ち帰ることであるが、実際にはその達成は極めて困難である。そのため、現実的には「死ぬまでにどれだけスコアをのばせるか」「どれだけ深く到達できるか」を競う側面が強い。

舞台となる「運命の洞窟」は階層構造をなしており、地下○階という形で現在位置が示される。イェンダーの魔除けは地下26階以降にあるとされ、プレイヤーは途中でアイテムや金貨を集めつつ、またモンスターと戦ってレベルを上げつつ、イェンダーの魔除けを目指して降りていくことになる。

なお、スコアは基本的には迷宮中で拾った金貨(Gold)の量で決まり、その他の所持品やプレイヤーのレベル・到達深度などは影響しない。ただし、ゲームをクリアした(イェンダーの魔除けを持ち帰った)時には、所持品の全てが金額に換算され、スコアに加えられる。厳密には、同じ所持金であっても、戦闘で死んだ場合とゲームを中断(Quit)した場合とでは最終スコアが異なる。すなわち死亡時は所持金の90%がスコアとなるが、中断時は100%がスコアとなる(これは、死亡時には死体が家族の元まで運ばれ、その手間賃として10%が引かれるためと説明されている[4])。
特徴

一般的なコンピュータRPGと比較した場合、次のような点が特徴として挙げられる。これらの多くは各種のローグライクゲームにも引き継がれている。

ゲーム画面では、マップやアイテム・主人公・モンスターなどはいずれも1つの
ASCII文字で表される。例えば主人公は「@」、呪文の書かれた巻物 (scroll) は「?」、ホブゴブリン (hobgoblin) は「H」である(ただし例外として、PC用に移植・販売されたバージョンには、よりグラフィカルな表現をしているものもある)迷宮の構成およびゲーム画面の節を参照。

コマンド入力は、キーボードでそれぞれに対応する文字を入力することで行う。例えば巻物を読む (read a scroll) には「r」、武器を構える・持ち換える (wield a weapon) には「w」、鎧を着る (wear an armor) には「W」を入力する(この例で明らかなように、大文字と小文字は区別される)コマンドの節を参照。

マップは毎回自動的に作成される。なお、立ち去った階のマップは保持されない(再度訪れた時には新たに別のマップが作成される)。

飲み薬 (potion) や魔法の巻物 (scroll) 、魔法の杖 (wand / staff) 、指輪(ring)といったアイテムは、その正体が判明するまでは不確定名(「red potion」など)で示される。プレイヤーはこれを使ってみたり、そのための魔法を使ったりすることで正体(「potion of healing」など)を知る。しかし、不確定名とその正体との対応はゲームを始める度にランダムで決められるため、この対応を憶えたり記録したりするのは無意味である(次のプレイでは「red potion」は「potion of sickness」かも知れない)。

ゲームにセーブ機能はあるが、あくまで一時的中断のためのものである。セーブ後はプログラムは終了するし、再開させるとセーブファイルは消える。さらには、「セーブファイルのコピーを取り、そのコピーを使ってゲームを再開させる」こともできない(従って「ピンチに備えてセーブしておく」ということはできない)。

上記の、マップ等がASCII文字で表される点や文字入力でコマンドを与える点のため、不自由なくゲームがプレイできるようになるまでには若干憶えるべきことが多い。これが、特にローグライクゲームに経験のない者にとっては、ハードルの高さを感じさせる原因となっていることも事実である。

マップやアイテムが毎回変わる仕様は、内容を総て知る作者自身が楽しく遊ぶためと語っている。なお当時は大学に備え付けの大型コンピュータ[注釈 3]内に作られたものであり、内輪で遊ぶことが目的であった。
迷宮の構成およびゲーム画面

ローグにおいてはマップやモンスターは全てASCII文字で表現される。また、画面の最上行は状況を説明する文章やプロンプトの表示に、最下部はステータスの表示に専ら使われる。

マップの表示について、以下に一例を示す。 ------------ |.....!....。 |..@.......。 ##################+.........:。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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