ロンドン同時爆破事件
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ロンドン同時爆破事件
テロ発生直後のロンドン・ラッセル・スクウェア(上)
爆破テロを受け、立入禁止となったロンドンのユーストン駅(下)
場所 イギリス ロンドン
日付2005年7月7日木曜日
8時50分 - 9時47分 (BST)
(日本時間16時50分 - 17時47分)
標的ロンドン地下鉄ダブルデッカーバス
攻撃手段爆発物
死亡者56人
負傷者784人
犯人アル・カーイダ 
容疑者ハシブ・フセイン、モハメド・サディク・カーン、ジャーメイン・リンゼイ、シェザード・タンウィア
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ロンドン同時爆破事件(ロンドンどうじばくはじけん、7 July 2005 London bombings)は、2005年7月7日現地時間8時50分頃(サマータイム期間中、UTC+1、日本時間16時50分頃)にイギリス首都ロンドンにおいて地下鉄の3か所がほぼ同時に、その約1時間後にバスが爆破され、56人が死亡したテロ事件である。

日本国内のメディアでは、この事件をロンドン同時爆破テロ、ロンドン同時多発テロ、ロンドン同時テロという名称で報じている。 
事件概要
地下鉄

7月7日午前8時50分頃、ロンドン地下鉄トンネル内の3カ所でほぼ同時に地下鉄の車両が爆発した。最初の爆発から3個目の爆発まで僅か約50秒足らずであった。

サークル線 - リバプール・ストリート駅からアルドゲイト駅に向かう列車の2両目後部。

ピカデリー線 - キングス・クロス・セント・パンクラス駅からラッセル・スクウェア駅に向かう列車の1両目。

サークル線 - 列車がエッジウェア・ロード駅(南駅)からパディントン駅へ向け発車した直後に2両目前部が爆発、駅構内も被害を受けた。

ダブルデッカーバスロンドン同時爆破事件の被害とされたバス路線のひとつ、系統30。バスも同じタイプのデニス・トライデント・2

同日午前9時47分頃(現地時間)、大英博物館のあるラッセル広場近くのタビストック・スクエアを走行中のダブルデッカーバス(2階建てバス)デニス・トライデント・2型1台が爆発し、屋根を含めて2階部分が完全に吹き飛んだ[1][2]

ロンドン同時爆破事件で爆破された3台のバスのうち2台は、ロンドンのシンボルとも言えるデニス・トライデント・2型で、他の1台も含めて全て「ステージコーチ・ロンドン(Stagecoach London)社」の所有だった。

最初に爆破されたバスはエンバイロ・400の車体を利用して修復され、ロンドン市民からは「ロンドンのスピリット(Spirit of London)」という名前で呼ばれている[3][4][5]
被害

このテロ攻撃によって56名が死亡した。ただし、その中に実行犯4名が含まれている。地下鉄車両は完全に破壊され、施設にも被害を受けた。ラッセル・スクウェア駅近くの現場では、地下鉄トンネルの崩落など2次災害の危険が語られたが、トンネル崩落は起こらなかった。
実行犯

イギリス捜査当局テロリストによる犯行と発表した。発生当時は起爆装置を爆発させた時限式の爆発物によるテロと発表していたが、後日自爆テロと修正した。実行犯は4名で、改札監視カメラによって揃いのバックパックを背負っている4人の青年が撮影された。

4名は郊外のリーズからロンドンまで列車でやってきた。実行犯の内、2人は小さな子供がいる上に妻が妊娠中で、内1人は予定日が1週間後に迫っていた。また、後に妻の1人であるサマンサ・ルースウェイトは、ソマリアケニアなどで発生した武力攻撃に関与した疑いがかけられている。
逮捕

ロンドン警視庁は事件の企画者として33歳のエジプト人男性を逮捕した。この男性は実行犯と同じリーズにある大学で生化学を学んでいて、アメリカへの留学経験もあり、事件1週間前からエジプトに帰国していた。また、彼は日に5回の祈りを欠かさない敬虔なムスリムであった。逮捕当初からエジプト政府が彼の関与を否定、捜査によって無実であることが明らかとなった。彼のほかにも、リーズを中心に多数のムスリムの若者が逮捕されたが、ほとんど無実あるいは証拠不十分で起訴されなかった。

2007年3月22日、ロンドン警視庁は、このテロに関与した「反テロ法」違反の容疑で、男性3人を逮捕したと発表した。警察は22日の午後1時ごろ、30歳と23歳の男を、マンチェスター空港からカラチパキスタン)行き飛行機に搭乗しようとしたところ逮捕した。次いで午後4時ごろ、26歳の男を、中部リーズの自宅で逮捕した。また同時に彼等の家などが家宅捜索された。
犯行声明

犯行後、アラブ首長国連邦衛星テレビインターネット上に「欧州の聖戦アルカーイダ組織」を名乗る犯行声明が寄せられた。声明には、アラブ・イスラム諸国はアフガニスタンイラクで虐殺に加担しているイギリス政府に対して起ち上がる時であるという呼びかけがあり、また、デンマーク政府やイタリア政府など、アフガニスタン・イラクに軍隊を派遣している各国政府に対して撤退しなければ同じ目に遭うという警告があった。その後、その掲示板に関与を否定する書込みが相次いだこと、この組織に活動実態がないこと、カナダの大停電など無関係なものに発せられる傾向があるため、信憑性が乏しいと考えられた。

作者不明の犯行声明ではあったが、その報道により、イギリス国内で在英ムスリムやアラブ系住民に対する嫌がらせが発生した。英国協議会の公式サイトには3万件もの脅迫紛いメールが送りつけられ、ニュージーランドではモスクの窓が破壊された。

2005年8月13日、The Independent紙の報道では、警察とMI5の情報元を引用し、7月7日の爆発犯たちは海外にいるアル・カーイダ主謀者の計画に沿って独自に行動を起こしたとされている。[2]

2005年9月1日、アルジャジーラに送付したビデオによって、自殺した犯行者の肉声と共に、アル・カイダは公式にテロへの関与を認めた。(テープの書き下ろし内容はWikisource [3] で参照できる)[:en]
報道キングスクロス駅での報道テント

BBC 1 及び ITV 1 (イギリスの主要なチャンネル) の両局は通常番組を中止して、この事件のニュースを報じ続けた。海外向け短波放送国際放送)の BBC World Service 及び BBC World も通常番組を中止して放送を行った。また、BBC のサイトでは一般の人に目撃情報、写真、映像の提供を呼びかけた。

オーストラリア国営ABC放送は BBC 放送の生番組を、チャンネル7チャンネル9などの民放は ITV の生番組を放送し続けた。

アメリカ CNN は海外向けを含めて通常番組を中止して、この事件のニュースを放送した。

日本ではNHK BS1 が通常番組を中止し、途中BSニュースを挟みながら BBC News 24 を同時通訳付きで放送した。総合テレビの深夜の時間帯はテロップを付けた形で通常番組を放送した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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