「ローマ語」とは異なります。
ロマ語
romani ?hib
話される国ヨーロッパ諸国(ハンガリーなど東欧に多い)
地域ヨーロッパなど
話者数480万人
話者数の順位100以下
言語系統インド・ヨーロッパ語族
インド・イラン語派
インド語派
中央語群
ロマ語
表記体系ラテン文字
公的地位
公用語なし(ヨーロッパのいくつかの国家の地方行政区画で少数言語に指定されている)
言語コード
ISO 639-2rom
ロマ語(ロマご、ロマニー語、ジプシー語)はインド・ヨーロッパ語族インド語派の言語で、インドから北アフリカ、ヨーロッパへ移住した少数民族ロマ(ジプシー)が使用する。
ロマは国家をもたないため標準語はない。方言が非常に多様で、20群60種類以上に分類される。もともと固有の文字はなく、現在ではラテン文字で筆記されることが多い。
サンスクリット語が起源であるといわれ、現在北インドで使われているグジャラート語、ヒンディー語、カシミール語などの諸言語とも、語彙・文法などの点で関連性があることが指摘されている[1]。
また、何百年という年月をかけて広大な地域を移動したことにより、彼らの通過地および滞在地の諸言語との相互的影響がみられる。ロマがインドからヨーロッパへ移動する間に関与した言語にはペルシア語、アルメニア語、アラビア語、トルコ語が、ヨーロッパ侵入後に影響を与えた言語にはギリシア語、ロシア語、ルーマニア語、ハンガリー語、更にドイツ語、フランス語、英語がある[2]。
近年ではロマの流浪範囲が狭くなり、一つの国から外に出ることが稀になったため、ますます接触言語の影響力が増してきている。このことはロマ語の方言化と話者の減少を加速させ、言語の消滅も危惧されている[2]。 極初期のロマ語の実態に関する確かな歴史的な文献はない。また、ロマの先祖や、インド亜大陸からの移住の動機についてのどんな歴史的な証拠もない。ただ、インド・アーリア語における性区分は、7?10世紀ごろにかけて3つ(男性形・女性形・中性形)から2つ(男性形・女性形)へと変化していることから、ロマ語はこのころにサンスクリットなどの影響を受けたと考えられ、ロマの祖先がインド亜大陸から出たのは10世紀ごろと推測される。 南アジアからの出発の後、狭い範囲のクルド語とアルメニア語、比較的長期に滞在していたトルコのアナトリア地方の言語や、ギリシャ語の影響が認められている。 13世紀の前半に始まるモンゴル人の欧州侵入は西方移住の引き金となった。ロマ人はその後、欧州の広い範囲に離散し、点在しているロマのグループは地方の共同体の分化が発生し、それは多くの異なった方言に分かれた現代のロマ語に大いに影響した。 今日、ロマ語は42の欧州諸国で小集団によって話されている。イギリスのマンチェスター大学は、多くが消滅の危機下にあるロマ語方言の転写プロジェクトに取り組んでいる。 広範囲を流浪していた頃から、ロマは占い・行商などを生業とする上で、様々な国の言葉を話せる必要があり、ロマ語だけで生活する者は稀有だった。しかし、昨今では定住するロマが増えたことに加え、テレビ・ラジオの普及のため、ロマ語話者の減少・高齢化と、ロマ語と接触言語との混合が進んでいる[3]。
歴史
ロマ語の現状