ロボット掃除機
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iRobot ルンバ 700シリーズ(2014年)サムスン Navibot SR8855公園の掃除ロボット(中華人民共和国、2019年)

掃除ロボット(そうじロボット、英語: Robotic vacuum cleaner)あるいはロボット掃除機[1](ロボットそうじき)とは、自動的に動いて掃除をするロボットである。ロボット・クリーナーや掃除用ロボットとも。
概要

家庭用と業務用があり、主に上を這うようにして動くが、自律的である点が従来の電気掃除機と異なる。ゴミやの吸引、水拭きそれぞれの専用機と兼用機がある[1]

多くの場合、ゴミや埃そのものを検知して掃除をしている訳ではない。構造上「部屋の角」については掃除が困難なため、ゴミや埃を完全になくせる仕様にはなっていない。床面に這って低速で移動する構造上、移動の際に周囲に埃を撒きあげることが少なく済み、床全体をまんべんなく移動することで概ね90%以上のスペースを掃除してハウスダストの大半を吸い込み、掃除の手間を軽減することが目的とされている。

住宅、オフィスビルなどの清掃用が一般的であるが、プール清掃を想定している機種もある。

最近では人工知能(AI)を搭載して間取りを学習する機能や、スマートフォンと連携して[2]外出先からの操作[1]や掃除個所の指定が可能な機能などが開発され、注目を浴びている。

人間の労力や時間を省ける反面、人が見ていないところで電気ストーブをつけっぱなしにしてしまうような問題外なユーザが使うと、電気ストーブと掃除機を接触させて火災の原因となったり[3]、液状の汚れを拡散してしまったりする[4]トラブルが起きることもある。

富士経済の推計では、世界全体の市場規模は2019年で1430万台(前年比16%増)で拡大傾向にある[1]
床掃除用
家庭用

一般的なタイプについて解説すると、家庭用は、本体内に充電池(バッテリー)を内蔵しており、動作中はコードレスである。充電用のスタンドがあり充電を自動で行う機種もある[1](後述)。

本体の前方側面にはセンサーを備えることで、家具や壁面を衝突するか又は避けるように床面を自律走行しながら、回転するサイドブラシで塵埃を本体下面に集めて吸引・収集してゆく。ほとんど全ての機種[注釈 1]が、階段の縁のような段差をセンサーによって感知し避け、落下することはない。

安価なものはバッテリーが切れるまで走り続けるが、中程度以上のものはタイマーによって動作制御され、自動またはボタン操作で起動して一定時間床面の清掃を行うと自ら充電器内に自走して戻り、次回の起動に備えて充電を行うようになっている。

価格に応じて機能が異なり、前面・側面の物理的な接触センサーに家具などの障害物が(「コツン」や「ゴツン」と)当たると方向転換するようになっていて清掃ルートも認識せずに床面をただランダムに走行するだけの比較的安価なものから、超音波などを用いた(非接触式)距離センサーによって家具などとの距離を測り接触する前に減速したり接触を回避したりする機種、さらには天井の幾何的パターンをカメラで認識することで部屋の(床面の)地図を作製し自機の部屋内での位置もAIで認識し、同一場所の重複清掃をなるべく避け掃除時間を(やや)短縮させる高性能・高価格な機種もある。機種によってはモップを備え水拭きやワックス掛けもできる。

家庭用の価格帯はWEB価格で6千?7千円から7万円程度(2012年12月時点)。低価格機種は清掃の基本機能に特化しているものが多い。高価格の製品は多機能で、毎週指定の曜日の指定時刻に自動的に起動するスケジュール機能も備えているものある。

本体の外形は、ほとんどが直径25cmから38cm程度の薄い円盤型である。ただし円盤型の形状について、ほんの数機種だけ例外があり、ドイツのフォアベルク社のコーボルトは「D型」[5]パナソニックルーロルーローの三角形(いずれも円盤形が苦手としている部屋の四隅の塵も逃さないためである) 。
歴史

伝統的な大手家電企業は当初はロボット掃除機は出しておらず、ベンチャー企業のiRobot北欧メーカーがニッチを埋める形で商品化を実現してきた歴史がある。
世界での試作やデモの段階


日立製作所は、1983年よりロボット掃除機の開発に着手し[6][7]、1985年にドイツで開催された世界最大の家電専門国際見本市であるドモテクニカ(ドイツ語: Domotechnica)に試作ロボット掃除機HCR-00を出品し[6][7]、2003年には試作ロボット掃除機HCR-03を発表した[6][7]。HCR-03は、狭い日本の家屋での使用に考慮し先発他社製品より小型の直径25センチメートルに設計されていた[8][9]

三洋電機は1986年に家庭用ロボット掃除機の試作機を完成させた[10]。実用的な二次電池がまだ開発されていなかったため[10]ACコンセントに自動で装脱着する技術が開発された[10]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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