ロナルド・アーバスノット・ノックス(英語: Ronald Arbuthnott Knox, 1888年2月17日 - 1957年8月24日)は、イギリスの聖職者・神学者で推理作家。兄は、『パンチ』編集長を務めたE・V・ノックス(英語版)。 1888年にイングランド国教会マンチェスター主教の家に生まれる。オックスフォード大学に進み、在学中は生徒会長となる。卒業後、数年間同大学のトリニティ・カレッジで研究を続け、さらに国教会のチャプレン(大学などに派遣される聖職者)として5年間同大学に留まった。 1917年にG・K・チェスタートンの影響でカトリックに改宗し、司祭を経て司教に就任した。退職時の位階は大司教で、カトリックでは英国第2位の高位聖職者となっていた。退職後は標準的なラテン語聖書『ウルガタ聖書』の改訳に乗り出し、『ノックス聖書』と呼ばれて刊行された。チェスタートンの葬儀をウェストミンスター大聖堂で執り行ったことでも知られる。 推理小説の著作は少ないが、ユーモアと風刺が効いた、人をくった作品が多い。シリーズ探偵として、保険会社の代理人マイルズ・ブリードンが5作品で活躍する。ただし周囲や教会からはあまり好意的に見られず、再三にわたって執筆をやめるようにいわれている。そんな中で1937年に自ら断筆し、以後は一作も書いていない。 推理小説界の興隆にも力を注ぎ、フェアプレーの原則を主張した。日本では推理小説のトリックにおける「ノックスの十戒」でも知られている。 学生時代にシャーロック・ホームズについて論文を書き、アーサー・コナン・ドイルに送ったことがある。
人物
聖職者として
推理小説家として
著作リスト
長編
1925年 『陸橋殺人事件』(The Viaduct Murder)
1927年 『三つの栓』(The Three Taps)
1928年 『閘門の足跡』(The Footsteps at the Lock)
1933年 『サイロの死体』(The Body in the Silo)
1934年 『まだ死んでいる』(Still Dead)
1937年 Double Cross Purposes 未訳(「二重誤認」[1])
短編
1931年 「密室の行者」(Solved by Ivspection) - ノックス短編の代表作で、多くの推理小説アンソロジーに収録されている[2] 。
1931年 「一等車の秘密」(The Adventure of the First‐Class Carriage) - 「一等車の秘密」 深町眞理子訳 (HMM76-7)掲載のみで、単行本への収録なし。
1931年 「動機」(The Motive)
リレー長編
1933年 『ザ・スクープ』(The Scoop, and Behind the Screen) (ドロシー・L・セイヤーズ) - アガサ・クリスティーら英国の推理作家による合作。
評論・エッセイ
1931年 「ホームズ物語についての文学的研究」(Studies in the Literature of Sherlock Holmes) - 小林司・東山あかね訳 (河出文庫 『シャーロック・ホームズ17の愉しみ』 に収録。
アンソロジー
1928年 『探偵小説十戒』(The Best of Detective Stories of the Year 1928)[3]