ロシア帝国やソビエト連邦時代を中心としたロシアのクラシック音楽の歴史について述べる。
中世にはギリシャ正教とともにビザンティン聖歌が取り入れられたが、世俗的な音楽は禁止され顕著な発達を見ることはなかった。18世紀から西ヨーロッパの音楽がもたらされるようになると、やがてロシア民謡の影響などを取り入れ独自の発展を遂げ、19世紀にはロシア5人組と呼ばれる集団が活躍、ほぼ同時期にピョートル・チャイコフスキーが幅広いジャンルに名曲を残した。19世紀末から20世紀初頭にはセルゲイ・ラフマニノフやアレクサンドル・スクリャービンらが活躍。1910年代からは革新的な音楽語法が盛んになるが(ロシア・アヴァンギャルド)、1930年代からは一転して政治による規制を受けるようになり、社会主義リアリズムのもとで保守化した。セルゲイ・プロコフィエフやドミートリイ・ショスタコーヴィチはこの路線に沿った交響曲を数多く残している。
目次
1 古代
1.1 ロシア音楽の起源
1.2 ロシア民謡
2 中世
2.1 教会音楽
2.2 スコモローフ
3 18世紀
3.1 世俗音楽の興隆
3.2 ロシア・オペラの草創期
3.3 民謡と「ロシア歌謡」
4 19世紀
4.1 「官製国民性」とイタリア・オペラの席巻
4.2 グリンカ
4.3 管弦楽演奏会の始まり
4.4 ロシア音楽協会とサンクトペテルブルク音楽院の創立
4.5 ロシア国民楽派と反アカデミズムの潮流
4.6 国民主義的オペラとリアリズム
4.7 抗争
4.8 「5人組」の解体
4.9 チャイコフスキー
4.10 資本家パトロン
4.11 オリエンタリズム
4.12 20世紀への橋渡しをしたロシアの作曲家たち
5 20世紀
5.1 銀の時代
5.2 ディアギレフとバレエ・リュス
5.3 ストラヴィンスキーとプロコフィエフ
5.4 ロシア・アヴァンギャルドの作曲家たち
5.5 現代音楽協会(ACM)
5.6 ロシア・プロレタリア音楽家同盟(RAPM)
5.7 社会主義リアリズムの作曲家たち
5.8 ショスタコーヴィチ
5.9 プラウダ批判