ロシアによるウクライナ東部・南部4州の併合
2022年ロシアのウクライナ侵攻中
時2022年9月30日
場所 ロシア モスクワ
結果
ロシアによる占領地域の一方的併合
ロシアは宣言に先んじて、ヘルソン州及びザポリージャ州を「独立国家」として承認[1]
ドネツク州、ルガンスク州、ザポリージャ州、ヘルソン州をロシアが一方的に併合[2]
ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)への加盟申請を決定[3]
衝突した勢力
ロシア連邦
ヘルソン州占領当局
ザポリージャ州占領当局
ドネツク人民共和国
ルガンスク人民共和国
ウクライナ
ロシアによるウクライナ4州の併合宣言(ロシアによるウクライナ4しゅうのへいごうせんげん)は、2022年ロシアのウクライナ侵攻下の同年9月30日、ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンが行った、ウクライナ東部・南部4州(ドネツク州、ルガンスク州、ザポリージャ州、ヘルソン州)の併合宣言である[4]。
この併合はロシア連邦議会によって承認され、プーチン大統領は翌10月5日、これら4州をロシア連邦に編入するための「条約」の批准法案と国内法改正案に署名し、ロシア連邦としての法的手続きを完了した[5]。
ウクライナ政府やそれを支援する西側諸国だけでなく、複数の第三国、国際連合事務総長などは、併合宣言に先立つロシア占領下のウクライナでの2022年の併合住民投票実施が発表された段階から、4州のウクライナからの分離やロシア編入を認めないことを表明してきた。併合手続き時点で、2022年ウクライナ夏季の反転攻勢により4州の一部地域はウクライナ軍が奪還しており[5]、ロシア連邦軍や親ロシア派勢力の実効支配は4州全域には及んでいない。 ロシア占領下のウクライナ4州で2022年9月23日から27日にかけて実施された「住民投票」では、ロシア編入への賛成が各州とも90%前後だったと発表されたが、ロシア側が「選挙管理委員会」を運営し、兵士や警官が戸別訪問に同行して投票を求めるなど公正とは言い難い方法だった[6][7]。 ロシアのプーチン大統領は9月29日、4州のウクライナからの「独立」を一方的に承認する大統領令に署名[8]。翌9月30日には首都モスクワのクレムリンで[9]およそ40分間の演説を行い[10]、投票結果について、4州住民が「あり得る唯一の選択をした」と発言[9]。「(併合は)数百万の人々の意思であり、ルガンスク、ドネツク、へルソン、ザポロジエ(ザポリージャ)に住む人々は永遠にわれわれの同胞となる」などと主張し[4]、演説後に同4州の親露派代表(ドネツクのデニス・プシーリン、ルガンスクのレオニード・パセチニク、ヘルソンのヴォロディミール・サルド
概要
タス通信によると、ロシア憲法裁判所(ロシア語版、英語版)は10月2日にこの併合条約を合憲と判断しており、ロシア連邦の地方区分としては、同国がウクライナ侵攻直前に独立を承認した「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」はその名称のまま、他の2州は州とする[12]。ロシアの国内法では領土の併合には「外国からの要請」が必要と定められており、住民投票における質問項目は、「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」ではロシアへの編入に賛成するか、他の2州では独立国になったうえでロシアへの編入に賛成するかだった[7]。
ロシア側当局者によると、併合対象地域の面積は11万3000平方キロメートルで、編入により「ロシア国民」が500万?600万人増える[7]。ウクライナ政府は2021年時点で、4州の人口をドネツィク州は約410万人、ルハンスク州は約210万人、へルソン州は約100万人、ザポリージャ州は約160万人と推計していた[13]が、その後は戦火による死亡や域外避難、ロシアによる拉致などにより変動しているとみられる。ロシアは住民投票や併合宣言前から、ザポリージャ州とへルソン州で住民のロシア国籍取得手続きを簡素化したり、ロシア・ルーブルを通貨として流通させたりするなど占領地のロシア化政策を進めてきた[14]。
ロシア政府によると、ムィコラーイウ州でロシア軍が占領している一部地域も、へルソン州の併合地に含まれると解釈している[15]。