ロサンゼルス級原子力潜水艦
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ロサンゼルス級原子力潜水艦

艦級概観
艦種攻撃型原子力潜水艦
計画番号SCB303
建造エレクトリック・ボート社および
ニューポート・ニューズ造船所
艦名都市名
建造期間1972年-1995年
就役期間1976年-就役中
前級スタージョン級
次級シーウルフ級
性能諸元
排水量(水上/水中/予備浮力)
SSN-688-699(6,080t/6,927t/13.9%)
SSN-700-714(6,130t/6,977t/13.8%)
SSN-716-718(6,165t/7,012t/13.7%)
SSN-719-750(6,255t/7,102t/13.5%)
SSN-751-770(6,300t/7,147t/13.4%)
SSN-751-770(6,330t/7,177t/13.3%)
全長109.73m
全幅10.1m
喫水フライトI/II:9.8m
フライトIII:9.75m
予備浮力
機関原子力ギアード・タービン推進(30,000 shp
S6G型加圧水型原子炉1基
蒸気タービン2基
2次推進モーター(325HP)1基
7翼ハイスキュード・スクリュープロペラ[注 1]1軸
電池ガピーIE型126個1群
最大速力(水上/水中):不明/31ノット
潜航深度457m
乗員127-133名
(士官12-13名、下士官兵115-120名)
兵装

Mk 67 533mm水圧式魚雷発射管
Mk 48 魚雷サブロック UUM[注 2]サブ・ハープーン USM[注 3]トマホーク SLCM[注 4]各種機雷弾薬庫容量:22基分
(+発射管装填分)4基
トマホーク SLCM用VLS
(フライトII/III)12基
C4IGCCS-M+NTDS mod 5リンク 11+リンク 16
BQQ-5統合ソナー+BSY-1 ASWCS(CCS Mk 1/2+Mk 36 TWS)[注 5]
ソナーBQQ-5D/E 艦首ソナー
BQS-15 近距離ソナー
BQG-5D フランク・アレイ・ソナー
TB-16D 曳航ソナー
TB-23 曳航ソナー

ロサンゼルス級原子力潜水艦(ロサンゼルスきゅうげんしりょくせんすいかん、Los Angeles class submarine)は、アメリカ海軍攻撃型原子力潜水艦

改同型艦を含めると62隻が建造された。これは、原潜史上、単一のクラスとして最大の配備数および最長の建造期間の記録である。
概要

ロサンゼルス級は、優秀な性能と優れた量産性を両立させることで、1970年代以降のアメリカ海軍 攻撃型原子力潜水艦戦力の基幹を構成した。また、トマホーク武器システムおよびVLSの装備により、潜水艦に対地火力投射(シー・ストライク)という新しい任務を付与したことで、潜水艦戦略に新しい側面を切り開くことにもなった。

本級は、新世代のソ連原子力潜水艦に対抗するため、従来よりアメリカ海軍が整備してきた攻撃型原子力潜水艦に拘泥せず、意欲的な設計を採用している。適切なトレードオフにより、従来よりもはるかに優れた静粛性と速力[注 6]を実現し、これに統合ソナー・システムとデジタル化された水中攻撃指揮装置、そして新型のMk 48 魚雷およびサブ・ハープーン対艦ミサイルを組み合わせることにより、本級は、極めて卓越した戦闘能力を有するようになっている。その一方で、潜行可能深度は以前の3/4程度となり、氷海での活動能力は大幅に制限され、居住性は低く、また、将来発展余裕も限定的となった。

本級は、その優れた性能を買われて、当時進められていたソ連海軍潜水艦戦力の増強に対抗するため、1972年-1995年の23年間にわたって、実に62隻もの多数が建造された。このように、建造が長期にわたったことから、本級は、段階的な改良を施されつつ建造されている。公式には、SSN-688-718のフライトI、719-725、750のフライトII、751-773のフライトIII の3ブロックに分けられる。識別点としては、フライトIIについてはトマホーク 巡航ミサイル用VLSの追加、フライトIIIについては潜舵の移設(セイル側面から艦首(引込み式)がある。なお、このように大きく艦容が変化したことから、フライトIII は改ロサンゼルス級と呼ばれる。
開発

ロサンゼルス級は、空母戦闘群(現 空母打撃群)を直衛し、ソ連海軍巡航ミサイル潜水艦への対潜戦を優先的な任務として計画・建造され、成功を収めたが、建造にいたるまでにはいくらかの紆余曲折を経ている。

1950年代のノブスカ計画以後、アメリカ海軍原子力潜水艦は、基本的に速度よりも静粛性を重視する方向で設計されてきた。事実、船体の大型化にもかかわらず同じS5Wを搭載し続けて出力が向上されなかったため、速力はスキップジャック級の29ノットからスタージョン級の25ノットまで一貫して低下しているのがそのあらわれであるが、これはソ連原潜の速力性能は低いものであるとの情報評価に依拠していた。したがって、スタージョン級の後継として提案されたCONFORM計画においても、原子力潜水艦ナーワル(USS Narwhal, SSN-671)の運用結果に基づき、自然循環型原子炉を搭載することが想定されていた。しかし、CONFORM計画を推進する海洋システム・コマンドに対して、リッコーヴァー提督は強硬に反対を唱え、水上艦用の大出力原子炉を搭載し、30ノット超の高速を発揮しうる艦を要求したため、次期原潜の仕様をめぐって論争となっていた。

この論争に決着をつけたのは、1隻のソ連原潜であった。1968年2月ハワイ東方約450海里において、ノヴェンバー型の1隻が、ベトナムの前線に向かう原子力空母エンタープライズ」戦闘群を追跡、水中26ノットの発揮が観測されたため、ソ連原潜の速力性能に関する評価が誤りであったことが判明した。すでに前世代に属するものになっていたノヴェンバー型がこのような性能を発揮したことは充分に衝撃的であり、当時最新のヴィクター型や、開発の進行を示す証拠が強まりつつあった大深度潜航能力と高速力を兼備した潜水艦(アルファ型)を含めて、ソ連海軍と互角に対抗してゆく能力に大きな不安が投げかけられることになった。

リッコーヴァーは、このチャンスを逃すことなく、海軍内の支持者と議会内のコネクションを動員し、自らの推す高速潜水艦を実現させるべく運動を展開し、ついには実現させることに成功した。すなわち、CONFORM計画は放棄され、30ノット超の高速とさらなる静粛性との統合を目指して、次代の原潜、すなわちロサンゼルス級が建造されることとなったのである[注 7]

以来、ほぼ四半世紀にわたり、米原潜の主力の座にあった本級だが、さすがに旧式化が隠しえない。冷戦終結後の1993年、建造計画の完遂を待つことなくSSN-689「バトンルージュ」が除籍され、以後、前期建造艦を中心に退役が進められている。しかし、後継のバージニア級の配備が進んでいる2015年時点においても、主力の座を保持している。
船体・装備
船体側面図

本型の設計に当たっては、従来よりアメリカ海軍が整備してきた攻撃型原子力潜水艦の設計に拘泥せず、徹底したコンセプト開発によって、適切なトレードオフが実施された。

この結果、スキップジャック級以来の涙滴型船型は放棄され、完全な魚雷型(円筒型)を採用している。


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