レンギョウ属
レンギョウ
(愛媛県鬼北町、2005年4月3日)
分類(APG III)
レンギョウ(連翹)とは、広義にはモクセイ科レンギョウ属(学名: Forsythia)の総称(それらから品種改良で作られた園芸品種をも含める)。狭義には、レンギョウ属の種の一つ、学名 Forsythia suspensaの和名を指す。一般には広義の意味で称されることが多い。
属名のForsythiaは、19世紀初頭にイギリスの王立植物園の監督官を務めた園芸家ウィリアム・フォーサイス(William A. Forsyth、1737年 - 1804年)に因む。
レンギョウ F. suspensa満開のレンギョウ
レンギョウ(連翹[1]、学名: Forsythia suspensa (Thunb.) Vahl[2])は、モクセイ科レンギョウ属の落葉性低木広葉樹。別名、レンギョウウツギ(連翹空木)[2]。古名は、いたちはぜ、いたちぐさ。中国名は連翹(別名:黄寿丹)[2]。英名はゴールデンベル (golden bells, golden bell flower)。
和名のレンギョウは、漢名の連翹を音読みしたものであるが、実は中国で過去に異なる植物を指すものであった。中国原産[1]。中国で連翹とは、本来トモエソウ(学名:Hypericum ascyron、中国名:湖南連翹(大連翹)、黄海棠)もしくはオトギリソウ(学名: Hypericum erectum、中国名:小連翹)のことを指したが、これらどの実も薬用されていたこともあって、宋以降からは現在の山西省の南東部で大量に生産された現在のレンギョウの実が連翹と称して売られるようになり、ついにはレンギョウが連翹として認識されるに至った。明の『本草綱目』にあるレンギョウの実の挿絵は現在のレンギョウの実の形とはほぼ同じである[3]。現在の中国においては連翹と書くと日本と同様にForsythia suspensaのことを指すが[4][5]、河北省・貴州省や台湾など一部の地域ではトモエソウのことを連翹と呼ぶこともある[4]。 雌雄異株。 繁殖力が旺盛で、よく繁る。株立ちして樹高は1 - 3 mまで育ち、半つる性の枝は湾曲して伸び下に垂れ、地面に接触すると、そこからも根を出し新しい株ができる。枝は竹のような節を持つ。また、枝の髄が早期に消失するため、節の部分を除いて中空になる。このことから“空の木”、レンギョウウツギ(連翹空木)という別名が付いた。この呼称は最初、本来の連翹(トモエソウ)との誤用に気付いた時、区別するために使われた。若い枝は陵があり、節以外は髄が中空になっている[1]。樹皮は灰褐色で、膨らんでいる皮目が多い[1]。冬芽は卵形や楕円形で枝と同色、枝先の頂芽はほぼ葉芽で、側芽(花芽)は枝に対生する[1]。葉痕は半円形で、維管束痕が1個つく[1]。 まだ葉が芽吹く前の早春(3 - 4月)[1]、2 - 3 cmの黄色い4弁の花が、細い枝に密に多数開く。開花時期は華やかに見える[1]。 その花が咲き終わる頃、入れ違うように緑色の葉が茂る[1]。葉は長さ3 - 10 cm、幅2 - 5 cmの長卵形。葉形は鋭尖で、葉縁にまばらな鋸歯がある)が対生に芽吹き、それが秋になると濃緑色、概憤色(くすんだ黄緑色)、紫色と順に変色し、最後に落葉する。 付いた果実は漢方薬(下記参照)として用いられる。種子を落とした後の果実は、冬も枝に残る[1]。 中国原産。日本への渡来は古く、『出雲国風土記』や『延喜式』にもレンギョウの名前が見られる(薬用として平安時代初期に渡来したといわれているが、実際に渡来した時期は定かではなく、江戸時代前期に栽培の記録があることから、江戸時代だという説もある)。 レンギョウ属(レンギョウぞく、学名:Forsythia
特徴
分布・生育地
レンギョウ属不老園(甲府市)のレンギョウ
中国・朝鮮原産種シナレンギョウ
レンギョウ(学名:Forsythia suspensa、中国名:黄寿丹) - 中国原産種。
ギラルディアナ(学名:Forsythia giraldiana、中国名:和秦翹) - 中国原産種。
シナレンギョウ(学名:Forsythia viridissima、中国名:金鐘花) - 中国原産種。株立ちして枝が立ち上がる樹形になる[1]。春に公園などで見られるのは、このシナレンギョウが多く、レンギョウ類では最もよく植えられている[1]。植栽されているのもののほとんどは、枝が刈り込まれている[1]。
チョウセンレンギョウ(学名:Forsythia ovata (Forsythia koreana, Forsythia viridissima var. koreana)、朝鮮名:ケナリ(???)) - 朝鮮半島原産種。朝鮮半島ではカラムラサキツツジ(朝鮮名:チンダルレ(???))と共に、春の訪れを告げる花として親しまれている。