レッドリスト
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生物の群別によるレッドリスト指定種の割合。   は絶滅寸前、   は絶滅危惧、   は危急(2007 IUCN Red Listより

レッドリスト(英語: Red List, RL[1])とは、国際自然保護連合(IUCN)が作成した絶滅のおそれのある野生生物のリスト[1]。正式には The IUCN Red List of Threatened Speciesという[2]。2023年5月現在で、最新のバージョンは2022年版[2]

また、日本では環境省が作成した「絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト」や、各都道府県が作成した都道府県別レッドデータブックも、レッドリストと呼ばれる[3]

レッド=Red 赤、警戒色から危険生物のリストと誤認、勘違いされる事があるが重大な誤りの為注意されたい。

またレッドリストは絶滅危惧のことも表している。
概要

最初のIUCN版レッドリストは、1964年に作成された[4]。しかし、それ以前からレッドリストの作成に関する動きはあり、1940年代に哺乳類や鳥類の個体数の減少の報告が、1950年代にはIUCNが絶滅の危機のある野生生物をカード化して整理を始めた[4]。これがレッドリストの先駆けである。そして、上述のように、1966年にノエル・シモン編『レッドデータブック第1巻「哺乳類」』[5]及びジェイムズ・フィッシャー(英語版)、ジャック・ビンセント(英語版)編『第2巻「鳥類」』[6]が発表された[4]。その後、1968年[注 1]にレネ・ホネッガー (Rene E. Honegger) 編『第3巻「爬虫類と両生類」』、1970年にロナルド・メルビル(英語版)編『第5巻「種子植物」』[9]、1977年にロバート・ラッシュ・ミラー(英語版)編『第4巻「淡水魚」』[10]が次々と発表された[4]。これらは、更新の便からルーズリーフ形式が採用されている[4]

その後、1970年代から1980年代にかけて、レッドリストの更新や新たな分類群のレッドリストの作成が進められ[注 2]、1986年に1986 IUCN red list of threatened animalsと呼ばれる「本」の形式で出版された後[4][11]、2000年にはインターネットを通じて提供されるようになった[4]
カテゴリーと基準

レッドリストのカテゴリとその評価基準 (Categories & Criteria) の変遷を説明する。
1940年代?1968年
この時代には統一された用語や評価基準は無かった
[4]
1969年
1969年にカテゴリの統一化、整理が進み、絶滅危惧、希少、減少、非認定の4つの評価基準が定められた[4]
1970年?1990年
1969年版カテゴリと基準をベースにいくつかの検討がなされる[4]
1991年 (ver.1.0)[12][13]
新しいカテゴリーの基本。大型脊椎動物に関する数値基準が示される。
1992年 (ver.2.0)[12][13]
ver.1.0の改訂版。種々の分類群に適用できるようにした数値基準を設けるとともに、絶滅のおそれが少ない種に対するカテゴリーが導入された。
1994年版 (ver.2.3)[12][13]
よく知られているカテゴリーと基準の1つ。定量的な数値基準を採用するためにカテゴリーと基準の全面改訂が行われ、1994年12月に数値基準を導入した新システムが採択された。その後のIUCNのレッドリストはこの1994年版のカテゴリーに従って作成されている。1996年10月発表の絶滅危惧動物のレッドリスト 1996 IUCN Red List of Threatened Animals [14]が1994年版のカテゴリーと基準を用いた最初のIUCNレッドリストである。

Evaluated - 評価済

Adequate data - 充分なデータあり

Extinct (EX) - 「絶滅

Extinct in the Wild (EW) - 「野生絶滅

Threatened - 「危惧」あるいは「絶滅のおそれのある状態」(絶滅危惧

Critically Endangered (CR) - 「絶滅寸前」(絶滅危惧IA類)

Endangered (EN) - 「絶滅危機」(絶滅危惧IB類)

Vulnerable (VU) - 「危急」(絶滅危惧II類)


Lower Risk (LR) - 「低リスク」

Lower Risk - Conservation Dependent (LR/cd) - 「保全対策依存」

Lower Risk - Near Threatened (LR/nt) - 「準絶滅危惧」(準絶滅危惧)

Lower Risk - Least Concern (LR/lc) - 「軽度懸念」



Data Deficient (DD) - 「データ不足」(情報不足)


Not Evaluated (NE) - 「未評価」
※凡例
「 」内はIUCN日本委員会が訳した「 ⇒IUCNレッドリスト2000年(1994年レッドリストカテゴリーとその基準)」で示されている訳語。

( )は、環境省レッドリストの対応用語。
このカテゴリーと基準を海産魚類に適用したことをきっかけに、経済的な取引の対象となる生物への適用が議論となった[4]
2001年版 (ver. 3.1)[12][13]
2015年5月現在採用されているカテゴリーと基準。2000年2月に、2001年版 (Ver. 3.1) カテゴリーと基準が採択された。2001年1月以降の評価はこの基準に従って行われている。しかし、1994年版に従ってすでに行われた全分類を2001年版に従って見直すことは、即時にできることではない。そのため、1994年版と2001年版が併用されており、"ver. 2.3 (1994)" あるいは "ver. 3.1 (2001)" と表示し、どのカテゴリーに従った評価なのかがわかるようになっている。2001年版 (Ver. 3.1) によるカテゴリーは下記の通りである。Lower Risk以下が変化している。

Evaluated - 「評価済み」

Adequate data - 「十分なデータあり」

Extinct (EX) - 「絶滅」<絶滅種>(絶滅)

Extinct in the Wild (EW) - 「野生絶滅」<野生絶滅種>(野生絶滅)

Threatened - 「絶滅危惧」<絶滅危機種>(絶滅危惧、絶滅のおそれのある種)

Critically Endangered (CR) - 「深刻な危機」<近絶滅種>(絶滅危惧IA類)

Endangered (EN) - 「危機」<絶滅危惧種>(絶滅危惧IB類)

Vulnerable (VU) - 「危急」<危急種>(絶滅危惧II類)


Near Threatened (NT) - 「準絶滅危惧」<近危急種>(準絶滅危惧)

Least Concern (LC) - 「低懸念」<低危険種>


Data Deficient (DD) - 「データ不足」<情報不足種>(情報不足)


Not Evaluated (NE) - 「未評価」
※凡例
「 」は内矢原・金子が訳した『 ⇒IUCNレッドリストカテゴリーと基準 3.1版』で示されている訳語[13]

( )は、環境省レッドリストの対応用語。

<>はWWF-Jの訳語[15][16]

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