レッドサンブラッククロス
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『レッドサン ブラッククロス』(Red Sun Black Cross、略称RSBC)とは、
アドテクノスから発売されたボードシミュレーションゲーム。原案・高梨俊一、開発・佐藤大輔福田誠ほか。日米が第二次世界大戦に参加しなかった世界で、日独がインド亜大陸を主戦場に第三次世界大戦を行うという設定。続編として『リターン トゥ ヨーロッパ』『エスコート フリート』がある。タイトルの元ネタはアメリカ合衆国のSPI社製で、ホビージャパンから日本語訳付きで発売もされた仮想第三次世界大戦ボードウォーゲーム『レッドスター・ホワイトスター』。

上記と関連する、佐藤大輔による架空戦記小説。本項ではこちらについて詳述する。
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出典検索?: "レッドサン ブラッククロス" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2015年11月)

概要

ゲーム版1985年に発売。二・二六事件から歴史改変を行い、日独伊三国防共協定が成立していない状況での世界大戦、という視点から製作されたウォー・シミュレーションゲームが『レッドサン ブラッククロス』である。アメリカ合衆国はモンロー主義に縛られて介入せず、中近東からインド周辺までの地域で日本ナチス・ドイツの戦力が激突するという従来に無い斬新な設定は多くのファンを獲得した。

小説版小説版『レッドサン ブラッククロス』は佐藤の代表作の一つである。題名、および日独による第三次世界大戦というアイデアは高梨俊一によるものであり、佐藤自身が著作内で度々明言している。しかし、執筆にあたって考証が大幅に見直され、ゲーム版では歴史改変の出発点が二・二六事件だったのに対し、日露戦争まで遡って改変が始められている。小説版で描かれる時代の特徴としては、世界最大の工業力を有するアメリカが、カナダ東部を策源地とするナチス・ドイツの侵攻を受けて大戦に巻き込まれ、その結果、陸戦の舞台がゲーム版のインド亜大陸から北米大陸となり、それに呼応して戦場も世界各地に広がるよう変更され、展開は大きく異なる(詳細は下記の歴史等を参照)。

『仮想・太平洋戦史 戦艦大和夜襲命令』(徳間文庫、1991年刊行の天山ブックス『逆転・太平洋戦史(2)もしもあの作戦を決行していたら!?』の加筆改題版)所収の「<レッドサン・ブラッククロス外伝>戦艦フリードリヒヲ撃沈セヨ」はゲーム版の設定に準拠し、佐藤は、今後手掛ける「レッドサン」作品は、必ずしもゲーム版と同じ仮想世界を用いない旨を表明している。

佐藤はゲームデザイナー時代、『レッドサン ブラッククロス』の成功後、別の仮想戦ゲームである『北海道共和国』とその続編『ニイタカヤマノボレ』で、より大規模な歴史改変設定(亡命した榎本武揚ら旧蝦夷共和国首脳部により、日本皇室とハワイ王室との婚姻工作が進められ、米国によるハワイ併合が回避される)を行った経験がある。その際「世界史で発生した重要事件がすべからく日本に機会をもたらすように改変されねばならない。また(プレイヤーがそれを信憑性のあるものと認識できるように)現実の歴史と限りなく類似したものでなければならない。」と述べている。小説版の設定考証に当ってもこの指針が貫かれ、トライアングル・アロウ事件など、背景の似た事件は発生するものの、顛末が日本側および日本社会に有利な形で逆様となっている出来事が多くある。

また、改変のスタイルにも注意が払われ、アクの強い人物はそれに相応しい改変が、大正期以後の日本の政治機構のように主体性が期待出来ない集団には状況に押し流される、事故や災害を利用し漸進的に小失敗を重ねて変化させていくような改変を多用するといったように、改変後の流れだけではなく改変自体も不自然さを感じさせないように工夫が凝らされ、後に『レッドサン ブラッククロス密書』でも指摘されている(こうした工夫は他の国家に施された改変においても同様である)。このことで、目に付き易い物質面以外のリアリティにも注意が払われている。

また、日露戦争の帰趨のように詳細が語られていない改変も多く、ドイツの英本土への侵攻戦のようにシリーズが進んだ後で描写されることがある。佐藤はかつて『SDFシリーズ』という連作ゲームの予告記事において各作品の発売に時間差がつくことを利用して、資料収集の時間を稼ぎ、設定の修正を行なう(大意)と書いており、本シリーズのような最初から長期連載を計画した作品においても同様の方針で臨んでいることを『レッドサン ブラッククロス密書』で窺わせている。

本編が11冊、その他多くのエピソード、設定資料等が刊行され、佐藤大輔の作品では最も綿密な広がりをもった作品となっていたが、本編は2000年以来新作が途絶え、2017年3月22日に佐藤が死去したため、本作は絶筆となってしまった。第1巻の初版刊行は1993年に徳間書店からされており、以後、再版等も行われたが途中で出版社が中央公論新社に移行したり、10年以上の時間が経過したりした事で、一部の巻については入手が困難であった。

2021年現在、中央公論新社から本編を再編集した単行本「レッドサンブラッククロスI」「レッドサンブラッククロスII」「レッドサンブラッククロスIII」と、過去に発表された短編全27篇をまとめた「レッドサンブラッククロス全短篇」が刊行されている。
歴史
第二次世界大戦後まで
日本

日露戦争終盤、日本海軍日本海海戦に勝利し、アジア大陸では日本陸軍は疲弊しながらも辛うじて優勢を保っていたが、(史実では行われなかった)ロシア陸軍最後の反撃によって限界に達して敗走。遼東半島を除く全ての占領地を失って停戦を迎えた[1]朝鮮半島の権益すら保持を許される状況ではなく、イギリスに譲渡した。このため歴史学でしばしば話題となるアメリカの鉄道王エドワード・ヘンリー・ハリマンが提案した東清鉄道の共同経営案(桂・ハリマン協定)は上記の事情により最初から存在の余地が無くなっており、作中紀伝体で描かれる歴史的経緯にも一切登場しない。従って、日露戦争の結果を操作してはいても、アメリカと接近する余地は乏しいような改変となっている。

大陸進出を諦めざるを得なくなった日本では、敗北した陸軍の政治的影響力が低下し、海軍と親英米派が国政を主導する(ただし日英同盟と米国は後に貿易摩擦で対立を深める)[1]貿易立国、海洋国家となることを選択した日本は、史実では植民地経営に投じられた資金や人材を国内に投じ、産業の近代化に専念した。やがて全世界へ(武器を含む)優れた工業製品を輸出するようになり、二度の世界大戦を経て、1930?1940年代に「日本の奇跡」と呼ばれる高度経済成長を達成する[2]第二次世界大戦では敗退したイギリスを中東などで支援したものの、第三次世界大戦勃発まで大規模紛争に総力を挙げて介入した経験がなく、戦歴の無い若者が戦う事になる。

第二次世界大戦の結果、多くの植民地では事実上の宗主国を失って独立運動が激化し、日本はそれらの国にあらゆる製品を売りさばいている。これは実質的に日本(および英国)のシーパワーを背景とする市場の拡張であり、経済大国へ至る最終段階では内需と大陸権益のみで発達したのではなく、外需の面でこのような重要な背景が存在しており、史実の高度経済成長に近い描写を無理なく成立させている。また、アメリカ合衆国との関係は悪化してはいるものの、日米通商航海条約が破棄されるような決定的段階には至っておらず、内政においては制度の模倣さえ議論されている。また、第三次世界大戦関連の戦時経済運営も発展に寄与したととれる記述も外伝等に存在する。

政治的には日露戦争で大敗して本土防衛に任務を限定された陸軍は政治的影響力が低く、貿易立国方針と日英同盟の継続から海軍では英米派の影響力が大きい状態で推移していた。この状況を逆転させ、社会的矛盾を解消することを名目に日本国内には陸軍を中心に親独勢力が浸透していたが、第二次世界大戦終盤の1943年、軍の若手将校によるクーデター計画「トライアングル・アロウ」が発覚。この事件を切っ掛けに国政の壟断を狙っていた陸海軍の将校は一掃された。


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