レスラー
The Wrestler
監督ダーレン・アロノフスキー
脚本ロバート・シーゲル
『レスラー』(原題: The Wrestler)は、2008年公開のアメリカ映画。かつてスターだった中年のプロレスラー(ミッキー・ローク)が、試合後に心臓発作で倒れ、医師から引退を宣告され、自身の人生を見つめ直す物語。ヴェネツィア映画祭金獅子賞、ゴールデングローブ主演男優賞受賞。
あらすじランディとステファニーが関係を取り戻そうと一緒に歩くシーンで使用されたニュー・ジャージー州の板敷きの遊歩道
1980年代に人気レスラーだったランディだが、二十数年経った現在はスーパーでアルバイトをしながら辛うじてプロレスを続け、想いを寄せるキャシディに会うためにストリップクラブを訪ねる孤独な日々を送っている。ある日、往年の名勝負と言われたジ・アヤトラー戦の20周年記念試合が決定する。メジャー団体への復帰チャンスと意気揚がるランディだったが、長年のステロイド剤使用が祟り心臓発作を起こし倒れてしまう。現役続行を断念したランディは、長年疎遠であった一人娘のステファニーとの関係を修復し、新しい人生を始める決意をするが、バーで出会った女とセックスとコカインにふけったせいで食事の約束を寝過ごしてしまい、ステファニーに絶縁されてしまう。
スーパーの肉売り場で働き始めたランディであったが、元プロレスラーであることに気付いた客の一人に動揺させられ、スライサーで手を怪我する。やけになったランディは仕事をやめてしまう。家族と仕事を失ったランディは、アヤトラー戦でレスラーに復帰することを決意する。
会場にはランディの体を心配してキャシディが駆けつけたが、リングの中だけが俺の世界だと制止を振り切ってリングに上る。試合中に体調が悪化したランディを気遣ってアヤトラーはピンフォールするように耳元で囁くが、ランディはそれを無視して必殺技の「ラム・ジャム」をファンに披露するためにリングコーナーによじ登り、飛び降りる。
キャスト主演のミッキー・ローク(2009年)
役名俳優日本語吹替
ランディ・“ザ・ラム”・ロビンソンミッキー・ローク安原義人
キャシディマリサ・トメイ佐々木優子
ステファニー・ラムジンスキーエヴァン・レイチェル・ウッド永吉ユカ
レニーマーク・マーゴリス坂本くんぺい
ウェイントッド・バリー丸山壮史
ニックウェス・スティーヴンス
ジ・アヤトラーアーネスト・ミラー高松直輝
ロン・キリングスロン・キリングス
ネクロ・ブッチャーネクロ・ブッチャー佳月大人
製作レッスルマニア25で映画を宣伝するミッキー・ローク
当初、製作会社はニコラス・ケイジのような大物を主演俳優に起用することを条件に予算の大幅な増加を監督のダーレン・アロノフスキーに持ちかけたが、アロノフスキーは自分が選んだミッキー・ロークを主演に据えることを強硬に主張し譲らず、その結果、映画はわずか600万ドルという低予算で製作された[2][3][4][5][6][7]。一方、元ボクサーのロークは、当初、プロレスは振り付けでしかないと考えており、レスラーを尊敬できなかったが、撮影を通してそのような考え方は変わったという[4]。ロークは、70年代80年代に活躍したプロレスラーのアファ・アノアイから3ヶ月間の訓練を受けた[8]。アロノフスキーは、ロークの肉体を、ドキュメンタリーのような生々しい手持ちカメラの映像で映し出した[9]。アロノフスキーは、「映像スタイルは素材次第。この物語ではミッキーが自由に動ける遊び場のようにしたかった」と語った[9]。
プロレスシーンなどでは、ネクロ・ブッチャーをはじめ、20人を越すプロレスラーを登場させた[10]。またプロレス団体ROHも会場等で協力した。 映画公開を記念して、WWEではクリス・ジェリコによるミッキー・ローク批判(もちろんアングルである)に端を発する、ジェリコ対レジェンド(リック・フレアー、リッキー・スティムボート、ジミー・スヌーカ、ロディ・パイパー)の抗争ストーリーが組まれ、ロークもジェリコと番組内で毒舌戦を展開。2009年4月のレッスルマニア25ではジェリコの挑発に乗ってロークはリングに上がり、ジェリコをパンチでKOした。 日本での公開日は、2009年6月13日になった[11]。
プロモーション
音楽
主題歌
ブルース・スプリングスティーン / The Wrestler
スプリングスティーンがミッキー・ロークから送られた手紙と映画スクリプトを読んで書き下ろした新曲。 第66回ゴールデングローブ賞・オリジナル歌曲賞 受賞。
挿入歌
ガンズ・アンド・ローゼズ / Sweet Child o' Mine
ランディのステージ登場時のテーマ曲。劇中、ランディが「ガンズ・アンド・ローゼズが活躍した'80年代の音楽は最高だった。'90年代はニルヴァーナの登場のせいでグランジばかりが流行して最低だった。」と語るシーンがあり、'80年代はランディがかつてレスラーとして全盛期だった時期でもある。また、ミッキー・ローク自身も'80年代はスターとして脚光を浴びたが、'90年代はプロ・ボクサーに転身し整形手術を受けるなど低迷期だった。更に、この曲はロークがプロ・ボクサーだった頃にもステージ登場時の曲として使われていた。本作は予算が少なかったこともあり、アクセル・ローズは無償でこの曲の使用を許可したという。