レジデンツ
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この項目では、音楽グループについて説明しています。その他の用法については「レジデンツ (曖昧さ回避)」をご覧ください。

ザ・レジデンツ
The Residents
レジデンツがコンサートで使用するアイボール・ヘルメット
基本情報
出身地 アメリカ合衆国 ルイジアナ州シュリーブポート
ジャンルアヴァンギャルド、実験音楽マルチメディア・アートアヴァン・ポップノイズロック
活動期間1969年 -
レーベルRalph、East Side Digital、ミュート、MVD Audio
公式サイト ⇒www.residents.com
レジデンツ(2013年)

ザ・レジデンツ(The Residents)は、アメリカ南部出身の前衛音楽実験音楽とビジュアル・アーツのグループである。エキセントリックな音楽は、先鋭的な一部の音楽ファンに知られている。彼らは1970年代前半に活動を始め、デビュー・アルバムを1974年に発表した[1]。アルバム・クレジットやホームページによれば、過去にスネークフィンガー、フレッド・フリスヘンリー・カウ)、タキシードムーン、チリ・ウィリ・アンド・ザ・レッド・ホット・ペッパーズ(英国、パブ・ロック[2]、レナルド・アンド・ザ・ローフ、ヘリオス・クリード、Yelloらと共演している[3]。メンバーは誰だか明かさないが、ハーディ・フォックスが死亡したことで、彼が共同創設者であったことが明らかになった[4]。日本ではゴンチチゴンザレス三上と、音楽評論家の湯浅学がレジデンツのファンであることを、NHK-FMの番組内で公表している。
概要

50年を超えるその歴史において、レジデンツは常に自分たちの生活と音楽を謎に包んできた。4人もしくは5人いるらしいメンバーたちは、メディアによるインタビューを受けることを拒み、本名も秘密のままにしている。また、レジデンツはデビュー時には、カセット・テープをフランク・ザッパやリチャード・ニクソンら、300人に送っている。

ライブや写真撮影は常に衣装をまとった姿で行なわれ、特にタキシードとトップ・ハット、そして巨大な目玉のマスクという姿が有名である。

レジデンツのインタビューや広報活動は、彼らが雇ったマネージメント・チーム「クリプティック・コーポレーション」によって行なわれている。このチームは、ホーマー・フリン、ハーディー・フォックス、ジェイ・クレム、ジョン・ケネディがメンバーである[5]。1976年に彼らこそがレジデンツのメンバーではないかという噂が流されたが、クリプティック・コーポレーションはこれを否定している。彼らの正体については他にも数多くの噂がある。
略歴
キャリア:1970年代

レジデンツの出身地はルイジアナ州シュリーブポートであり、1960年代にそこの高校でメンバーたちは知り合った。1966年に彼らはカリフォルニア州サンフランシスコを目指して西に向かうが、サンマテオで車が故障したことからそこに留まることにした。

彼らは生活の手段として、テープ・マシンや写真といった、何かしら「芸術」に関連していることの実験に手を出すようになった。彼らのことはやがて口コミで広まり、1969年にはイギリス人ギタリストであるフィリップ・リスマン(スネークフィンガー)と、リスマンがババリアで出会ったN・セナダがレジデンツのもとにやってきて、そのまま彼らと行動を共にするようになった。

彼ら2人のヨーロッパ人はレジデンツに大きな影響を与え、リスマンのギター演奏は指が蛇のように動いたことから、彼はスネークフィンガーと呼ばれるようになった。

彼らは音楽的素養はあまりなかったが、粗雑な録音機材や楽器を購入してテープ作りに取り組むようになる。最も初期のパフォーマンスの1つはカリフォルニア州バークレーのロングブランチで行なわれた。

1970年までには2つのテープ、『医者のための錆び付いたコートハンガー』と『剥製の引き金のバラード』が完成した。1971年には第3のテープをワーナー・ブラザースのハル・ハルバースタットに送りつけるものの、キャプテン・ビーフハートと仕事をした経験のある彼でも『Warner Brothers album』には興味を示さず、ワーナーにも拒絶されてしまった。そしてグループは返却先の住所に宛名を記していなかったので、拒絶の通知は「当該住所の住人(レジデンツ)」宛に送られてきた。これがグループ名の由来である。

レジデンツ名義で行なわれた最初のパフォーマンスはサンフランシスコのボードハウス・クラブで行なわれたもので、1971年のことだった。同年に彼らはもう1つテープを作成した。『ベイビー・セックス』という名のついたテープの表紙は、デンマークポルノ雑誌から流用した。

1972年に彼らはサンフランシスコへと移り「ラルフ・レコード (Ralph Records)」を設立する。この頃にレジデンツはN・セナダの「無名の理論」を取り入れるようになった。これはつまり、外部の期待や影響を排除することによってのみ、アーティストは純粋な芸術を生み出すことができるというものである。

同年末、二枚組シングル『サンタドッグ』をクリスマスシーズンにリリースされ、タイトルトラック(当初は「ファイア(Fire)」として出版された)は最も有名な曲の1つ。EPのほとんどのコピーは、フランク・ザッパやリチャード・ニクソンなどの親しい友人、家族、有名人に送った。EPの楽曲は、主に短いパーカッシブ作品、シュルレアリスムの歌詞とチャント、テープ・ループ、さらにはサンプリング構成されている(当時は一般的ではなかった)。すべてのトラックは、異なる架空のアーティストとソングライターにクレジットされている。

1974年にリリースされた最初のアルバム『ミート・ザ・レジデンツ』が発売されたが、当時のセールスは40枚ほどしか売れず、全く話題にならなかった。発売当初のジャケットは『ミート・ザ・ビートルズ』のパロディで、ビートルズの写真を落書きしている。それに対してEMIとキャピトルから抗議、さらに訴訟を起こすと恐れて、ジャケットを変えて再発売された。新しいジャケットは、ビートルズのテーマを維持したまま、ビートルズのスーツを着た海の生き物が使われているが、1988年の再販時はオリジナルジャケットに戻され、以降2022年現在も使用し続けている。

同時期に映画『ヴィレネス・ファット』制作開始し、14時間以上掛けて撮影行った後、グループは何の理由もなく制作を放棄され没となった。その後1984年に再編集され『Whatever Happened to Vileness Fats?』としてVHSで公開された。

1976年のアルバム『ザ・サード・ライヒンロール』のタイトルはナチス第三帝国(サード・ライヒ)からとられ、音楽業界の重鎮たちの姿がまるでナチスのように加工された写真やイラストが、アルバムのジャケットに飾られた。レコードの各面にはそれぞれ1曲ずつ(約17分30秒)が収録され、どれも古典的なロックンロール・ソングが切り刻まれて再編集され、ボーカルパーカッションとテープ・ノイズがオーバーダブによりちりばめられた内容になっている。

1976年のアルバム『フィンガー・プリンス』は世界初の3面アルバム(2枚のうち一枚が片面にスタンパーされていないブランク)としてリリース予定だったが 、この発想は非実用性であるとラルフ・レコードが拒否したため、最終的には1枚でリリースする事となった。本作に収録予定だったいくつかの楽曲はファンクラブ限定のEP盤『ベビー・フィンガーズ』収録され、1988年にCD化された際ボーナストラックとして収録された。

1977年のEP盤『ダック・スタブ』は本作でブレイク果たした。だかEP盤の音質は劣ったことが分かり、彼らはサウンドを改善するためにアルバムで再リリースすることに決めた。彼らは『バスター&グレン』と呼ばれる同様の未発表のEPを取り、それを新しいアルバムのB面にし翌年11月にリリースされ、後に単にと『ダック・スタブ』改名された。

それから彼らは「無名の理論」を論理的に発展させ、発表しないことを念頭に置いたアルバム『ノット・アヴェイラブル』を1974年に録音した。彼らはこのアルバムをお蔵入りにし、誰もがその存在を忘れてしまった時点で発表しようとしたのである。しかし彼らがアルバムのことを忘れかけていた1978年に、レコード会社は契約の義務からこのアルバムを一般に発表してしまった。
1980年代以降のキャリア

また『エスキモー』(1980年)は音楽的でない音やパーカッション、言葉にならない声などから構成された曲が収録されたアルバムで、これらは(伝統的な意味での)歌というよりも、物語の台詞のない実況中継のようであった。このアルバムはグラミー賞にノミネートされかけた。後に彼らはアルバムの「曲」をディスコ調にアレンジし、『ディスコモー』という名のEPにして発表した。『エスキモー』はサラウンド・サウンド付きオーディオDVDとして2003年に再発表された。

そして従来のポップソングが、3分ほどの間に歌メロとサビが3回ずつ繰り返される形式を持っているのに対し、『コマーシャル・アルバム』(1980年)には歌メロとサビが約1分間に1回ずつ演奏される曲が40曲収録されている。これらの曲はCMソングの雰囲気を持っているものの、どんな既存の商品もしくはサービスを宣伝するようなものでもない。


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