レキシントン(Lexington)は、アメリカ合衆国ケンタッキー州中央部、ブルーグラス地方と呼ばれる地域に位置する工業都市。人口は32万2570人(2020年)[1]で、ルイビル市に次ぐ州第2の都市である。北西約35kmに位置する州都フランクフォートと共にレキシントン・フランクフォート・リッチモンド都市圏を形成する。都市圏全体では人口50万人を超える。
レキシントンおよびその周辺は競走馬の生産で広く知られている。また、工業が盛んで州の特産物であるバーボン・ウイスキーなどの醸造を始め、食肉、機械、化学など多様な業種が揃う。1775年に町が創設され、1832年に市制施行。1974年にはフェーエット郡と合併してレキシントン・フェーエット統合市郡(consolidated city-county)となった。
また、レキシントンはケンタッキー大学(University of Kentucky)、トランシルバニア大学(Transylvania University)をはじめとする14校の大学の所在地で、学術都市としての性格も見せる。ケンタッキー大学は男子バスケットボールの名門として知られ、これまでNBAに多数の人材を輩出してきた。また、同校はハリウッド女優、アシュレー・ジャドの出身校である。レキシントンのダウンタウン レキシントンは1775年、バージニア植民地の野営地として創設された。ウィリアム・マッコーネル(William McConnell)に率いられた開拓者の一行がエルクホーン川(Elkhorn Creek
歴史
1820年頃には、レキシントンはアルゲイニー山地(Allegheny Mountains)の西側で最大で、最も裕福な町のひとつになった。文化水準も高かったことから、レキシントンは「西のアテネ」という別名を持つようになっていた。レキシントンの初期の有名な住民としては、地元実業家のジョン・ウェスレー・ハント(John Wesley Hunt)が挙げられる。ハントはアルゲイニー山地の西側では初の億万長者であった。1832年にはレキシントンは市に昇格した。
南北戦争前のケンタッキー州は奴隷州であり、レキシントンにも大量の黒人奴隷が労働に従事させられていた。1850年には、州の人口の1/5が奴隷であり、レキシントンはケンタッキー州最大の奴隷人口を抱えていた。しかし南北戦争においては、ケンタッキー州は中立の立場を取った。当時のアメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンとアメリカ連合国大統領ジェファーソン・デービスは両者ともケンタッキー州出身で、レキシントンに地縁がある。デービスは1823-24年にかけてレキシントンのトランシルバニア大学に在籍していた。リンカーンの妻、メアリー・トッド・リンカーン(Mary Todd Lincoln)はレキシントン出身であり、1842年に結婚したのち、幾度もこのレキシントンを夫婦で訪れていた。
1935年、レキシントンに中毒リサーチセンター(Addiction Research Center)と呼ばれる全米最初の麻薬中毒更生施設がつくられた。 ⇒[1].
1974年、レキシントンは属していたフェーエット郡と行政統合し、レキシントン・フェーエット郡市となった。
地理ケンタッキー州におけるレキシントン・フェーエット郡市の位置
.mw-parser-output .geo-default,.mw-parser-output .geo-dms,.mw-parser-output .geo-dec{display:inline}.mw-parser-output .geo-nondefault,.mw-parser-output .geo-multi-punct,.mw-parser-output .geo-inline-hidden{display:none}.mw-parser-output .longitude,.mw-parser-output .latitude{white-space:nowrap}北緯38度01分47秒 西経84度29分41秒 / 北緯38.02972度 西経84.49472度 / 38.02972; -84.49472
レキシントン・フェーエット郡市は、ケンタッキー州中央部のブルーグラス地方に位置している。フェーエット郡の面積は733km2(283mi2)である。この地域は自然の美しさ、肥沃な土壌、優れた牧草地、牧場で知られる。また、何本もの小川がこの地域を源とし、ケンタッキー川(Kentucky River)に合流する。ケンタッキー川はオハイオ川、ひいてはミシシッピ川に合流し、遠くニューオーリンズの下流でメキシコ湾に注ぐ。 レキシントンの年間平均気温は摂氏13度(華氏54.9度)、年間降水量は1,392mmである。四季折々の変化に富んだ気候で、暑さ、寒さ、雨、風、雪のいずれも長く続くことはない。アメリカ合衆国東部の多くの都市同様、ケッペンの気候区分ではCfa(温暖湿潤気候)に属する。 レキシントンは春の花粉症にかかりやすい都市の全米ワースト1とされている。 ⇒[2] ちなみに州内のルイビルはワースト4位である。 レキシントンは古くから競走馬の生産とタバコ産業によって支えられてきた。しかし1950年以降産業の多様化が進み、工業と大学を中心とする経済に変わっていった。市内にはケンタッキー大学をはじめとする3校の州立大学を含めて14校の大学が存在し、市の重要な雇用主となっている。 企業のフォーチュン500では、ゼロックス(2013年の従業員数:3000人)、プリンターメーカーのレックスマークインターナショナル(本社および工場、2800人)、ロッキード・マーティン(1705人)、IBM(552人[2])がある。またアマゾン.com、ゼネラル・エレクトリック、トヨタ自動車、ユナイテッド・パーセル・サービスといったいくつかの大企業もレキシントンに拠点を置いている。 レキシントンの玄関口となる空港は、ブルーグラス空港である。主要航空会社のハブ空港からの直行便があるほか、乗り継ぎ便を利用して全米約100都市から航空路によるアクセスが可能である。 レキシントンでは2本の州間高速道路、I-64とI-75が交わる。I-64は市の北東を環状道路のように通っている。セントルイスとバージニア州を結ぶ高速道路で、ケンタッキー州内においては州の最大都市ルイビルとレキシントンを結ぶ重要な道路である。I-75はミシガン州とフロリダ州を結んで南北に走る幹線で、デトロイト・シンシナティ・アトランタ・タンパなど主要都市へと通じ、フロリダ州フォートローダーデールでI-95に合流する。 グレイハウンドのバスターミナルがあり、ルイビルやシンシナティをはじめ、セントルイスやノックスビルなど主要都市へのバスの便がある。
気候
経済ケンタッキー大学
交通
現地2006年8月27日午前6時(日本時間同日午後7時)ごろ、ブルーグラス空港からジョージア州アトランタに向かったコミューター便(コムエアー(デルタ航空の子会社)5191便)が離陸に失敗する事故が発生、日本人2人を含む49人の死亡を確認(コムエアー5191便離陸失敗事故)。