レイノルズ数
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円柱周りのカルマン渦列。この現象は円柱周りで起こり、すべての流体について、円柱サイズと流体速度との積を動粘性係数で割ったものが、つまりはレイノルズ数が40から103のときに見られる[1]

レイノルズ数(レイノルズすう、: Reynolds number、Re)は流体力学において慣性力粘性力との比で定義される無次元量である。流れの中でのこれら2つの力の相対的な重要性を定量している。

概念は1851年にジョージ・ガブリエル・ストークスにより紹介されたが[2]、レイノルズ数はオズボーン・レイノルズ (1842?1912) の名にちなんで名づけられており、1883年にその利用法について普及させた[3][4]

流体力学上の問題について次元解析を行う場合にはレイノルズ数は便利であり、異なる実験ケース間での力学的相似性を評価するのに利用される。

また、レイノルズ数は層流乱流のように異なる流れ領域を特徴づけるためにも利用される。層流については、低いレイノルズ数において発生し、そこでは粘性力が支配的であり、滑らかで安定した流れが特徴である。乱流については、高いレイノルズ数において発生し、そこでは慣性力が支配的であり、無秩序なや不安定な流れが特徴である。実際には、レイノルズ数の一致のみで流れの相似性を保証するには十分ではない。流体流れは一般的には無秩序であり、形や表面の粗さの非常に小さな変化が異なる流れをもたらすことがある。しかしながら、レイノルズ数は非常に重要な指標であり、世界中で広く使われている。
定義

レイノルズ数Re は表面に向かう相対運動の中の流れを有する様々な状況として定義される[n 1]。これらの定義は一般的に密度や粘性、及び速度や特性長さ、もしくは特性寸法等の流体特性を含む。この特性長さは慣習によって決められており、例えば、半径直径に対して等しく有効であるが、どちらか1つが慣習的に選ばれている。航空機船舶については、縦の長さもしくは幅が特性長さとして利用される。配管内の流れや流れの中の球の運動については、内径が今日一般的に利用されている。長方形配管や球体以外の丸みを帯びた物体のような他の形状については定義されている等価直径を用いる。圧縮性気体や非ニュートン流体のような、粘性や密度が一定ではない流体については、特別な規則が適用される。速度についてもある環境、特に攪拌槽では慣習により定義される。 R e = ρ v L μ = v L ν {\displaystyle Re={{\rho {\mathbf {\mathrm {v} }}L} \over {\mu }}={{{\mathbf {\mathrm {v} }}L} \over {\nu }}} [5]

v {\displaystyle {\mathbf {\mathrm {v} }}} : 物体の流れに対する相対的な平均速度(国際単位系 m/s)

L {\displaystyle {L}} : 特性長さ(流体の流れた距離など)(m)

μ {\displaystyle {\mu }} : 流体の粘性係数 (Pa・s 、 N・s/m2 、 kg/(m・s))

ν {\displaystyle {\mathbf {\nu }}} : 動粘性係数(ν = μ/ρ)(m2/s)

ρ {\displaystyle {\rho }\,} : 流体の密度(kg/m3)

このレイノルズ数の定義式を変形すると、 R e = ρ v 2 μ v / L {\displaystyle Re={\frac {\rho {\mathbf {\mathrm {v} }}^{2}}{\mu {\mathbf {\mathrm {v} }}/L}}}

となる。これは慣性力(分子)と粘性力(分母)の比と読みかえることができる[6]。さらには全体の運動量輸送と分子の運動量輸送の比としても考慮することができる。
配管流れ

配管内の流れにおいて、レイノルズ数は一般的に次のように定義される[7]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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