ルービックキューブ
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「ルービック」はこの項目へ転送されています。ルービックキューブを発明した人物については「ルビク・エルネー」をご覧ください。
ルービックキューブ考案者のエルノー・ルービック(2014年撮影)

ルービックキューブ(: Rubik's Cube)は、ハンガリー建築学者ルビク・エルネー(エルノー・ルービック)が考案した立体パズル。一辺が概ね56ミリメートル前後の立方体で、各面は異なる6色で構成されており、各面毎に3×3の9マスに分割されている。任意の各列を回転させる事で分割されたキューブが動くので、各面を同一色に揃える事を主たる目的とする。

「RUBIK CUBE」「ルービックキューブ」はメガハウス登録商標であり(第1635953号ほか)、「Rubik's」はルービックス・ブランド社(イギリス)の登録商標である。したがって公式ライセンスを受けていないメーカーでは、同種の製品を「ルービックキューブ」と称していないが、一般的にはこれらもルービックキューブと呼称する事が多い。

ルービックキューブの愛好家はキューバー(: Rubik's cuber)、もしくはキュービスト(: Rubik's cubist)と呼ばれる。
構造

ルービックキューブの世界標準配色は、を手前面に見ると奥面が黄色、そして側面が時計回り橙色となっている。しかし、日本国内で正式にライセンスを受けて販売されているメガハウス製の旧品では、世界標準配色の黄と青が入れ替わっている日本配色だった。メガハウスから2013年に発売されたルービックキューブver2.0からは配色が世界標準のものに移行され[1]、色のステッカーはパネル式に変更された[2]。単色の他に、藤木直人淡路市などのように図柄を印刷して土産物やファングッズとして販売されている物もある[3][4][5]。日本での販売元のメガハウスでは好みの図柄を印刷する「ルービックマイデザイン」のサービスもある[6]

各面は3×3=9個のの付いた正方形で構成されているが、立方体全体を見ると、各面の中央にあるセンターキューブ6個、辺にあるエッジキューブ12個、頂点にあるコーナーキューブ8個で構成されている。センターキューブ同士は回転軸(X軸・Y軸・Z軸)で連結されている。これらのキューブを、各列(行)ごとに自由に回転させることができる。回転に伴い、コーナーキューブやエッジキューブ(サブキューブとも言う)の場所は移動するが、センターキューブは回転軸上にある為、その場で回転するだけで移動しない。なお、センターキューブ、エッジキューブ、コーナーキューブはそれぞれ1面体、2面体、3面体と呼ばれることもある。後に出た上位版のルービックリベンジでは各面が4×4に分割されておりセンターキューブ自体も他の面に移動できてしまうため難易度は高くなる。

世界標準配色

日本配色

灰色部分がセンターキューブ(1面体)

灰色部分がエッジキューブ(2面体)

灰色部分がコーナーキューブ(3面体)

ルービックキューブはパズルであり、分解の正式な手順は提供されていない。構造上、非破壊的な分解が困難な製品もある。

2000年代に入って特許が失効して以降は「魔方」や「マジックキューブ」などの名称を使用した、複数の中国社製による類似商品が多数販売されている。これらはスピードキュービングにも適しており、回転時に干渉するキューブ内部の角部を丸くして回しやすくした物、センターキューブの蓋を開けてネジやバネの強弱を調節できる物、磁石を内蔵しキューブのずれを軽減する物などが販売されている。配色ステッカーを貼り付けたステッカータイプの物は市販のステッカーに張り替えて自由に色を変える事が可能。ステッカータイプの他に、ステッカー部分がパネルになっている物や、素材そのものに着色したステッカーレスタイプの物もある[2]

旧型のキューブ

ver2.0のキューブ

中国社製キューブ

歴史ポリテクニカ社のマジック・キューブ。アイデアル・トイ社のルービックキューブ。1980年、ハンガリー製

ルービックキューブは、ハンガリーの建築学者で、ブダペスト工科大学教授だったエルノー・ルービック1974年に考案した[7]。ルービック社公式サイトの説明によれば、彼は3次元幾何学を説明するための「動くモデル」を求め、ドナウ川の流動を見て発明のヒントを得たという[8]。最初のキューブの原型は、木製の立方体であった[9]。ルービックは完成した3×3×3のキューブの各面を違う色に塗り分けたが、キューブを動かすうちに元に戻せなくなり、「結果的に、出発点に戻るのに丸1か月かかった」と明かしている[9][10]。ルービックは「マジック・キューブ」(魔法の立方体)という名前で特許を取得し、1977年にハンガリーの玩具製造会社「ポリテクニカ」から最初のキューブが発売される。その後、アメリカのメーカーであるアイデアル・トイ社が販売権を獲得し、マジック・キューブは発明者の名前を冠した「ルービックキューブ」の名前で1980年5月に世界的に発売された[11]。各国の玩具賞を受賞する事もあった。1980年から1983年にかけて世界中で約2億のルービックキューブが販売されたと推定されており、その後もルービックキューブは売れ続け全世界累計で約3億5000万個が販売されている[8]

日本では1980年6月1日朝日新聞(日曜版)でルービックキューブのことが数学者にも注目される「究極の立体パズル」として紹介され[12][注釈 1]、同年の7月25日ツクダオリジナル(現メガハウス)から発売された[14]1980年から1981年には日本中でルービックキューブが大ブームとなった[15]。ツクダオリジナルの代表取締役だった和久井威によると、ニューヨークのトイショーで見て15万個の販売権を1億円で獲得した[16]伊勢丹新宿店のアダルトホビー部門の担当者からパズルゲーム商品の要望を聞いていたことが、その背景にあった[16]。価格を1480円で想定したところ、その担当者から「2000円ぐらいでも売れる」と言われて1980円にしたという[16]。朝日新聞の記事に対しては読者から「どこで売っているのか」という反響があり、最終的にツクダオリジナルに確認(発売日)の問い合わせがされてそれが記事となった[16]。この記事は、商品の関心を高める点で「効果的だった」と和久井は述べている[16]。和久井は年内に2度訪米して追加発注の交渉をおこなったという[16]。1981年2月には海賊版が出回る事態まで発生している。日本では、正規品だけでも発売から8か月の間に400万個以上という売り上げを記録した[8]。また独力では揃える事が非常に困難であることから揃える手順を解説した書籍が販売された[17]

1981年1月31日には帝国ホテルで「第1回全日本キュービスト大会」が開催され、約400人の参加者が集まった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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