ルーアン大聖堂(ルーアンだいせいどう、Cathedrales de Rouen)は、フランスの画家クロード・モネが1892年から1894年にかけて、ルーアンの大聖堂をモティーフに制作した連作。
制作過程ルーアン大聖堂のファサード。
当時ジヴェルニーに住んでいたモネは、1892年と1893年、ノルマンディー地方のルーアンに取材旅行に出かけ[1]、大聖堂の西側正面の建物にイーゼルを構え、わずかに異なる3つの場所から、連作を描いた。そして、ジヴェルニーに戻って、アトリエで仕上げた。作品の数は30バージョンにも上る[2]。
モネは、既に、移り変わる光の影響を捉えようとした「積みわら」や「ポプラ並木」の連作を手がけていたが、「ルーアン大聖堂」連作では、同一のモティーフがほとんど同じ角度から描かれているため、光の推移による変化がよりはっきり捉えられている[3]。
ジヴェルニーの家にいる妻アリスに対し、1892年4月3日の手紙で、次のように書いている[4]。毎日、まだ見ることができなかった何かを発見し、付け加えている。実に苦労は多いが、進んでいる。〔……〕僕は疲れ切ってしまった。もうだめだ。〔……〕ある夜、悪夢にうなされた。大聖堂が僕の上に崩れ落ちてきたんだ。青やバラ色や黄色の石が降ってくるのが見えた。
1895年5月、「ルーアン大聖堂」の20バージョンをポール・デュラン=リュエル画廊の「モネ近作展」で展示した[1]。ポール・シニャックは、日記の中で「素晴らしく仕上げられた壁」と評し、カミーユ・ピサロは、息子リュシアン宛の手紙「僕はそこに、僕自身があれほど求め続けてきた素晴らしい統一性を見出している。」と書いている[4]。 画像作品名制作時期作品詳細W番号所蔵注
作品情報
ルーアン大聖堂:正面から見た扉口(茶色のハーモニー)1892年油彩、キャンバス、107 × 74 cmW1319 フランス オルセー美術館(パリ)(RF 2779)“ ⇒La cathedrale de Rouen. Le portail vu de face”. Musee d'Orsay. 2016年12月20日閲覧。
ルーアン大聖堂:ファサードの習作1892年油彩、キャンバスW1320個人コレクション“ ⇒Monet’s Rouen Cathedral (1892-4)”. Simon Abrahams. 2017年1月8日閲覧。
ルーアン大聖堂:扉口、曇天1892年油彩、キャンバス、100.2 × 65.4 cmW1321 フランス オルセー美術館(パリ)(RF 1999)“ ⇒La cathedrale de Rouen. Le portail, temps gris”. Musee d'Orsay. 2017年1月8日閲覧。
ルーアン大聖堂:扉口、昼下り1893年油彩、キャンバスW1322個人コレクション
ルーアン大聖堂:日没(グレーとピンクのシンフォニー)1892-94年油彩、キャンバス、100 × 65 cmW1323 イギリス カーディフ国立博物館(カーディフ)(NMW A 2482)“ ⇒Rouen Cathedral: Setting Sun”. National Museum Cardiff. 2016年12月20日閲覧。
ルーアン大聖堂:西面、陽光1894年油彩、キャンバス、100.1 × 65.8 cmW1324 アメリカ合衆国 ナショナル・ギャラリー(ワシントンD.C.)(1963.10.179)“ ⇒Rouen Cathedral, West Facade, Sunlight”. National Gallery of Art. 2016年12月20日閲覧。
ルーアン大聖堂:扉口(陽光)1894年油彩、キャンバス、99.7 ×65.7 cmW1325 アメリカ合衆国 メトロポリタン美術館(ニューヨーク)(30.95.250)“ ⇒Rouen Cathedral: The Portal (Sunlight)”. The Metropolitan Museum of Art. 2016年12月20日閲覧。
ルーアン大聖堂:日没油彩、キャンバス、100 × 66 cmW1326 ロシア プーシキン美術館(モスクワ)(Ж-3312)“ ⇒Руанский собор вечером”. The Pushkin State Museum of Fine Arts. 2017年1月9日閲覧。
ルーアン大聖堂:ファサード(日没)1892-94年W1327 フランス マルモッタン・モネ美術館