ル・シッド_(マスネ)
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ジョルジュ・クレラン画、オペラ座での上演のためのポスター.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}.mw-parser-output .listen .side-box-text{line-height:1.1em}.mw-parser-output .listen-plain{border:none;background:transparent}.mw-parser-output .listen-embedded{width:100%;margin:0;border-width:1px 0 0 0;background:transparent}.mw-parser-output .listen-header{padding:2px}.mw-parser-output .listen-embedded .listen-header{padding:2px 0}.mw-parser-output .listen-file-header{padding:4px 0}.mw-parser-output .listen .description{padding-top:2px}.mw-parser-output .listen .mw-tmh-player{max-width:100%}@media(max-width:719px){.mw-parser-output .listen{clear:both}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .listen:not(.listen-noimage){width:320px}.mw-parser-output .listen-left{overflow:visible;float:left}.mw-parser-output .listen-center{float:none;margin-left:auto;margin-right:auto}}Pleurez! pleurez, mes yeux…第3幕、シメーヌのアリア。Marguerite Sylva歌唱、1910年録音。O souverain, o juge, o pere!第3幕、ロドリーグのアリア。エンリコ・カルーソー歌唱、1916年録音。これらの音声や映像がうまく視聴できない場合は、Help:音声・動画の再生をご覧ください。ポータル クラシック音楽

ル・シッド(フランス語: Le Cid)は、ジュール・マスネの作曲したオペラ。「シッド」とも表記される。ピエール・コルネイユ同名の戯曲を原作とし、脚本はルイ・ガレ(英語版)、エドゥアール・ブロー(Edouard Blau)、アドルフ・デヌリ(Adolphe d'Ennery)による。
作品

1877年初演の「ラオールの王」(Le Roi de Lahore)でオペラ作曲家として認められたマスネは、オペラ=コミック座初演の「マノン」、国民劇場(英語版)でフランス初演された「エロディアード」(Herodiade)と次々に人気作を生み出していた[1]。その中、1883年6月に計画が動き出した本作は「ラオールの王」と同じくルイ・ガレの脚本を用い、オペラ座での上演を前提としたグランド・オペラとして書かれた。

この作品のもととなったロドリーゴ・ディアス・デ・ビバール(「エル・シッド」El Cid)の物語はオペラの題材として高い人気があり、ジェイムズ・ハーディング(英語版)によれば、マスネはこの題材を扱った史上27人目の作曲家だった[2]。ガレとブローは1873年前後にも同じ題材に基づく「ドン・ロドリーグ Don Rodrigue」と題した脚本をジョルジュ・ビゼーのために提供していたが、この作品は未完に終わり、彼らはその一部をマスネのための脚本に転用している[3]

1885年11月30日にオペラ座で初演された作品は成功を収め、1919年にはオペラ座での150回目の公演を迎えたが、その後、主に配役の難しさによって取り上げられる機会は減っている[1]。ロドリーグ役の経験があるプラシド・ドミンゴは、「正しく演じられれば非常に大きな劇的可能性を持つ」としながらも、「上演には対価が大きく、また非常に難しい作品」という[4]

初演を評したヴィクトル・ヴィルデル(Victor Wilder)はグランド・オペラ特有の効果や鋭い対比を操るマスネの技量を評価している[5]が、グランド・オペラの様式に則ったマスネの作品はこれが最後となった。これについて新グローヴオペラ事典は「この台本のスケールをとらえるのに十分な才能が」マスネにあったとし、作品の優れた部分を挙げつつも、英雄的な声の歌手やグランド・オペラ的な大仕掛けよりも「もっと身近な題材を扱うほうが、明らかに彼の性に合っていた」と述べる[1]
配役

『新グローヴオペラ事典』[1]と1885年刊のヴォーカルスコア[6]を参照した。

人物名原名声域説明
ロドリーグ(ル・シッド)Rodrigue (Le Cid)"Premier Tenor"
シメーヌChimeneソプラノドラマティコ
王女L'infanteソプラノ
ドン・ディエーグDon Diegue"Premiere Basse"ロドリーグの父
王Le Roi"Premier Baryton"
ゴルマ伯爵Le Conte de Gormans"Premiere Basse chantante"シメーヌの父
聖ジャック(聖ヤコブ)St. Jacquesバリトン
ムーア人の使者L'envoye Maure"Basse chantante"もしくはバリトン
ドン・アリアスDon Ariasテノール
ドン・アロンゾDon Alonzoバス


合唱:紳士淑女たち、司教と神父・僧侶たち、兵士たち、民衆

バレエ団

物語初演時のロドリーグの衣装のスケッチ。Ludovic-Napoleon Lepic画

『新グローヴオペラ事典』[1]と『オペラ名曲百科』[7]を参照した。

舞台は11世紀のスペイン。フランス・オペラには珍しい、型通りのソナタ形式による序曲がおかれている。
第1幕
第1場

ゴルマ伯爵の館のサロン。ムーア人を退却させた英雄であるロドリーグが騎士の称号を与えられることに決まり、式典の準備が進んでいる。シメーヌが登場し、ロドリーグを愛していることを父親のゴルマ伯爵に伝えて祝福される。王女が現れ、彼女もロドリーグを愛しているが身分違いのために身を引き、シメーヌを祝福する(「疑いをわたしの心のなかにとどめておいてください」Mets la main sur mon coeur)。
第2場

王宮へ通じる回廊と大聖堂の入口。王はロドリーグを騎士に任じることを民衆の前で宣言し、ロドリーグは授かった剣を手に喜びを歌う(「高貴なる輝く剣よ」O noble lame etincelante)。続けて王は、ドン・ディエーグを皇太子の近衛隊長に任じることを発表する。自分が選ばれるものだと考えていたゴルマ伯爵は憤慨し、ドン・ディエーグを侮辱する。ドン・ディエーグは復讐を誓い、ロドリーグにゴルマ伯爵への報復を託す。恋人の父親と戦わなければならないことにロドリーグは苦しむ。
第2幕
第1場

夜。伯爵の家の近く、ブルゴスの路上。思い悩みながらも伯爵家を訪ねたロドリーグは伯爵と決闘し、相手を殺す。ドン・ディエーグは復讐が果たされたことを喜ぶが、ロドリーグは後悔している。駆けつけてきたシメーヌは、ロドリーグの様子から彼が父を殺したことを察する。
第2場

ブルゴスの王宮の前の広場。民衆は踊りながら春の訪れを喜び、王女を賛美する。シメーヌが駆け込んできて、父を殺したロドリーグへの裁きを王へ乞う。ドン・ディエーグは自分が身代わりに罰せられようとし、場は混乱に陥るが、そこに伝令が現れ、ムーア人からの再びの宣戦布告を伝える。ロドリーグは、裁きは戦いの後にし、敵を倒すために出陣させてほしいと願い出る。
第3幕
第1場第3幕第1場、シメーヌとロドリーグの対話。イリュストラシオン紙に掲載された初演の記録

夜、シメーヌの部屋。悲運を嘆くシメーヌ(「わたしの目よ、涙を流しなさい」Pleurez, pleurez, mes yeux)。そこへ別れを告げにロドリーグが現れる。シメーヌは怒りで応えるが、変わらぬ愛を伝えるロドリーグに、彼女は恨みの気持ちと愛情の間で混乱していく。
第2場

ロドリーグの陣営。歌い騒ぐ兵士のもとにロドリーグが現れ、兵士たちの覚悟を改めて問う。
第3場

ロドリーグのテントの中。ロドリーグは勝利を祈る(「君主よ、神よ、父よ」O souverain, o juge, o pere)。そこへ光とともに聖ジャックの姿が現れ、願いが聞き届けられ、戦いは勝利に終わると啓示を下す。
第4場

再びロドリーグの陣営。朝、兵士たちは戦いに向けて奮い立っている。勝利を確信したロドリーグが出陣していく。
第4幕
第1場

グラナダの王宮の広場。ロドリーグが戦死したとの報を聞き、ドン・ディエーグとシメーヌは嘆き悲しむ(「息子は死んでしまった」Ainsi, mon fils est mort!)。しかし、ロドリーグが生還したと王が告げ、二人は喜ぶ。
第2場

グラナダの王宮の中庭。勝利を収めたロドリーグは歓呼の声に迎えられる。改めて裁きを乞うロドリーグに、王はシメーヌ自らが裁くことを命じる。ためらうシメーヌを見てロドリーグは自裁しようとするが、シメーヌはロドリーグを許し、彼を愛していることを告白する。結ばれた二人は一同に祝福される。
バレエ音楽

第2幕第2場冒頭のバレエ音楽は、単独の管弦楽曲としてよく取り上げられる。ロシタ・マウリを想定して書かれたもので、彼女の発案によりスペイン各地の「様々な興味深いリズム」が盛り込まれている[2]


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