ルリホシエイ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ルリホシエイ(Taeniura lymma)は、アカエイ科に属するエイの一種。インド太平洋熱帯域沿岸のサンゴ礁の、潮間帯から深度30メートルまでの範囲に生息する。体盤幅35センチメートルと比較的小さいエイである。眼は大きく突き出している。尾は比較的太くて短く、腹面には鰭膜がある。黄色の地色に多数の青い斑点がある特徴的な体色を持ち、尾には1対の青い筋がある。
夜間に小さな群れで浅い砂地に入り込み、砂中の無脊椎動物や硬骨魚を捕食する。日中はサンゴの間に隠れる。無胎盤性の胎生で、産仔数は7以下。臆病な性格だが、尾に毒棘を持ち触れると傷を負う可能性がある。体色と大きさから観賞魚として人気があるが、飼育は難しい。
分類 コモド国立公園の個体
1775年にスウェーデンの博物学者であるPeter Forsskalによって、Raja lymma として記載された[2]。種小名 lymma は「泥」を意味する[3]。タイプ標本は指定されなかった[2]。1837年、ドイツの生物学者ヨハネス・ペーター・ミュラーとヤーコプ・ヘンレ はTaeniura 属を設立し、現在では本種のシノニムとされているTrygon ornatus をここに含めた[4][5]。
形態学的な研究ではアマゾンタンスイエイ科と近縁とされたこともあった[6]が、分子系統解析ではヤッコエイ属に近縁であるという結果が得られている[7]。 インド太平洋熱帯域の沿岸部に広く分布する。インド洋での分布域は南アフリカからアラビア半島を経て東南アジアにまで及び、マダガスカル、モーリシャス、ザンジバル、セイシェル、スリランカ、モルディブなどの島嶼部でも見られる。ペルシア湾やオマーン湾では珍しい[1][8]。太平洋での分布域はフィリピンからオーストラリア北部で、メラネシア、ポリネシア、ソロモン諸島などの島嶼部でも見られる[1]。サンゴ礁やその近くの砂地に生息する底生魚である。通常は30メートル以浅に生息し、潮間帯や潮だまりでもよく見られる。海草藻場の近くに出現することもある[1][9]。南アフリカでは夏に多数の個体が集まる[3]。 体盤
分布
形態 特徴的な体色を持つ。
皮膚は全体に滑らかだが、背中の中心に小さな棘が散らばる場合もある[10]。背面の色は特徴的で、地色は黄褐色から緑、明るい青色の丸い斑点が多数散らばる。斑点は体盤の縁ほど小さく密になる。尾の両側には付け根から棘の位置まで青い筋が走る。眼は明るい黄色、腹面は白い[3][9]。アフリカ南部の個体は尾の青い筋を持たないことがある[11]。体盤幅35センチメートル、全長80センチメートル、体重5キログラムまで成長する[5][12]。
生態 日中はサンゴの間に隠れる。
インド太平洋のサンゴ礁において最もよく見られるエイの一つである。日中は単独で洞窟やサンゴなどの障害物(沈没船なども利用する)に隠れ、尾だけが見える状態であることが多い[9][10][13]。夜には小さな群れを作り、上げ潮に乗って浅い砂地で餌を探す。他の多くのエイと異なり、自ら砂に潜ることはあまりない[14]。砂を掘って貝、多毛類、エビ、カニ、小さな底生魚などの獲物を探し、体盤で包み込んで口に運ぶ。エイが取りこぼした餌を捕食するため、ヒメジなどの魚が摂餌中のエイの後を追っていることがよくある[11][15]。
?殖期は晩春から夏である。雄は雌を追いかけ、体盤に?みついて抑え込み交尾する[15]。